作品
冠の代わりのキス
※第二部進んでないので、先行ネタバレになりますが、
それでも構わないと言う方だけお読み下さい。すみません。
「桜璃、パパと今から里に……」
「しっ! ……つい今さっき眠ったところだ。起こすな」
桜璃を誘って、里まで買い物に行こうかと思ったら、我が家のお姫様はお昼寝中だった。
玄冬の膝を枕にして。
可愛い光景につい笑みが零れる。
元々桜璃は玄冬似だけど、こうしてみると寝顔は本当にそっくりだ。
「残念だな。少し出かけてこようと思ったのに」
桜璃の身体にそっとマントをかけてやって、玄冬の横に静かに腰掛ける。
「何ならお前一人で行ってきたらどうだ?」
「やめとくよ。桜璃に見せたい店があったんだけど、一人で行ってもつまらない」
「見せたい、ね。違うだろう。
お前は桜璃を見せびらかすつもりで連れて行こうとしてた。違うか?」
「……お見通しだね、さすがに」
苦笑いをしている玄冬の頬に軽くキスをする。
「可愛い我が家の姫君を連れて歩きたいというのは、当然じゃないか」
「気持ちはわかるけどな。確かに可愛いから」
「そう、君によく似て、ね。眠っていると本当にそっくりだ」
起こさないよう、静かに桜璃の額にキスを落とす。
次いで、もう一度玄冬の唇に優しく。
目元をほんのり染めた玄冬が表情を崩す。
「……キス魔」
「悪かったね。でもするのは君と桜璃にだけだよ」
「ん……それはわかっている」
「ああ、すまない。まだここにしてなかった。
桜璃にだけじゃ不公平だね」
「え……あ」
少しだけ拗ねて、視線を逸らした玄冬が可愛くて。
玄冬の額に口付けを落とした。
まったく可愛いったらないね、うちの2人のお姫様は。
2005/07/17 up
一日一黒玄でやったKfir(閉鎖)で配布されていた
「”好きすぎる人”との10題」、No7でした。
- 2008/02/01 (金) 01:08
- 第二部:番外編
タグ:[第二部:番外編][”好きすぎる人”との10題]