作品
ぬくもり
※第二部進んでないので、先行ネタバレになりますが、
それでも構わないと言う方だけお読み下さい。すみません。
「んー、いいねぇ露天風呂!
景色はいいし、お湯は気持ちいいし、お酒は美味しい。最高だ!」
「酔って、お湯の中で眠っても置いていくからな。
桜璃、大丈夫か? 熱かったり、寒かったりはしないか?」
黒鷹が、散策中に温泉を見つけてきたと言ったものだから、今日は3人でその温泉に浸かりに来ていた。
お湯の深さが結構あるから、桜璃は俺が抱いていれている。
「うん、大丈夫。ママこそ大丈夫? おっぱいちょっと冷たいよ?」
桜璃が湯から出ている部分の胸を小さい手でぺちぺちと叩く。
抱き方の加減で、湯には胸の途中からしか浸からせていないからだろう。
自分では冷えたという感覚はないけども。
「大丈夫だ」
「そっか、ならいいの。んー、ちょっと冷たいのが気持ちいい」
「こーら。いくつになったんだった?」
「えへへー」
胸に頬を擦り付けてきた桜璃を口では窘めつつも、髪を撫でてやる。
小さい温もりが触れる場所だけでなく、心まで温かくしてくれる。
「むっ! ダメだよ、桜璃!
君は大きくなったのだから、おっぱいは卒業しなければ!
あのね、小さい頃は確かに構わない。
おっぱいというのは赤ちゃんを育てるものだからね。
だが! 基本的にママのおっぱいは、パパのものと相場が決まっているんだよ!
だから今そうやって、ママのおっぱいに触っていいのはパパだ……たっ!」
畳み掛けられた馬鹿な言葉には足蹴りで返す。
湯の中だし、威力もさほどないだろう。
急所も狙わなかっただけ、ありがたいと思え。
「……ひ、酷い……! 妻が娘の前で夫に暴力を……!
ドメスティックバイオレンス!」
「黙れ、人聞きの悪いことを言うな、酔っ払い。
くっ付きたければ勝手にくればいいだろう」
触るな、なんて言って無いんだから。
2005/08/26 up
一日一黒玄でやった創作者さんに50未満のお題で配布されている
「溺愛10のお題」、No9でした。
- 2008/02/01 (金) 01:18
- 第二部:番外編