作品
Sweet drug
※薬によって、ちっちゃくなった玄冬といちゃいちゃ、な流れになるので、ショタ系が苦手な方はご注意下さい。
「玄冬!? ……ちょ……ねぇ大丈夫!?」
自室でいつもの様に本を読んでいたら、
唐突に聞こえたちびっこの叫び声と、何かが割れるような音がけたたましく響いた。
何があったのかと、本を一先ず閉じて声のした方……居間に向かう。
「どうしたね!?」
「あ……タカ。玄冬……が」
「…………玄冬?」
「げほ……っ…………何……だ、これ……!?」
居間の床に割れたグラスの破片が散らばっていたのは、まだ予想の範疇だ。
だが、玄冬を見て予想外の事を知らされることになった。
流石に直ぐに言葉が出て来ないほど驚いた。
元来であれば、私よりも背丈があったはずの玄冬は服をぶかぶかにさせて、ちびっこの肩に届くかどうかの背丈になっていたからだ。
いや、背丈だけじゃない。
顔つきも幼くなり、まるで幾つか年齢が逆行してしまったかのようだ。
つい、箱庭のシステムにバグでも起きてしまったのかと思った所でちびっこがさりげなく後ろ手に何かを隠すような動作をした。
勿論、見逃すわけがない。
「……それはなんだね?」
「え……あ……! 痛!」
咄嗟に子どもの手首を掴んで、隠そうとしたものを晒させる。
何かの薬瓶のようだった。
割れたグラスと床に零れている飲み物。
何かが頭の中で繋がる。
この訳の解らない事態を引き起こしたのは、花白で間違いないだろう。
「……説明したまえ」
「やっ…………その……僕だってまさかこんな風になるなん……」
「言い訳はいい。私は説明したまえと言っている」
どうしても声が冷たくなってしまうのを自覚しながらも、抑え切れなかった。
玄冬はどんな怪我でも直ぐに治るし、病気をすることもない。
そう、通常であれば。
救世主の子どもが絡んだ時は話は別だ。この子に何かあったら、ただではおかない。
「……っ……その、ほんの少しだけ身長が縮む薬だってきいて……だって玄冬は僕よりずっと背が高いし、少しくらい縮んでくれたらな……って……」
「……花白」
「それで、その薬を盛ったって?
そんな得体の知れないものを私の子に?」
「……その…………ごめん……なさい」
言い訳を続けず、直ぐに謝罪の言葉を口にしたのは上出来だろう。
だがそれで、はいそうですか、と言える訳もない。
「帰りたまえ」
「う……」
「聞こえなかったかい? 本格的に私が怒る前に帰りたまえ」
「……黒鷹」
私の言葉を嗜めるかのように、玄冬が私の袖を掴んでそっと引く。
これでも相当自制しているんだがな。
花白が玄冬に対して抱いている想いは解っているつもりだ。
悪意はないということも。
だが、それでも。
許容出来ることもあるが、出来ないことだってある。
今回は後者だ。
玄冬をこういう姿にしたのは不本意でも、薬を盛ったところまでは明らかにこの子どもの意思。
この子が怒りの表情一つ見せないのが、理解できない。
「……ごめんね、玄冬」
少しの間、花白はどうしたものかと考えあぐねていたようだが、やがて項垂れて、大人しく私達の家を出て行った。
救世主の子どもの気配が遠のいたところで溜息を大きく吐く。
さて。どうしたものかな。
薬の部類なら、しばらくすれば効力は抜けると思いたいが、これだけ姿形を短時間に変えてしまうようなものは、本当に元通りになれるのだろうか。
とりあえず、薬物関係の書物を漁ってみることにしよう。
何かわかるかも知れない。
――玄冬は僕よりずっと背が高いし、少しくらい縮んでくれたらな……って……
先ほどの花白の言葉が脳裏に蘇る。
気持ちはわからないとは言わない。
やり方に少なからず問題があるのは確かだが。
改めて、玄冬の姿を眺めてみる。
まさか、今更この子が幼くなった姿を目にすることがあろうとはね。
何処となく不安そうな表情をしている玄冬の頭をぽんと軽く叩いた。
「……まずは昔の服を持ってこよう。そのままだと不便だろう?
