作品
1.「抱きにきたんだよ」
「いきなり、こうくるか」
組み伏せた腕の下で玄冬が溜息混じりに呟く。
「だって、ここはそういう場所だろう?」
「……それは」
「抱きにきたんだよ、私は」
言ってることに違いは無い。
遊郭は肌を合わせ、一夜の夢を交わす場所だ。
だが、夕餉も取らずに、ろくに話もせずにいきなり褥に組み伏せたことに
困惑しているらしい。
私だっていつものように手順を踏むつもりでいたけどね。
ここに来るまでは。
――玄冬姐さんは只今、他の方の相手をなさってますから、今宵は私が。
――ほう……。構わない。連れておいで。
――で、ですが……。
――黒鷹が来た、と言うだけでいい。
あの子は座敷持ちだ。選ぶ権利だってあるはずだよ?
案の定。間もなく玄冬は私の元に来た。
君が来ないはずないと思っていたよ。
「夕餉なら、一度手合わせしてからちゃんと取るさ」
「ん……」
玄冬の襟元を乱しながら、白い首筋に顔を埋めた。
- 2008/01/01 (火) 00:01
- エロセリフ10題part2
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