作品
隠し損ねた欲望
「っつ……!」
触れ合うことを覚えた最初の頃。
黒鷹に余裕があるように見えるのが、悔しかった。
こっちは目一杯で、碌に動けない時さえあるのに、あいつはそんなことがない。
でも、何時だったか気がついた。
身体を繋げる瞬間に見た黒鷹の顔。
それまで、ずっと目を閉じてしまっていて、初めて見たその瞬間の顔。
熱を絡めた目は今までに無いほど真剣で、表情は苦しそうなのに、嬉しそう。
黒鷹にも、余裕なんてなかったんだ。
顔に手を伸ばして触れて、どうした?というように問いかける目。
「お前も……余裕無いのか」
「……当たり前じゃないか……っ」
「ん……!!」
抉られた内部の刺激に背が仰け反る。
その拍子に締め付けてしまったのか、黒鷹の歯を食いしばる音が聞こえた。
「隠せるわけないと思っていたけどね。
今更、気がついたのかい」
目が欲望の炎にちらついている。
余裕が無いほど感じてくれてるのが嬉しい。
黒鷹の与えてくれる律動に身を委ねながら、隠せないほどの欲望に支配されてるのは俺だけではなかったことに安心し、背に縋り付いた。
2005/04/01 up
一日一黒玄でやっていたものから。
恋をした2人のためのお題 -10 for lovers-(閉鎖)が配布されていたnoir 4より。
表でもいいかなーという気もしないでもないけど、一応Underで。
- 2013/09/14 (土) 10:06
- 黒玄