十年くらい前のだったら合うかな」
「ん……ああ」
「気分は? どこか具合が悪いとか、気持ち悪いとかはないかい?」
「茶を飲んだ直後は気分が悪かったが……今は落ち着いた」
幾分高くなった声のトーン。
声変わりしたのは何年程前だったっけな。
今の玄冬は10歳前後くらいに見える。
「それなら良かった。いや、良くはないが。
……色々本を探してみるよ。
解毒効果とか対処法が載っているかも知れないからね」
「……悪い。頼む」
「君が謝る理由がどこにあるんだい。君が気にすることは何も無いよ」
らしいと言えばらしい反応だ。
玄冬はやっぱり玄冬だな。
そのことに少しほっとした。
***
「……お前、まだ起きていたのか」
「うん? ……ああ、もうこんな時間か」
夕食と風呂以外はずっと部屋で本を漁って、対処法などがないか探していた。
そうしていたら、いつの間にか随分夜が更けていたらしい。
「あんまり無理するなよ」
「無理をしてるわけじゃないさ。君こそ大丈夫かい?」
「ああ。……なぁ、その……一緒に寝てもいいか?」
「勿論だよ。でも、珍しいね、君から言い出すのは」
栞を挟んでから本を閉じる。
今日はもう切り上げた方がよさそうだ。
せっかく一緒に寝たいという誘いもきたことだし。
大人の姿でないのが残念ではあるけれど。
さすがにこの姿で抱くのは気が咎める。
玄冬にしても、恐らく不安だから一緒にいたいとかそんなところだろう。
まぁ一緒にいられるだけでも、十分嬉しいからいいさ。
「じゃあ寝ようか。おいで」
「ん……」
***
腕の中にすっぽりと収まってしまう小さな身体。
少し高めの体温。
こうして抱いていると、何処となく懐かしくて微笑ましい気分になる。
が、玄冬の方はといえば。
どうにもぎこちないというか、落ち着かない感じだ。
やはり、何か違和感があるんだろうか。
「……眠れないかい?」
「……黒鷹」
「うん?」
「…………すまない」
「え?」
不意に玄冬が私の方により近づき、身体を密着させてくる。
衣服越しに伝わったのはころりと固い感触。
自分でも覚えのある感触は、場所を確認するまでもなく正体が解る。
勃って……いる?
「……玄冬?」
「何か……さっきから……おかしいんだ…………身体が熱くて……熱が……収まらない……っ」
私の胸に顔を埋め、腕を掴んでいる手から震えが伝わる。
掛かる吐息も熱い。
「玄……」
「壊れ……そう……だ……欲しくて……たまら……ない……!」
急激に身体が変化したことで、ホルモン等のバランスが崩れているんだろうか。
震えながら私にしがみ付いてくる玄冬が本当に辛そうで……心が軋む。
腰を押し付け、擦り付けてくる様に思わず手をその場所に伸ばした。
「あ……」
自分が何をしていたかを自覚したのか、ただでさえほんのりと染まっていた玄冬の顔が耳まで真っ赤になる。
「触ってあげるよ。……きついだろう?」
「ふ…………っ…………んんっ…………!」
服の上からそっと円を描く様に軽く撫でたあと、直接触れるために寝間着の中に手を潜り込ませた。
屹立している状態で手の中にほぼ収まるモノ。
下生えもないから、滑らかで扱くのも容易い。
どうにも不思議な感覚だ。
玄冬に触れているのに、そうでないような。
力を少し籠めると手の中でそれがびくりと震えた。
「あ…………!」
「……達けそうかい?」
「……抱…………て…………っ……」
「え?」
擦れた言葉が聞き取れず、玄冬の口元に耳を持っていくと途切れ途切れの呼吸の中で、確かに「抱いて」と聞こえた。
「……本気かい?」
この身体で? 成長してない状態の幼い身体で?
「で……なきゃ…………そ…………なこと……言えな…………!」
「触れてるだけでは足りないと?」
小さな頭がこくりと頷いて揺れる。
まいったな。
だが、滅多に自分でそういうことを口にしないこの子が言うということは、それだけ追い詰められているということを示している。
加減が解らずに壊してしまいそうで少し怖い。
だけど、君がそれを望むのなら。
「なんというか……酷く背徳的な気分になるのだけどね」
額に口付けを落とし、ついで唇を重ねる。
唇をこじ開けて、玄冬の口の中に舌を滑らせると
舌先でいつも触れているよりも小さな歯や舌の感触が伝わる。
ああ、やっぱり口の中も少し狭いな。
「ん…………!」
「……それでも、君の望みだ」
玄冬の望んだことを拒めない。
拒みたくはない。
自分が必要とされてるのが痛いほど伝わるのに、誰がそれを無下に出来る?
