作品
桜璃が生まれる直前あたり
※時間軸は第10話と第11話の間になります。
「何を編んでいるんだね?」
「ん? ああ、靴下だ。小さいから直ぐに編めるし、いくらあっても困るものじゃな……っ……」
「どうかしたかい!?」
顔を顰めて、お腹を押さえた玄冬に何かあったかと慌てたが、玄冬はそれに気付いたのか、苦笑いを浮かべて、私の手をとり、そっとその場所に導いた。
「大丈夫だ。中からちょっと蹴られただけだから。……ほら」
「あ」
衣服越しに軽い衝撃が掌に伝わる。
ああ、かかとだな。これは。
こんなに小さいのに形がわかるのが不思議だ。
「ふふ……元気な子みたいだね」
「誰かに似て落ち着きがないらしい。最近、しょっちゅうやられてる」
「……誰のことだい」
「お前以外に誰がいる」
「落ち着きないかねぇ」
「……あると思ってたとしたら、そっちにびっくりだ」
2005/07/04 up
言葉の欠片でやった小ネタ。
- 2008/01/01 (火) 00:17
- 第一部:番外編