作品
蕩果(とうか)について
「神は、原初の人の魂を二つに分け、その器として男と女を作った。
だから、男と女は互いを求め合う。満たされたくて、一つに還ろうとして────」
真実であるなら、その逆も可能なはずだと考えた者がいた。
溶け合うことができれば、一つに還ることができれば、原初の人間のように、
幸福と不老不死が手に入るはずだ、と。
「──蕩果を用いて交わった男女は、感覚を、悦楽を共有できる。
これをつきつめれば、溶け合い、一つに還れるはずだ」
蕩果を一言で言い表すのなら“他者と感覚を共有させる薬”。
故に、蕩果の効力が続いている状態で男女が肌を重ねると、
相手の感覚を自分のものとして感じ取ることになるため、
単純に二倍の悦楽を味わうことになる。躰が溶け合うような、強烈な一体感と共に……。
だが、その効力には個人差が大きい。場合によっては何一つ効力を体感できずに終わることもある。
蕩果が主に作用するのは服用者の精神的な面であるために、
まず何より先に求め合う心がなければ意味がなかった。
けれど、仮に。何らかの手段を用いて、理性を麻痺させることが出来たとしたら。
互いを許し合い、抱き合える誰かが欲しくて、心の奥底で常に疼き続けている、
そういうヒトの本性を解き放つことができ、その状態で、蕩果を用いることができたとしたら。
手を繋いだだけで躰を重ね合わせることと同等以上の快楽が手に入り、
相手が感じている悦楽を自分のものとして感じ取ることができ、
心の奥底に眠っている愛情、欲求、情念をも自分のことのように感じ取り、
本能のまま、我を忘れて狂ったように求め合うことができることになる。
蕩果が、そういう唯一無二の強力な媚薬に化けるのだとしたら、
その誘惑に抗うことはできるだろうか……?
※上記アリスソフトの説明文参照。
男女というのが前提ですが、ここでは男男もありってことで。
- 2008/01/03 (木) 00:00
- 解説等
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