作品
白濁
いつも一方的にされるばかりだから、試して見たいと言ったのは玄冬だった。
たまにはそれもいいかと、身を委ねたのだが、今となっては少しばかりの後悔に苛まれることになっている。
口で相手の性器を愛撫したことは何度もあっても、自分がされた経験はなかった。
玄冬以外にも。
それを告げたときの玄冬の顔はことのほか嬉しそうで。
ここの味を知っているのは俺だけなんだなと、言った玄冬の言葉に本気でまずいと思った。
暴走しそうな欲望を抑えるのにどれほど必死だったか。
「ん……っ……玄冬……」
身体的な刺激もかなりなものだが、どちらかというと精神的な刺激が大きい。
足の間に埋もれてる玄冬の頭を、そっと撫でる自分の手が震えてるのを自覚する。
「……ん」
玄冬の眼差しが見上げるその様にさえ、ぞくりと快感が走る。
君もいつも私にされていたときはこんな気分だったのだろうか?
玄冬の舌先に優しく先端を包まれる一方で、指で柔らかい双玉を収めた部分を微妙な加減でくすぐられる。
同性ゆえに感じるところがわかるというよりは……私のせいだろう。
私がいつもこの子にしていることを辿っているのだ。
少し動きはぎこちないが、それさえ新たな刺激を呼び寄せる。
「も……十分だ……離しなさ……い」
「んん……」
「……くっ……ちょ……玄冬」
実は相当に上り詰めてるところに、より深く咥えられて、反射的に玄冬の肩を強く掴む。
温かい口の中でどう舌が蠢いているのかを想像しそうになって、慌てて意識から振り払った。
「……ダメ、だよ。……それ以上は……っ……本当……に……」
「……ん…………」
「く……あっ…………!」
口の中に収めきれてない根元の部分を扱かれて、まずいと思ったときには遅かった。
一際強く吸われたのに、そのまま誘われて……衝動に抗えずに玄冬の口の中で達してしまった。
僅かの間、力が抜けて軽く意識が飛んだところ、むせて咳きこんだ玄冬に我に返った。
口の端を飲みきれなかった白濁が零れている。
それを指で拭ってやって苦笑した。
「まったく……何てことをするんだね、君は……」
「……お前がいつもやってることをしただけだろう」
そう言われると返す言葉がない。
代わりにその顎を捉えて口付けた。
「馬鹿……っ、まだ口の中にお前の……」
「構わないよ、そんなの」
「ふ……っ……」
青臭い匂いを絡め取るように、玄冬の口の中をじっくりと舌で捏ね回す。
玄冬の頬が上気するのを確かめてから、口を離した。
「……よくいつもあんなのを平気で飲めるな、お前……」
「君の反応を見るのが楽しいからね。
……してる方も結構興奮するものだろう?」
「……っ」
実際、玄冬のモノに触れて見れば、硬く熱いままで。
先走りで濡れた先端を指で軽く撫でてやるだけで、艶っぽい声を上げた。
……ダメだな。
私の方もまだ物足りないらしい。
口でされるのも悪くはなかったが、やはりする方が性にあう。
「……覚悟しなさい、玄冬」
「え……?」
「今夜、眠れるとは思わないことだ」
「……! ちょ……黒…………」
何倍にもして返してあげよう。
火をつけてくれたお礼はね。
2004/06/04 up
「惑楽」(お題配布終了)で配布されていた
「萌えフレーズ100題」よりNo56。
結局、この後玄冬→黒鷹への初フェラ話は別に書いたので、こっちはJunk Underに置いとこうかと。
- 2013/10/06 (日) 02:57
- 黒玄