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年賀小説<月刊少女野崎くん・堀+ちよ>

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初詣での堀+ちよ。カプ要素じゃなくコンビ要素とかカプ未満って感じなので+です。

野崎くんのキャラはコンビでも色々可愛いですよね╭( ・ㅂ・)و ̑̑

初出は以下の日付(フォロワーさんに渡した日)ですが、他の年賀小説が姫初めばかりでpixivUP分に纏められなかった為に、サイトで改めて公開したのは結構遅かった気がする。

初出:2015/01/03

文字数:1665文字 裏話知りたい場合はこちら

 

「あれ? 佐倉?」

「え? あ、堀先輩!」

 

神社に初詣に来て、参拝を済ませ、帰る為に人混みの波をかき分けていると、すぐ隣によく見知った顔があった。

 

「先輩も初詣に来てたんですね。今日は一人なんですか?」

「まぁな。受験の合格祈願も含めて来ておこうかと。おまえは?」

「鹿島くんや結月と来てたんですけど、この人混みではぐれちゃって。移動しようにも中々動けないですし」

 

この人混みの波に抗うのはキツい。

佐倉は小柄だから、尚のことだろう。

 

「あー、これじゃな。待ち合わせ場所とかあんのか?」

「一応。おみくじやってるところで落ち合うってなってますけど」

「……思いっきり逆方向じゃねぇか」

 

このあたりの人の流れにそのまま乗ってしまうと、目的の場所からは遠ざかる一方だ。

俺はもう帰るだけで他に用事もない。

帰っても受験勉強が待ってるだけだ。

なら、少しくらい寄り道するのはいいだろう。

 

「佐倉、ちょっと手ぇ貸せ」

「え? わっ」

 

佐倉の手を繋ぐと、少し人の流れが緩やかな方を目指して歩く。

 

「手ぇ繋いでりゃ、とりあえずはぐれねぇだろ。こっち通ると人の波緩やかだし、辿り着けるはずだ。連れてってやるわ」

「す、すみません! ありがとうございます!!」

 

やっぱり動くに動けなかったのは、相当困っていたと見える。

ほっとした顔の佐倉に、こっちも気分が和んだ。

 

「野崎たちはみんな元気にしてるか?」

 

歩きながら、そう尋ねてみる。

部活を引退して、野崎に演劇の脚本を頼むことがなくなったのと、俺が受験勉強に専念することになったのとで、野崎たちとはたまに学校で顔を合わせるくらいになってしまっている。

鹿島あたりは、時々メールで近況を伝えてきてはくれるが、お互いそんなにまめにメールをやりとりするタイプでもないから、詳細までは分からない。

 

「みんな元気ですよ! 明日は野崎くんやみこりんと会う約束してます」

「そっか」

「クリスマスは野崎くんがケーキやオードブル作ったんですよ! ローストビーフ美味しかったです」

「良かったな。それにしてもあいつ相変わらず器用だな」

「ですよねー! 何か、手抜きのローストはしてないローストビーフって言ってたんですけど、今まで食べたローストビーフの中で一番美味しかったです」

 

おまえも相変わらず二言目に来るのは野崎なんだなとは、あえて言わずにおく。

佐倉が野崎のことを語るときの、輝くような笑顔も見ていて気分がいいしな。

これだけ端から見てみても分かりやすい好意を、当の野崎が全然気付かないっていうのが凄い。

まさに知らぬは本人ばかりなりってやつだ。

人の波を上手く抜けて、歩きやすいところまで出ると、目的の場所まで大分近いところまで来ていた。

遠目にも鹿島がいるのが分かる。

やっぱり、あいつイケメンだから目を引くな。

佐倉の手を離して、鹿島の居る方向を指すと佐倉も鹿島に気付いた。

 

「あ、鹿島くん! 結月もいる。先輩、ありがとうございました」

「いや、大したことしてねぇよ。鹿島たちによろしくな」

「え? 会っていかないんですか?」

「今日はいいわ。どうせ、冬休み明けたら顔見るだろうしな。ああ、あいつまだ俺の方に気付いてなさそうだから、会ったの黙っとけ。多分、うるさいだろうから」

「分かりました。受験勉強頑張って下さいね!」

「おう、じゃあな」

 

軽く片手を上げて踵を返す。

二、三歩歩いたところで、佐倉の引き留める声が聞こえた。

 

「あ、そうだ。先輩!」

「ん?」

「明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします」

 

その言葉で、そういえば年始の挨拶もまだだったと気付いた。

振り返ると佐倉が律儀に頭をぺこりと下げている。

 

「おう、おめでとう。今年もよろしくな」

 

その頭の簪のついていない部分を狙って、ぽんと軽く叩く。

もうちょっとで俺は学校を卒業するけど、多分佐倉や野崎たちとの付き合いは続く。

まだ、会う機会は今日じゃなくてもいくらでもあるはずだ。

それにはまず大学合格しないと、顔合わせにくくなっちまうし、受験勉強やらないとな、と決意しながら、帰り道についた。 

 

 

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