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鋼鉄の理性と酔っ払い<エリオスライジングヒーローズ・ブラキス>

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2022/09/11に開催されたブラキスWebオンリー『お迎えはお小言と共に』での展示作品でした。
R15程度の性描写あります。

初出:2022/09/11 

文字数:2787文字

 

[Keith's Side]

ブラッドが日本酒を取り寄せたからと、珍しくアイツの方から飲みに誘ってきた。
こっちから飲みに誘っても、かなりの確率で時間が取れないと断られる相手に飲もうと言われて、乗り気にならねぇわけもなく――結果、想像以上に度数が強かったその日本酒で結構酔いが回った自覚は確かにある。が。

「そろそろシャワー浴びてベッドに行こうぜ、ブラッド」
「酔っ払いを抱く気はない。今日は大人しく寝ろ。それに今の酔い方では勃たんだろう」

夜の誘いは間髪入れずに断られた。
残念そうな素振りも見せねぇ。
寧ろ予想していたと言わんばかりの対応だ。
……まぁ、酔いが回って勃ちそうにねぇってのはその通りではあるんだが。

「オレは勃たなくたっていいだろ。お前さえ勃ってりゃするのに問題ねぇ」

ボトムなのはオレの方なんだし、そもそもペニスを扱いて得られる快感と、中から前立腺を刺激して得られる快感ってのは、近いようで別物だったりする。
別に酔ってなくても、セックスの時にこっちが常に勃った状態だとは限らない。
それでも、ちゃんと気持ち良さはあるのはわかってるから、したいって思うが。

「俺が嫌だ。過去にも何度か言っているが、俺は酔っ払いを抱く気はない。その気にならん。諦めろ」
「ぐっ…………」

だったら、その気になるよう実力行使してやろうじゃねぇかと、ブラッドの股間に手を伸ばす。
視界の隅でブラッドが眉を顰めたのが見えたが、止めては来なかったのを良いことに、構わずスラックスの上からブラッドのモノを撫で上げる。
焦らすように弱く指先だけで撫でたり、逆に手のひらを押し付けるように強めに擦ったり。
が、伝わる感触に変化はない。腹立たしくなるほどにそのままだ。
曲がりなりにも恋人の愛撫に対して、無反応ってのはあんまりじゃねぇの?
鋼鉄の意志にも程がある。有り得ねぇ。
つい恨みがましい視線を向けると、ブラッドが溜め息交じりに呟いた。

「…………いい加減、気は済んだか」
「お前、不能か!? こんだけ触られて硬くなんねぇってなんなの!?」
「…………俺が不能でないのは、貴様が一番良く知ってると思うが。もう一度言う。酔っ払いを抱く気はない。その手を退けろ」
「くそ……こうなったら口も使って……」
「退けろと言っている」
「………………う……」

鋭い眼光と低くなった声は本気で怒る寸前だ。
10年以上の付き合いにもなりゃ、超えていい一線かダメなヤツかの区別はつく。
下ろしかけたブラッドのスラックスのファスナーを戻して、ブラッドから手を引いた。
そのまま、ブラッドの太股の上に頭を乗せて横になると、微かに視線が和らいで、髪が撫でられる。
抱く気はねぇのに、こんな触り方してくんのもなんなの、コイツ。
太股から伝わる体温と、優しい撫で方で急に眠気が襲ってくる。
せっかくのブラッドとの飲みだ。まだ眠りたくねぇんだけどなぁ。

「ちっ……久々だから期待してたのに」
「こちらの台詞だ。お前がここまで酔わなければする予定はあった」
「だから、オレはいいっつってんじゃん」
「俺は嫌だ。何度も言わせるな。――朝、酒が抜けていればその限りではないが」

大分眠くなってきた中で、言われたそれは聞き逃さなかった。

「朝、ならいいんだな?」
「酒が抜けていればな」
「よし、わかった。じゃ、今日は寝よう……ぜ……」

意識が落ちる寸前、ブラッドの笑い声が聞こえたような気がした。

[Brad's Side]

