作品
抱き上げ
「う……」
「……っ……苦しい……かい?」
初めて、後ろから挿入する形を取っては見たものの。
慣れない体勢の所為か、繋がった箇所の締め付けは痛いほどだ。
唇から零れ落ちる呻きが示しているのは、どう聞いても苦痛。
挿入の角度も深さも、今まで経験させて来たのとは違う。
辛くないわけはない。
少し見える横顔だって酷く強張っている。
「……今日はやめるかね?」
あまりの痛々しさに、そう声をかけたが玄冬は黙って首を振る。
「無理しなくてもいいんだよ」
今ならまだ抑えは効くから。
焦る必要はどこにもないし、少しずつ慣れていけばいいだけの話だ。
痛い思いや苦しい思いをさせたいわけじゃない。
「慣れ……っ……だと思う……からっ……」
「……玄冬」
「……まえ……だって、痛い、だろう……」
「私のことは気にしなくていいよ」
「んっ……!」
汗の浮いた背中に唇を落とすと、僅かに繋がった箇所に余裕ができた。
一瞬、聞こえた声は少し甘さが混じっている。
このまま、上手く力が抜けるかも知れない。
「……本当に辛くなったら、言いなさい」
「ん……っ……あっ…………!」
そのまま、背中のあちらこちらに口付けを落とす。
その都度に玄冬の内壁がピクリと震え、少しずつ強張りが解けていく。
腰を支えた手でそっと、肌を撫でていくと、より一層繋がった場所が反応していく。
そろそろ大丈夫かな。
「少し……動くよ?」
「……んっ…………くぁ……っ……あ!」
「……ああ、ここかな」
ゆっくりと腰を揺らすと、ある1点で玄冬の声が甲高く上がった。
痛みではなさそうなのを確認すると、その場所を狙って突き上げた。
玄冬の身体ががくがくと痙攣し始める。
「もう、大丈夫だね?」
「……う……くっ……!」
より律動を激しくしてやると、玄冬の声が断続的に上がる。
そっと玄冬のモノに手を伸ばすと、背がのけぞった。
よかった、感じてくれているらしい。
「……玄冬……っ」
「……っ……黒……鷹……っ……!」
名前を呼んでくれる声はあまりにも切なげだ。
不覚にも一気に情欲の波が襲ってきて。
……留められずに、そのまま玄冬の奥で達した。
「ふっ…………! くぁ……!」
深いところに感じたからだろうか。
玄冬もまた私の熱に誘われるように、開放させていた。
シーツに白濁が飛び散る。
「……う……あ……」
「……大丈夫かい?」
シーツを掴んでた腕に頭を預けるようにしていた玄冬が、視線だけをこちらに投げかける。
「これ……」
「うん?」
「まずい、かも……知れない……」
快感が強くて、という言外に秘められた言葉がわかって少し嬉しくなった。
「深く繋がれるから、ね」
「……口になんか、するな。そういうの……」
「……馬鹿な子だね、君は」
耳元に口を寄せて、そっと囁いた。
「口にしなければ、解らない事だってあるのだよ」
そして、解っていても口にして欲しいことも。
だから私に教えてくれ給え。
悦びも苦痛も愛しさも痛みも、君が感じること全てを。
2004/09/06 up
黒玄で48手からNo6。
2004年の黒玄の日更新のラスト分だったようです(笑)
あんまり、初めてのいちゃいちゃから日にち経ってないくらいで。
- 2013/10/04 (金) 02:43
- 黒玄