花帰葬-Novel Under Ver.

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Love surprise

「……黒……鷹…………やめ……っ」
 
行為をやめることを請う言葉にも耳を貸す様子はない。
それどころか生温いざらついた感覚が、より一層俺自身に絡み付いてくる。
今までも幾度となく繰り返されてきている。
 
――君の感じるところが見たいからね。……気持ち良いだろう?
こればかりは自慰では得られない感覚だしね。
 
「……っ…………!」
 
故意に狙って大きく立てられる水音。
くびれた部分に吸い付く唇。
舌先も先端を隈なく探る。
それでもいつもなら、そろそろ開放して抱いてくれるはずなのに、黒鷹は口での行為を止めようとはしない。
 
「ちょ……本……当……にまず……っ……!」
 
限界を訴える言葉も無視される。
何も言わずに唯ひたすら黒鷹の舌が動く。
 
「……ひっ、あ……! やっ!! …………!あ」
 
不意に深く口腔の中に収められ、止める間もなく射精の衝動が背筋を突き抜けていく。
どくりと脈打ったのは俺自身か、黒鷹の喉か。
反射的に突き放すように離れたけど、臨界点を超えた衝動が止まるわけもなく。
黒鷹の口元から胸にかけて、白濁をかけてしまった。
 
「…………っあ……」
 
まだ身体に残る悦楽の名残よりも、罪悪感が胸をさす。
なのに、目の前の黄金の瞳は笑っていた。
満足そうに。
 
「……随分出したね。気持ちよかったかい?」
「…………あ……ごめ……っ!? ちょ……黒た……!」
 
黒鷹が顔を軽く拭ったかと思うと、起こしていた身体を押し倒され、濡れた指でそのまま俺の脚を開かせて、奥に忍ばせてきた。
粘着質の水音は控えめだけれども、変に淫蕩に耳に響く。
 
「まだ達したばかりだからか。容易く指が入る」
「……く」
「そんなに慣れさせなくても、これだけ弛緩しているなら挿れても大丈夫だね」
「な! 黒た…………待っ……!」
「出来ない」
「……っ!!」
 
抜かれた指の代わりに入り込んできたもっと熱い楔。
興奮の落ち切っていなかった身体が黒鷹の感覚を思い出して、ざわめいていくのがわかる。
つい背に縋った腕。近くなった黒鷹の身体。
微かに鼻をつく生々しい精液の匂いは、先ほど出した自分のものだとわかっていてもなお、気分が引き摺られ、高められて行く。
 
「……ん……あ」
 
律動に零れそうになる悲鳴を必死で噛み殺すと、黒鷹が苦笑する。
 
「普段は……素直な癖に、どうしてこういうときはこう、強情なのかね……っ」
「うる……さ……っ」
「セックスは相手に全部さらけだして、さらけだされて……愉しむものだと言っただろう?
遠慮なんてして……何になるね?」
「遠慮して……なん……かっ……」
「嘘だね。
……だったら、どうして一人で慰めたりなんてしたんだい?」
「っ!」
 
私がいるのに、と零れた言葉。
心当たりは一つだけあった。
昨夜、ふいに夜中に目が覚めて。
直前まで見ていた夢が黒鷹と触れ合うような夢だったものだから、触れたくてたまらなくなったけど、時間が時間だったから部屋にいくのは躊躇われた末に、結局自分で処理した。
朝だって、いつもと変わらなかったし知られてるとは思わなかった。
 
「だ……って、あんな時間……っ!」
「私が君の誘いを拒むとでも?」
「そんな…………じゃ……な……」
 
繋がった場所の熱さに蕩けそうだ。
 
「欲しければいつだって求めてくれればいい。
……されたいのは遠慮じゃないよ、玄冬」
「っ…………あ……!」
「私だって、誘われたら……嬉しい……からね……っ」
「黒……鷹……!」
 
苦笑を浮かべた黒鷹に、ようやくこんな風に抱いてきた理由がわかってしまった。
口付けをねだると、まだ口の中に残ってるよ、と呟かれたけど。
それでもキスしたいから、と返すと深い口付けを交わす。
口付けながら、黒鷹も俺も達した。
全身で溶けそうな感覚は心地良かった。
 
***
 
「言っておくけどな」
「うん?」
「大抵は俺が言おうとする前に、お前が誘ってくるから。
……誘えなくなってるのは、俺だけのせいじゃないんだからな。拗ねるなよ」
「……拗ねていたわけじゃないけれども?」
「そういうことにしておいてもいい」
「そんな言い方をするなら、また抱くよ?」
「朝なら、な」

2005/11/30 up
黒玄メールマガジン(PC版)第18回配信分より。
顔射が書きたかった覚えはあります。←オブラートに包め

  • 2013/09/10 (火) 03:03
  • 黒玄

タグ:[黒玄][黒鷹][玄冬][日常ほのぼの][玄冬視点]

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