花帰葬-Novel Under Ver.

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花帰葬劇場~裏シンデレラ

※花帰葬劇場~シンデレラの読後にどうぞ。
 
 
「何だ。それなら簡単なことだ。君が私のところに来れば良い」
「…………は?」
 
シンデレラこと玄冬が、ぽかんと口を開けたままに私の方を見る。
 
「そうだろう? 
家族に累が及ぶのが心配なら、君があの家に戻らなければ済むことだ。
うん、いいことじゃないか! 
安心したまえ。私のところはあの国の治外法権にある。
何も気にすることはないさ」
 
我ながら。
よくもまぁ即興的に、ここまですらすらと言えるものだ。
まぁ、元はと言えば、ちびっこが台本を大幅に無視なんかして、こともあろうに玄冬を組み伏せようとしたのが悪い。
あの時のちびっこは本気だった。
だから私も台本を無視することにしたのだよ。
 
「……そう言われれば、それは一理あるな」
 
そんな私の本心を知ってか知らずか、玄冬が言葉に乗ってくれる。
多分、芝居としての範疇ではあるんだろうけどね。
 
「ふふふ、そうこなくてはね。よろしく頼むよ」
 
そうして私達は飛んだ。
我が家へと。
物語の終幕までにまだ余裕がある。
あのちびっこが触れたところを、そのままにはしておきたくなかった。
 
***
 
「ちょ……黒た……っ!?」
 
抱きかかえたままで飛んで。
家に着いた途端に抱いた腕は放さずに玄冬の耳に口付けを落とし、そのまま舌を這わせると慌てた声が返ってきた。
元来の名前をそのまま呼びかけたということが、驚きを示している。
 
「もう、お芝居は終わりだよ、玄冬」
「な、まだ、最後が残って……!」
「まだ出番には時間があるさ」
「……っ!」
 
未だ纏ったままの玄冬のドレスの胸元を開けて、首筋の肌を吸った。
脈を打つ場所を一際強く吸うと、玄冬の身体がびくりと大きく震えた。
なんとも、服装がいつもではあり得ないものなせいか、倒錯的な気分になる。
 
「このまま抱いたら怒るかね?」
「このままって……まさか、着たまま……っあ!?」
 
問いかける一方で、肌を触れる手は休めない。
首筋、鎖骨、胸と肌が露出された部分に指を滑らせていく。
鴇色の突起をそっと円を描くように撫でると甘い声が零れ落ちた。
平たい胸にドレスが覆われてると言うのも妙な気分だ。
まぁ、いるけどね。あまり胸のない女性も。
一瞬だけ、浮かんだその相手の残像を掻き消すように強く唇を吸った。
口内の粘膜を舌で刺激していくと、玄冬の舌も私の舌に絡めるように動いてきた。
それも積極的に。これは珍しいね。
深い口付けをしても大抵はされるがままだったり、応じてくれても、ぎこちなかったりするのに。
腰を引き寄せて、玄冬の中心に布越しに触れてみると固い感触が伝わる。
 
「……ずいぶん感じてるようだね」
 
唇を離して、口の端を伝う唾液を指で拭うと熱に霞んだ目が私を見つめる。
少し、意外だが嫌ではないらしい。
 
「このままでいいね?」
「……嫌だといったって止めないだろう、どうせ」
「私だけのせいのような言い方をするんじゃないよ」
「ふ……」
 
もう一度、玄冬に口付けた。
今度は軽く唇を掠めては離すことを繰り返すキス。
合わせる唇から、熱い吐息が漏れることに満足して離れ、跪いてドレスの裾をたくし上げる。
下着を引きずり下ろして、あらわれたそれは先端に薄らと露が滲み始めてる。
唾液を口の中に貯めて、わざと音を立てるように舌で玄冬の根元から先端まで舐め上げつつ、裾を抑えた手とは反対の手で、腰骨のあたりを撫でる。
頭上から玄冬の感じてることを示す喘ぎが、耳に届くことが嬉しい。
被っていた帽子がぽとりと床に落ちたと思ったら、私の髪に玄冬の指が伸ばされて、軽く掴まれた。  
 
「……ろ……鷹……っ」
 
切な気な声で、君が私を呼ぶ。
そう、良い子だね。
君がそうやって呼ぶのは私だけでいいのだよ。
 
「指。……挿れるよ?」
 
腰骨を刺激していた手を、玄冬のモノに絡めて露と唾液の交じり合ったもので指先を濡らし、足の間から手を差しこんで、指をその場所に忍ばせた。
少し入り口の周囲を愛撫してから指を挿れる。
熱い内壁をゆっくりと指の腹で押していくと、玄冬の腰が震えた。
 
「や……あっ……!」
「……気持ちいいかい?」
「聞く…………な……っ……あ!」
「ここ。……だろう?」
 
もう数え切れないほど触れている。
どこをどう触れたら君が感じてくれるか。
これでもわかってるつもりだからね。
 
「もう挿れても?」
「ん……」
 
微かに零れた肯定の返事に、指を玄冬から抜いて立ち上がる。
すると玄冬の手が私の中心に伸ばされる。
服越しに感じる手の温度にどくりと胸が高鳴った。
 
「玄……冬?」
「お前は……触らなくていいのか?」
「必要無いよ」
 
とっくの昔に十分過ぎるほど興奮している。
だけど、玄冬はそのまま何も言わずに私のズボンの留め金を外し、下着の中に手を入れて来て……触れてきた。
軽く、だけど的確に弱いところを撫でられて、上げてしまいそうになる声を抑えこむ。
当たり前、かも知れない。
私がこの子の弱いところを知っているように、
この子も私の弱いところを知らないわけがないのだから。
暖かい指先の熱より、さらに熱い中に溶けこむ様を想像してしまってたまらなくなった。
 
