作品
Baby Blue~under ver.
※Baby Blueの読後にどうぞ。
「本当にね。大きくなったものだよ、君も」
「ん……?」
この子もあんなに小さい存在だったのに、と玄冬の耳に口付けを落としながら思う。
子どもなんて、本当はずっと苦手だったんだよ。
どうしていいかわからない存在でね。
可愛いなと思えるようになったのは、君を育ててからだね。
あの子を君が連れてきたとき、昔を思い出して、懐かしかった。
私の一挙一動に反応して、無邪気に後ろをついて回ってきた時期もあったなぁと。
いや、私も君の一挙一動に反応していたかな。
今でも初めて名前を呼んでくれたことや、立ったり、歩いたりしたときの感動は覚えている。
可愛くて可愛くて仕方がなかったよ。
今だって、勿論可愛いけれどね。
玄冬の中心に指を這わせると身体がびくりと反応した。
一瞬、無防備な表情になって、それからどこか困ったような顔。
ああ、そんなとこも可愛い。
言ったら、君は怒りそうだから言わないでおくけどね。
形を確かめるように指を滑らせると艶を含んだ声が零れ落ちた。
熱い幹の感触が指に心地よく馴染む。
「っ……」
「今だったら『お父さん』って呼ばせてもよかったかなと思うんだけどね」
「……っ、お前が……『黒鷹』って呼ばせるように、した……っあ!」」
「ああ。そうなんだけどね」
先端に溜まり始めた露を、指で周囲に塗りこめるように散らせる。
鈴口を指先で軽く刺激すると玄冬の声が震えた。
「……れは『黒鷹』で……よかったと、思う」
「……うん?」
「こんなこと、してるときに、『お父さん』なんて呼べな……っ!」
「それは言えるかな」
「そもそも……っ」
「うん?」
「呼び方が違ったところで、立場に違いはな……いっだろ……」
「そうだね」
「あっ……く……ろっ」
指を離して、代わりに舌でその場所に触れた。
先端とくびれた部分に舌を這わせてから、玄冬自身を口に含む。
先端部分を口蓋に押し付けて、裏側の玄冬の弱いところに舌をゆっくりと辿らせると、玄冬の腰が震えた。
全部知っている。
生まれてすぐから、君を見てきたのだから。
触れてない場所なんてない。
可愛い、私のたった一人の子。
君が感じる場所は全部わかる。
「ひ……あ……っ!」
奥まったところに潜む入り口に指を添わせて、静かに侵入させる。
僅かな抵抗の後、熱い粘膜が指を飲み込んだ。
少し広げるように掻き回してから、指をもう一本増やす。
「や! 指……っ」
「辛いかね?」
玄冬のモノから口を離して問いかけると、微かに玄冬が首を振った。
「指じゃ……ないほうが……いいっ……」
「繋がりたいという解釈でいいのかな?」
「……わかる、なら……確認するなっ……」
「……君の反応が可愛い、からだよ……っ」
「ひっ……ああっ!」
中で少し隆起した部分を押してやると、甲高い声が上がる。
この場所の刺激は抗えるものじゃないからね。
そっと指を抜いて、もう一度玄冬の先端に軽く口付けた。
「……自分で挿れられるかい?」
「ああ、でもその前に……」
「え? ちょ……玄冬?」
「少し、俺にもさせろ」
「んっ……こら……っ」
玄冬の手が私のモノに触れたかと思うと、口を寄せて、唇を当ててきた。
控えめに舌を動かす様子に、ついある事を思い出してしまった。
昔のことを色々考えていたのがまずかったかな。
一気に興奮が高まる。
……まずい。このままでは。
「……すまない、玄冬」
「……っ……えっ……!? ちょ……あ!」
玄冬を引き剥がして、返事を待たずに玄冬の腰を上げて玄冬の中に一気に突き挿れた。
突然の衝撃のせいだろう。
抱きしめた肩が大きく震えた。
「このっ……自分で、とか訊いたくせ、にっ」
「……だから、すまない、と」
「……っ! 黒……た……っ」
近くにある顔のあちこちに口付けを降らせて、軽く突き上げを繰り返す。
一通りの場所にキスするころには、玄冬の目がすっかり欲情に霞んで、潤んでいた。
「……余裕ないようには、見えな……かったの、に」
「余裕を無くしたのは、君、だろうに……っ」
「く……うあ……っ!」
「ふ……っ……」
背を抱きしめて、よりいっそう律動を強くする。
繋がった場所の細かい振動にどんどん追い上げられていく自覚を持ちながらも、止まらない。
「黒鷹……っ……黒……た…………か!」
私を求める声が、胸に響く。
泣きそうにも聞こえる一方で、甘い感情を呼び起こすその声がたまらなく愛しいと思う。
何度でも呼んでほしい。そうやって、私の名を……!
