作品
もしも……
※第二部進んでないので、先行ネタバレになりますが、
それでも構わないと言う方だけお読み下さい。すみません。
あと、男女エロほんのり入りますので、ご注意を。
「…………っ! あ!」
「……ん!」
深く奥を突き上げる。
先端を包む他より少し固い感触。
男性だった玄冬を抱いてたときのように、底の見えないような場所に引き摺りこまれるのとまた違って、限界があるというのが内部の隅々まで踏み込んでいるという気がする。
突き上げのたびに、玄冬が背に回した手に籠めた力が強くなる。
そして、びくびくと細かく震える内壁に限界が訪れ、堪えきれずに玄冬の中に放つ。
深く、胎への入り口に。
命を宿す場所。
桜璃は間違いなくここに宿って生まれてきた。
何より可愛い私達の一人きりの娘。
「……もしも、今の行為で子どもが出来ていたとしたら」
柔らかい腹部を優しく擦る。
まだ熱が絡み付いてるのに、つい想像してしまったことに、急激に熱が冷めていく自分がわかる。
「君は、君自身だけでなく私たちの子どもも殺すことになるね」
「…………っ!」
酷く歪んだ顔。
玄冬は動揺して言葉が出せないらしい。
繋がりは解かないままにそっと身体を抱いて、長い髪を指に絡めて弄ぶ。
「……すまない、流石に性質の悪すぎた発言だった」
「…………黒鷹」
桜璃が生まれてから随分たつけど、子どもの授かる気配はあれからは一度だってない。
だから、今の行為でも玄冬が桜璃の弟か妹に当たる子どもを宿した可能性は低いだろう。
身体の周期を考えても。
それでも、つい口をついて出た。
行かないで欲しかった。
桜璃が生まれて、君は自分自身にも執着を持ってくれるかと期待したけれど、選んだ道はいつもと変わらなかった。
君が女の子で生まれたことに何か意味があればと願ったのに。
「桜璃は……お前にしか頼めない」
「……わかっている」
だが、だからこそ。
この子はそんなことを言って逝くのだ。
私が桜璃を守るのがわかっているから。
「次、俺が生まれたらまた……」
「いいよ。それ以上はわかっている。
……わかっているから聞きたくない」
残された僅かな時に聞きたい言葉はそれじゃない。
肩に頭を埋めると、玄冬が静かに髪を撫でてくれた。
「……ごめんな」
「そう言うくらいなら、行かないで欲しいね」
そして、この子がそれを出来もしないのを知っていながらそう言った。
ずっと、ずっと。
せめて桜璃が成長して大人になるまでは。
三人で過ごしていたかった。
2005/11/03 up
言葉の欠片でやったネタですが、日付は不明。
up日はツカラク小ネタブログに上げた日みたいです。
- 2013/02/01 (金) 01:22
- 第二部:番外編
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