「玄冬……っ。いい、それ以上はいいから……挿れさせなさい……っ」
「え……あ! ……んんっ!」
 
君が欲しい。もう余裕のないのが見え見えだろうと。それでも。
玄冬の手を剥がして、肩の辺りに捕まらせ、服と片足を抱え上げて、あらわれたその場所に自分自身を宛がい、突き入れた。
半分ほど挿れたところで、もう片方の足も抱えると、一気に根元まで玄冬と繋がる。
玄冬の中は体勢のせいか、ひどく熱く締め付けられて。
ごく軽い突き上げにも、吐息と嬌声が上がり、私の肩に回された両の手が少し震えてるのが伝わった。
 
「く……あ……!」
「……っ……苦しい…………かね?」
「へ……き。……だか……ら」
「……うん?」
「つい……てくれ。その……っまま……っ」
「本当に……どうしたね?」
 
求められて、勿論嬉しいけど……どうにもらしくない。
普段よりもずいぶん積極的じゃないかい?
一瞬、玄冬の口が何かを言おうとして閉ざされた。
 
「玄冬?」
「何でも……ない……」
 
肩に顔を押し付けて、そう呟いて。
何でもないわけもないと思うのだが。
 
「……後で聞かせてもらうから、ね……!」
「くっ……は……あうっ……! 黒……っ!」
 
突き上げを強くして、ただ頂きを目指す。
深い結合に瞬く間に追い詰められて、繋がった箇所が大きく震えたと知覚した瞬間に達した。
お互いに。
 
「……あ、悪……い」
「ん……ああ」
 
玄冬の言葉に、下を見ると玄冬の放ったもので互いの服を汚してしまっていた。
 
「いいよ。……魔法の時間はもうおしまいだ」
 
12時なんて、とっくに過ぎてしまっていたけど。
唇を寄せると、玄冬が自分の唇を重ねてきて。
触れた瞬間にお互いに身に纏っていたものが取り去られて、隔てるものがなくなった。
そして、改めて全身で肌の感触を確かめた。
馴染んだ心地よい、その感覚を。
 
***
 
「ずいぶん、今日は積極的だったじゃないのかね?」
 
場所をベッドに移動して、何をするでもなく二人でシーツに包まって、ただ、先ほどの余韻に浸って、じゃれあって。
気になっていたことを聞いてみた。
 
「……かもな」
「ふふふ、またこういう風にしてみるのも、良いかも知れないねぇ」
「もう二度とやらない。……もうやりたくない」
「玄冬?」
 
目を伏せてそう言った玄冬は照れているというよりは、憮然とした様子で。
 
「……どうしたね?」
「お前、少しの間だけ別の相手のこと考えただろう」
「え……」
 
確かにドレス姿で一瞬だけ、浮かべてしまったのは片翼の相手。
ほんの僅かな間ではあったけれど、気付いていたのか。と、いうことはだ。
 
「もしかして、妬いていたのかい」
 
だから、あんなに積極的に求めてきた?
 
「…………っ」
 
行為の余韻でまだほんのりと赤みが差していた顔が、一気に耳まで真っ赤に染まった。
 
「そうか、そうか。うん、嬉しいねぇ」
「黒鷹」
「ああ、いや、すまないね。
まぁ、私もちびっこのアレには妬かされたんだ。
お互い様ということではいけないかね?」
「ちょ……それでどうして……こう……っ」
 
玄冬の身体を引き寄せて、身体の線を辿るように手を滑らせる。
親愛の意味でなく、明らかに快感を引き出す愛撫の意味を込めた動きに、玄冬の声が掠れる。
 
「そんな可愛い反応をしたら、黙っている方が無理というものだよ」
「さっき散々したくせにっ」
「ダメかね?」
 
否定するわけはないとわかっていながらも、聞いてみる。
案の定、僅かな沈黙の後に返って来たのは、行為への肯定の言葉。
 
「明日、起きられなかったら……責任は取ってもらう、からな」
「望むところだよ、玄冬」
 
私も起きられたら、の話だけどね。
 
***
 
「おい! 魔法書を床に置きっぱなしにするのはよせ! 踏むぞ!」
 
話の終幕。
話といっても、いつもと差して変わらない日常だ。
私が物を散らかして、君がそれを怒る。
いつものそれが口で色々言いつつも、幸せな時間を示しているのだと知っているから。
 
「いやぁ、後でもう一度使うつもりだったから、置いといたんだよ」
「使う時に出すようにして、それまではしまっておけ。
部屋がいつまで経っても片付かないだろう!」
「いつも、苦労させてすまないねぇ、奥さん」
「……ちょっと待て。誰が奥さんだ?」
「おや。具体的にその理由を言ってもいいのかね? 
いや、いっそ私としては今夜といわず、今すぐそれを実践しても、全く構わないのだが」
「っ……! 言わなくていいし、実践もしなくていい!!」
 
赤く頬を染めつつ、文句を言う君が嬉しさを秘めた眼差しで見ているのに
私も嬉しく思う。
幸せだと。明日も明後日も。……何時まででも。
こんな時間を過ごしていこう。ねぇ、私の愛しい子。
今、私の目に映るのは君だけなのだから。

2004/09/02 up
元々は黒ノ鳥親子丼特設ページに上げてたもの。黒鷹視点。
すみません。裏とか言ってますが、もうシンデレラ関係無いに等しいです。
こすぷれえっち。しかもドレス。
文で書いといてなんですが、私はこれを絵におこす勇気はありません。
玄冬が嫉妬で積極的。こういうのもありでしょう。

  • 2008/01/01 (火) 00:03
  • 黒玄

タグ:[黒玄][黒鷹][玄冬][童話パロ]

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