作品
背徳
背徳感に興奮を煽られる自分は浅ましい、と思った。
***
「……っ………………あ!」
強い快感に声を上げてしまいそうで、つい黒鷹の背に縋りつく。
加減なんて、出来てないから本気で痛いだろうに、黒鷹は笑う。
その痛みこそが嬉しいと言わんばかりに。
「……動く、よ」
「ん…………」
体温の上がった肌が触れ合う。
離れた部屋では花白が寝ているのに。
あいつが寝ている一方で、俺はこんなことをしている。
少し前まで他愛もない話をしていた口で黒鷹を求めて。
……起きてきたらどう思うだろう。
起きるわけがない。
何度か泊まってるから、今ぐらいの時間だと、あいつの眠りが深いことぐらいわかっている。
わかっているのに、その万が一のことを考えると、まともに顔をあわせられないと思うと同時に、得体の知れない興奮も確かにある。
――本気……なのか? 向こうの部屋では花白が寝ているんだぞ!
そう言いながらもわかっていたはずだった。
――本気だよ。
黒鷹が他の言葉を選ばないことくらい。
「玄冬……」
「…………っ……ああ!」
きっとそんな風に思ったことを明かしても、黒鷹は笑うだろう。
悪いことじゃない、と。
言いはしないけれども。
こんなところはきっと養い親に似た。
なぁ、お前もそう思うだろう?
2005/09/? up
元は一日一黒玄で書いたもの。
China Love(閉鎖?)で配布されていた、
「微エロ妄想さんに25のお題」、No23より。
- 2013/10/04 (金) 01:41
- 黒玄