作品
流れ星に願いを
※第二部進んでないので、先行ネタバレになりますが、
それでも構わないと言う方だけお読み下さい。すみません。
「あっ! ねぇ流れ星!」
す……と夜空に明るい線を描いて星が流れ落ちる。
満天の空の下。
皆揃って浴衣を着、静かな中で星を眺める。
たまにはこんな夜も悪くない。
玄冬の作ってくれた水菓子と冷えた茶を手に桜璃を膝に抱いて。
夜に外に出ることはほとんどさせないからか、桜璃は何時になくはしゃいで目を輝かせている。
「おっ、本当だ。凄いね。桜璃、お願い事はしたかい?」
「うん! あのね、短冊に書いたのと一緒のことお願いしたの!
パパとママと桜璃とで、ずっと皆仲良く一緒にいられますようにって!」
「……そうか」
『ずっと』『皆で』
一緒にいられるのならどんなにか。
――俺の選択は変わらない。……時が来たら、また。
――だって、お前はともかく。滅びた世界で桜璃は生きていけないだろう?
――お前が桜璃を守ってくれると解っているから、俺は……。
子どもが出来たら、君を繋ぎとめられるかと思った報いだろうか。
繰り返し生を受けた君を殺すことを選択しているのは自分だというのに。
桜璃が生まれて以来、一切子どもの授かる様子はない。
特に避けているわけではないというのに。
きっとたった一人の娘だ。後にも先にも。
――お前だって、解っているんだろう?
ああ、そうだ。解っている。
だから、せめて。
「そうだね、ずっと一緒にいよう」
彦星と織姫のように、また永い時間離れ離れになるそれまでは。
2005/07/07 up
Web clap res&short storyでやった七夕話。
- 2008/02/01 (金) 01:07
- 第二部:番外編
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