寝巻きの釦を外して、肌を露出させる。
胸元に口付けを落とすと身体が小さく跳ねた。
唇から伝わる肌の感触が瑞々しい。
指もするりと滑っていく。
「……っ……あ……やぁっ……」
甲高い声を聞きながら、全ての衣服を脱がせ、自分の纏っていた分も脱ぐ。
見下ろした身体の幼さに苦笑をつい零す。
かつては確かにこんなだった玄冬が、ああも大きくなっていたというのを改めて思い知らされる。
またこの姿を見られるとも思っていなかった。
可愛い愛しい私の子。
「黒……鷹……ぁ……!」
切なく零れる喘ぎ声。
無理矢理なわけじゃない。
合意の上で情を交わしているのだし、幼い頃の姿になってしまっていても、心は大人のままだ。
罪悪感を抱く必要はない、はずなのだが。
いつもと違う。
それがもたらす影響は予想以上に大きかったらしい。
玄冬にしては珍しいくらいに声を抑えていない。
「っ…………!」
幼いモノは勃っていても、容易く口の中にほぼ全て収められてしまう。
大きさは変わっても、形はそのままだ。いつもやっていることと大差はないはずだが、感じる刺激が強いのか、潤んだ目からは今にも涙が零れてきそうだ。
大丈夫、だろうか。
「…………ん……っ……あう……!」
しっかり慣らさなければ辛いだろうと、唾液を通常より多めに纏わりつかせ、玄冬の中に滑り込ませた指がきつく締め付けられる。
たかが指一本でこれでは、私を受け入れるのは相当厳しいはずだ。
「口だけで達かせてもいいんだよ? これだって気持ちいいだろう?」
だからそう言ったのだが、それには玄冬が勢いよく首を振って、拒否の姿勢を表す。
「玄冬」
「嫌……嫌……だっ……口だけじゃ嫌だ……! 繋がっていたい……っ!」
「……君」
目が今にも泣き出しそうだ。
背筋を駆けたのは求められてることによる快感か、それとも背徳による興奮か。
「このまま、自分が……自分じゃなくなりそう……で、怖い……!」
「君は君だよ? どんな姿でも。……まさか、私が姿形の変わった君を愛さなくなるとでも?」
「そんな……のわかって……る……! お前が……変わらないこと……なんて……っ。
……ただ俺が……怖いんだ……っ……だか……ら…………!」
「…………っ」
心も身体に引き摺られているのだろうか。
いつもの玄冬なら、決して口にしない類の言葉だ。
それを思うと自分の中心にも熱が集まる。
困ったな、ペドフィリア的嗜好は自分の中には無いとばかり思っていたんだが。
いや、これはやっぱり玄冬だからだろうな。
繋がりたくてたまらない。
幼い姿のこの子に確かに興奮している。
いつもと同じように。
もしかしたら、いつも以上に。
「……知らないからね」
「く…………んん……っ……」
壊してしまっても。
加減なんて、出来るかどうかわからない。
極力負担は減らそうと、指で中を広げるように馴染ませて、十分だと感じたところで指を抜いた。
足を開かせ、その中心に自分自身を宛がう。
「力を出来るだけ抜きなさい」
「んっ…………は……っ! ああ!」
何とか身体を繋げたものの、締め付けが酷くきつい。
快感というよりは痛みに近かった。
半分ほど侵入したところで、一旦止める。
「……く…………やっぱり……きつい……な。大丈夫……かい?」
「へ…………きだ……まだ……全部挿れてな……だろ」
「……続けても?」
「ん……」
肯定の言葉に促されて、もっと深くに入り込む。
ようやく痛みよりも包んでくれる熱の気持ちよさを感じ始めて、
玄冬の髪をそっと撫でるくらいの余裕ができた。
「……無理はしてないかい?」
「……ああ……。なぁ、もっと……近く……に」
「うん。ああ、でもこれだと君を潰してしまいそうだな。
体勢を変えよう。捕まりなさい。一度身体を起こすよ」
頷いて、しがみ付いてきた玄冬を支えながら、身体を起こし、私がベッドの上に横になり、玄冬がその私の上に乗るように仕向ける。
騎乗位にしておいた方がかかる負担は少ないだろう。
なんとか抜かずに済ませると、私の胸の上に頭を預けた玄冬が小さく呟いた。
「何か……おかしい……気分だ」
「うん?」
「……こんなに体格差がある……なんて」
「それは私が言いたいね」
玄冬の頭の位置が低いから、繋がったままじゃキスも出来やしない。