「……! っ……玄……冬っ」
私が名前を呼んだ途端、玄冬の中がきつく私を締めつける。
限界、だった。
強く腰を突き入れて、玄冬の奥深くで熱を吐き出した。
同時に私達の身体の間でも玄冬のモノが震え、体温より少し温かい粘液が散って、顎のあたりまで飛んだ。
玄冬の顎に纏わり付いた白濁をそっと舌で拭うと、玄冬が少し照れたような顔をしながら笑う。
本当に。君は可愛くてたまらないよ。
***
「で? ……お前、何考えたんだ、あの時」
「……何のことかな?」
「とぼけるな。いきなり余裕がなくなっただろう。……何考えてた?」
何をするでもなく、行為の後、二人で寝台でなんとはなしにじゃれていると、ふと玄冬がそういった。
覚えていたのか。忘れてくれればいいと思ったのに。
「……言ってもいいんだけどね」
「ん?」
「笑わないでくれるかね?」
「……それは話次第だな」
「昔のこと、だけどね」
諦めて、溜息を一つ吐いたあとに言葉を続ける。
「ようやく、君が歩きだせるようになったある日。お風呂に入っていてね」
「ああ」
「いや、歩き始めると子どもというのは、目が離せないというのを、本とかで知ってはいたつもりなんだが……。
そのときは本当にいやというほどに思い知らされたよ」
「……何があったんだ」
「君の髪と身体を洗ったあと、自分の方を洗おうとしてね。
おもちゃをあげていたから、その間にさっさと済ませてしまおうと思ったんだが。
君はその時はどうしてだか、おもちゃの方には目もくれずにね」
「……どうした」
「……目を付けたのが……その、私のモノでね……それでも触ってるだけだったならまだしも、口で遊び始めてしまったものだから……あー、つい反応、してね」
「…………」
「慌てたんだが、その反応したのが面白かったのか、君も中々それから離れようとしなくてすごく焦った記憶が。
……くーろーとー?」
こちらに背を向けている玄冬の肩が小刻みに震えている。
ああ、だから言いたくなかったのに!
「笑わないでくれるかと言ったのに、君は!」
「……っ話次第だと、言っただろう……っ、想像するだけで可笑しい」
「当時の私には笑い事じゃなかったんだぞ! しかも、やったのは君じゃないか!」
「覚えてない昔のことなんて、言われてもな……いや、悪い」
ちっとも悪いと思ってないだろう言い草に、些か釈然としないものを感じて、背中から襲う。
「そんなふうに笑う子にはお仕置きだよ!」
「わっ……こら! どこ触ってる!」
「親が子の身体のどこを触ろうと、親の勝手だね」
「っ無茶苦茶な理屈を……!」
「無茶苦茶で結構だね。私がここまで大きくしたんだから。
成長を確認するのは親の義務だ!」
「…………う」
「ん? 何か言ったかね?」
「なんでもない。いいから離れろ! さっき散々色々したんだから!」
「断る。火をつけた君が悪い」
「! 明日、起きられなくなっても知らないからな……!」
玄冬がそういった言葉に、笑いながら。
もう一度君を全身で感じるための行為に没頭し始めた。
***
――有り難う
僅かな間だけど、子どもをみてて。
一人の人間を育てるのがどれほど大変かというのが、少し分かった気がしたから。
……本当は放って置いたってよかったはずだ。
俺は『玄冬』だから。
何があろうと、救世主以外の手によって以外は死ぬことはありえない。
救世主から遠ざけさえできれば、わざわざ育てる必要もなかったはずなんだ。
護る役目のついでといいながらも、お前が愛情を傾けてくれたから。
大事に育ててくれたのがわかるから。
きっと、何があっても最期は「悪くない人生だった」と思える気がする。
本当に、お前が俺の鳥で、『親』でよかったと思う。
中々言葉には出せないけど。
言い尽くせないほど感謝している。……誰より、何より。
笑うことがまだ出来るのは、お前がいるからなんだ、きっと。
だから、時間の許す限りは、こうしてお前とずっと一緒に。
2004/09/15 up
Baby Blueの裏ヴァージョン。黒鷹視点。
黒親子ほのぼののつもりが、結局黒玄に走りましたというオチ。
子どもは目を離すと、何をしでかすかわからないから怖いというw
- 2008/01/01 (火) 00:07
- 黒玄