作品
Moonshine Dance
――Trick or Treat!!
――何かおくれ。でないと悪さをするよ。
***
「懐かしいね。
君とお揃いの服を着て、里に下りたのは何年前だったかな」
「……お前……っ……人が動いてる……っときに」
そう言って、私を見下ろしてくる玄冬は、途切れ途切れの声の間に荒い呼吸が含まれ始めて、随分と辛そうになってきてるのが感じられる。
窓から差し込む月明かりに照らされた顔は、悦楽に歪んでいた。
汗の浮いた額にそっと手を伸ばして、笑いかける。
「仕方ないじゃないか。つい思い出してしまうんだから」
元はといえば、君のせいだろうに。
里まで降りてみたら、ちょうどハロウィンの準備がされていて、もうそんな時期かと家に戻ってから、玄冬に試しに「Trick or Treat!!」と告げたら、それは子どもの方がいう台詞だろうと返されて。
でも、今日はお土産を何も買ってきてないよと言ったら、
じゃあ悪さをしてやろう、と。
めずらしく誘ってきたのは君なのに。
「あまり……感じてない、か?」
「いや? 気持ちいいよ。
ただね、君の方がもう限界じゃないのかなと。……ほら」
「……っ! ……あ! や……っ動くな……!」
せっかくの誘いだから、ほとんど私の方では動かず、玄冬が上で動いてくれるのに、身をまかせていたけど、ちょっと下から突き上げたら、玄冬の中が大きく震えた。
ぱたりと玄冬の汗が、私の肌の上に落ちてくる様子に興奮が高められる。
限界なのは私の方かな。
動きたくて、声を上げさせたくて、仕方がない。
こうやって、動いてくれるのにまかせて、繋がった箇所や玄冬の屹立したモノを眺めるのも、確かに興奮するのだが……性分かね。
やっぱり自分から動く方がいいらしい。
両手を玄冬の腰に添えると、慌てたような視線がこちらを見返す。
多分、君の想像通りだよ、玄冬。
「そろそろ私も『悪さ』をさせてもらうよ」
「っく……! ……あ……!」
強くした突き上げに、玄冬の顔が歪む。
その顔にまた、快感を呼び起こされながら、律動を速めて、二人で快感の中に溶けおちた。
***
――Happy Halloween!!
――本当はもう貰っている。君の存在自体をね。
そもそも、『悪さ』などではないのだから。
好きな相手が欲しくなるのは、当たり前のこと。そうだろう?
2004/10/31 up
2004年ハロウィン限定小説でした。
サイトに普通に置いたのはいつ頃か忘れましたが。
ハロウィンはどうもうちの玄冬は積極的な傾向に。
- 2013/09/10 (火) 01:37
- 黒玄