その分目一杯触れようと、手を玄冬の背中、腰、と滑らせて触れていく。
「……っ…………ん」
「……これだけでも感じるかい?」
中が震えて蠢いている。
感じているからか弛緩して、先程より少しだけ内部に余裕が出来た。
ごく軽く、ベッドのスプリングを使って腰を跳ねさせる。
「……あ……ああっ……!」
「これなら……きつくないね」
「ん……!」
動きそのものは弱くても、繋がりが強いせいか思っていたよりも刺激がくる。
後は精神的なものだろうか。
自分で予想していた以上に追い上げは早かった。
「く……ろた…………も……ダ……メだ……っ」
「いい……よ、達け……るから……」
「っあ! ……やぁ!」
「………………っ」
手を繋いで、それまでよりも一際強く腰を跳ねさせ。
自分の腹に玄冬の生温かい精液が散ったのを感じ、私も中で出した。
「……あ……ああ……」
身体が小さい分、いつもより深い場所で出したから感じ方が違うのだろうか。
私の吐き出した熱を受け止めながら、
崩れ落ちそうになった玄冬の身体をまだ力の入りきらない腕で支えた。
「……キスしよう。……おいで」
「ん……」
ずるりと、玄冬の中から自分を抜き出すと、
玄冬が少しふらつきつつも、身体をずらしてくれて唇を重ねた。
腹部にぽたりと落ちた生温い液体。
玄冬が身体をずらした拍子に中で出した白濁が零れ落ちたらしい。
それが何か無性におかしかった。
「……物足りない……と思った」
「そうだね。
キスするのに繋がったままで出来ないのは、考えていた以上に不便だ」
そういってもう一度キスを交わした。
これはこれで良かったけれど……やっぱりいつもの方がずっといい。
耳元で正直にそう囁くと、玄冬も苦笑いを浮かべながら頷いた。
***
「ん……重……い?」
翌朝。
何か身体の上にある重みが増した気がして、目を開けると玄冬の顔がすぐ傍にあった。
ありふれたはずの光景に、一瞬だけ違和感を感じたが、直ぐにその正体に気がついた。
玄冬の身体が戻って……いる? そっと大きさを確かめるように手を這わせる。
頭から顔、首、肩、背中……腰まで手が届いた時点で、玄冬も起きたのかうっすらと目を開ける。
「ん……黒……鷹?」
擦れてはいるけれど、昨夜の甲高い声とは違う、馴染みのある低い呟き。ああ、やっぱり……!
「戻ってる……戻ってるよ、君!」
「ん……何が戻っ…………え、あ!」
玄冬も気付いて、がばっと身体を起こす。
自分でもあちこち触れて確認すると私の方に向き直る。
「黒鷹……」
「あ……あははは!
よかった、よかったじゃないか、ちゃんと元に戻って!」
「あ、おい!」
思わずそのまま肩を抱いて、全身をあちこち触る。
多分、一瞬抗議の声を上げかけたんだろうが、結局玄冬は抵抗らしい抵抗もせず、私の為すがままにさせていた。
「ふふふ。やっぱりこれが抱きやすくていいね。
まぁ、昨夜の君も新鮮で可愛らしかったけれども」
「昨……夜……」
玄冬の顔が一瞬で窓の隙間から差し込む朝日よりも紅に染まった。
中々大胆な発言をしていたことを思い出したと見える。
「壊れそうで欲しくてたまらないとか言うし」
「ちょ……待て」
「腰を押し付けて、擦ることまでやってたしな」
「やめろ、頼むから……!」
「ふふ……だけど、どうせならやっぱりその姿で改めて抱きたいね」
「朝からか?」
「嫌かい?」
「…………な、わけないだろう」
「……言ってくれると思ったよ」
消えそうな声でだけど嬉しい呟きに額にキスを落とし、続いて唇を重ねた。
隅々まで、そうそれこそ君の内側まで。
ちゃんと全てが元通りになったかをしっかりと確認しなければ。
ねぇ、玄冬?
2005/08/02 up
黒玄メールマガジン(PC版)第11回配信分より。
薬を使った初ショタエロです(爆) 薬ってあたりがベタベタですね。
元来ショタ属性の全くない人間なので、恐らくこういう風に中身は大人、のパターンでないとショタエロは無理でしょうが、自分にもこういうのが書けたんだな、という意味では何か開眼した話です。
ちなみに花白は1ヶ月黒親子宅に立入禁止になったというオチ。
- 2008/01/01 (火) 00:24
- 黒玄