日本にいても入手困難との評判の日本酒を運良く入手出来、せっかくだからキースにも飲ませたいと飲みに誘い、キースがつまみを用意してくれて酌み交わしていたまではいい。
しかし、酒が口当たりが良い割に強いものだったようで、気付けばキースはかなり酔っていた。
キースの場合、酒が好きだが強いかというとそうでもなく、油断していると直ぐに潰れる。
気をつけていたつもりだが甘かった。
今夜は大人しく眠ることにして、そろそろ片付けるかと思っていた矢先、キースが艶めかしい表情でしなだれかかってきた。

「そろそろシャワー浴びてベッドに行こうぜ、ブラッド」
「酔っ払いを抱く気はない。今日は大人しく寝ろ。それに今の酔い方では勃たんだろう」
「オレは勃たなくたっていいだろ。お前さえ勃ってりゃするのに問題ねぇ」

確かにそれは一理ある。
だが、体の機能的な面で問題なくとも、酷く酔った状態のキースは最中の記憶をほとんど覚えていない。
俺はその状態でキースを抱きたくない。
愛撫も睦言も何もかも忘れて、翌朝に体に残る微かな違和感だけを頼りに、昨日オレたちヤったっけ?などと、しれっと言われたときの空しさは何度も味わいたいものではない。

「俺が嫌だ。過去にも何度か言っているが、俺は酔っ払いを抱く気はない。その気にならん。諦めろ」
「ぐっ…………」

諦める気になれないのか、キースが俺の股間に手を伸ばしてきた。
その気になれないのなら、してやろうという魂胆だろうが無駄だ。
大体、今こうしていることも、恐らく翌朝には綺麗さっぱり忘れているのだろうと考えると、どうしてその気になれるというのか。
しばらく、キースが触るがままにさせていたが、俺が反応しないことに焦れてきたのか、不満げな表情を見せた。
…………人の気も知らずに。

「…………いい加減、気は済んだか」
「お前、不能か!? こんだけ触られて硬くなんねぇってなんなの!?」
「…………俺が不能でないのは、貴様が一番良く知ってると思うが。もう一度言う。酔っ払いを抱く気はない。その手を退けろ」
「くそ……こうなったら口も使って……」
「退けろと言っている」
「………………う……」

キースがスラックスのファスナーを下ろしかけていた手を止め、やや逡巡した後ファスナーを元に戻した。
そうだ、それでいい。
さすがに諦めたらしく、キースが俺の太股に頭を乗せ、横になってきたから、そっと髪だけ撫でてやる。
この柔らかい癖っ毛に触れるのは気分が良い。

「ちっ……久々だから期待してたのに」
「こちらの台詞だ。お前がここまで酔わなければする予定はあった」

事実、スキンもローションもバッグの中に入れてきている。
俺とて、ただ酒を飲むだけが目的でキースの家を訪れたわけではない。

「だから、オレはいいっつってんじゃん」
「俺は嫌だ。何度も言わせるな。――朝、酒が抜けていればその限りではないが」

酒さえ抜けていれば、キースが記憶を飛ばすことはないだろう。
それなら俺にも異存はない。
明日は夜に外せない会議があるが、それまでは緊急の呼び出しさえなければ問題なく二人で過ごせる。
朝日に照らされ、キースの様子が隈無く確認出来ると思えば、それもありだろう。

「朝、ならいいんだな?」
「酒が抜けていればな」
「よし、わかった。じゃ、今日は寝よう……ぜ……」

納得して安心したのか、キースがあっさりと眠りに落ちる。
仕方のない、可愛い男だと思いながら、後数分はこの体勢を楽しむことに決めた。

 

ブラキスWebオンリー、展示用に書き下ろしました。
ブラキス最後に書いたの、ワンドロ&ワンライさんの最終回だったので、ほぼ一年半ぶりに書いたブラキスです。
私にしては割とすんなり決まったタイトル。
タイトルでまぁ察するかとキャプションは簡潔にしてます。
ちょうどこれ書いてる最中に、キスブラ描き兼書きのフォロイーさんが酔っ払いに手を出さないブラキス漫画描かれててしみじみわかるわ……ってなりました。
(あと、その前後のツイートで、トップだとゴムないと絶対やらないのに、ボトムだと時に生でいいって言っちゃうブラッドも解釈一致すぎた)

 

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