お絵かき会でのテーマにより、【推しのコスプレ(内容自由)】が出たので、鹿島くんにfine(風の)衣装を着せてみた話になります。
あんスタとのクロスオーバー。一応、堀鹿だけどあんまりカプは意識しないで書いてます。
※お題は私が提出したものの一つ。
申し合わせたわけじゃないのに、他のお絵かき会メンバーがやはりfine衣装を着た鹿島くんを描いていたため、偶然の一致にびっくりしました。正にAmazing!
執筆時間およそ一時間ちょっと。描写不足しているとこあるから、後日ちょっと手を加えたい。
初出:2018/02/04
文字数:1577文字
「せんぱーい。演劇部で処分するような衣装って何かありましたっけ」
「あ? なくはねぇけど、それどうすんだよ」
年に一度の部室大掃除の日。
部室奥にある倉庫で、演劇部が所有している大道具のチェックを一人でしていたら、鹿島が来てそんなことを言ってきた。
「さっき、手芸部の子が来て、もしいらなくなった演劇部の衣装があれば、練習がてらにリメイクして戻してくれるって言ってたんですけどどうします?」
演劇部の衣装は外部に依頼しているものも多いが、何枚かは手芸部に依頼していたりする。
主役級の衣装を任せることはあまりねぇが、脇役の衣装や、端役の衣装なんかは依頼していて、昔から交流というか協力関係にあった。
が、リメイクの話が出たのは初めてかも知れねぇ。
俺の入学前はあったかもしれねぇが、俺が演劇部に入って以降は覚えがない。
「リメイクってことは、前の原型を残しつつか?それとも、全然違うものに仕立てるって感じか?」
「後者みたいですよ。今までと違うやり方を試してみたいって話だったんで」
「いいんじゃねぇの。処分する予定のもんなら仮に多少失敗したとこでこっちの損にもなんねぇし。衣装担当のやつらがもう処分予定の衣装分けてるだろうから、それ手芸部に渡すよう言っとけ」
「はーい、了解です!」
***
と、そんなやりとりがあってから一ヶ月ほど。
処分予定だった数枚の衣装は一枚の煌びやかな衣装になって戻ってきた。
手芸部に渡した分は村人役とか、学生服っぽい衣装だったから、こんな王子っぽい衣装が出来上がるとは正直完全に予想外だ。
鹿島が手芸部のやつから預かってきた衣装は少しくたびれた感じこそ残っていても、まだまだ使えるように思える。
「凄ぇな。リメイクってここまで違うもんになるのか。王子の衣装であってるか?」
「結構な枚数あったから出来たんだそうですよ。あ、王子じゃなくて男性アイドルの衣装を想定したものだそうで」
「男性アイドル……ってことは試着するならやっぱりおまえだな。適当にこれに合いそうなスラックス合わせて着てみろ」
「えー、先輩似合うと思いますけどねぇ。まぁ着てきます」
鹿島がリメイクされたばかりの衣装と、元々の衣装ケースに入っていた白のスラックスを取り出して更衣室に向かう。
そして、数分後。
着替え終わった鹿島が出てきた。
「先輩、どうです?」
「おう、似合うじゃねぇか。仕立ても悪くねぇ。これリメイクしたやつマジで凄ぇな。何となく見覚えありそうな気もするが……思い出せねぇ、何だっけ」
「実在するアイドルの衣装を参考にしたって言ってたからそれじゃないですか? えーっと、確かfine……とか言ってたような」
「ああ? だったら劇で使うのは厳しいな。アイドルの衣装なら知ってるやつも多いだろうし、うちがコンクール等に出てないとはいえ、身内での練習劇ぐらいに使うのを留めておいた方が無難か。勿体ねぇ気はするけど」
「それもそうですねぇ…………Amazing!」
鹿島が最後にそう言いながら指をパチンと鳴らすと、ようやく俺の中で繋がったものがあった。
「ん……? って、ああ! fineってあれか! 夢ノ咲学院の演劇部部長がやってるユニットか!」
「先輩気付くの遅っ! そうですよ、日々樹先輩がやってるアイドルユニットの衣装です!!」
「はー……なるほどなぁ。というか、おまえアイドル衣装もハマるあたり流石だな。日々樹っぽいウィッグって……ねぇなぁ」
「日々樹先輩、かなり髪長いですしねぇ。まぁ、でもそれこそウィッグまで揃えちゃっても使う機会ないし、とりあえずはこれで我慢しといてください」
予め仕込んでいたのか、鹿島が優雅な動作でどこからともなく紅い薔薇の造花を取り出し、俺に差し出す。
アイドルも悪くねぇけど、やっぱりこいつはアイドルより王子ってイメージ強いよなぁと思いながら、俺も恭しい動作でそれを受け取った。
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