作品
帆かけ茶臼
「足は上げられるかね?」
「……ちょ……待て。いや、こっち見なくていい……っから……」
「……思ったより身体固いね、玄冬」
「悪かった……な……っ……ん……っ」
変に冷静に言われて、気恥ずかしさと悔しさがないまぜになる。
……いや、悔しいとかいうのもどうかとは思うんだが。
足を肩の上に上げやすいように、黒鷹が支えてはくれてるのだが、どうにも、上手く上がらない。
「……こうした方がいいかね」
「く……あ……っ!」
肩に上げようとしていない方の足を支えていた黒鷹の腕が外れて、同じ側の俺の腕を取って、しがみつかせるような感じにされたと思うと、上げかけていた方の足を一気に抱えて、肩に乗せられた。
その拍子にずるりと黒鷹が深く入ってきて、たまらず声をあげる。
繋がった箇所に微かに触れる、下生えの感触。
それが益々深く繋がってることを、嫌がうえにも意識させられた。
黒鷹が軽く身体を揺すり始めて、快感の漣が身体に来るが体勢のせいか、どうにも集中できず落ちつかない。
「……辛いかい?」
察してくれたのか、黒鷹が動きを止めて尋ねてくる。
「……ちょっと、な」
「……仕方ないね。足を下ろすから、少し力を抜きなさい」
「ああ……」
黒鷹が俺の足を肩から静かに下ろすと、身体を引き寄せて抱きしめてくれた。
合わせた肌の暖かさが心地よくて落ちつく。
こんなことをしていて、落ちつくと言うのもおかしいかも知れないが、安らぐのも確かだ。
結合は少し浅くなったが、満たされている感じはする。
「……こっちの方が……私もいいかな」
「ん?」
「君を抱きしめてるというのを強く思えるからね。
顔だってこんなに近くにある」
そういうと黒鷹が俺の頬に手をあてて、唇を寄せて来る。
請われるままにそれを重ねて、柔らかい感触を愉しんだ。
同じ思いでいてくれてよかったと、心の中でこっそりと感謝して。
2004/07/31 up
黒玄で48手からNo22。対面座位の一種です。
受側が攻の肩に片足かけるのを、帆に見立てるからこの名前だそうな。
玄冬はあまり柔軟性がないだろうと思ってこんなんに。
48手のうちのいくつかは多分キツイだろうなぁw
なんでそうなったっていうようなアクロバットなのあるし。
- 2013/10/09 (水) 00:44
- 黒玄