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黒と白<月刊少女野崎くん・堀鹿・R-18>

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ファンブックでいきなり萌えが来てしまった衝動で書いた初めての堀鹿話。

※二人が社会人で同棲している前提での話になっております。

堀先輩の足フェチっぷりを書きたかったがための話ですが、必要以上に変態になってしまったような気がしないでもないような。

初出:2014/09/28 同人誌収録:2016/04/10(一緒に歩く先は。掲載分に多少の修正等あり)

文字数:16358文字

 

[鹿島Side]

 

「あれ? それ伝線してね?」
「えっ」

それは二人で外食した帰り道のこと。
先輩と他愛もない話をしつつ歩いていたら、ふと先輩が私の足を指した。
今日、私が履いているのは黒い120デニールの厚手なタイツ。
簡単には伝線なんてしないはず――と思いながら、指された場所を探してみると。

「あ」

左足側、ロングブーツの内側にあるファスナーのすぐ側に穴の開いた箇所を発見した。
米粒くらいのごく小さな穴。
厚手のタイツだから、ストッキングのように縦長に伝線が広がってたりはしてないし、ファスナーにほとんど隠れた状態だから然程目立ってもいないけれど、今朝新しく下ろしたばかりのタイツだったので、ちょっとがっかりしてしまう。

「あっちゃー……会社出るときにブーツのファスナーにちょっと引っかけちゃった感じしたから、その時かなぁ」
「だろうなぁ。朝は何ともなかったもんな。つか、やった時に気付けよ」
「や、こんなちっちゃい穴に気付く先輩が正直ちょっとおかしい」
「ちっちゃかろうと、黒タイツなんだから穴開いてたら目立つに決まってるだろ」

いや、絶対目立たないって、これ。
角度によってはそんな見えないと思うもの。
どれだけ人の足を見てるのかという話だ。
歩きながらよくこんなのに気付くよなぁ。
少しだけ呆れてしまう。
まぁ、今さらだし、わかってはいるんだけどね。
先輩の足フェチっぷりは。

――俺、すんげぇ足好きなんだわ。

高校を卒業して、先輩と付き合うようになり、身体を重ねるようになってから何度目かの行為の時。
やたらに足ばっかりにキスしたり、触ったりと執着している気がしたので、聞いてみたらそんな言葉が返ってきた。

――こう、無駄な肉がないすらっと伸びた綺麗な足が。たまんねぇよなぁ。

筋肉はついてなくてもダメだけど、つきすぎていても論外だとか、ストッキングよりはタイツであまり肌が見えない感じがいい、でも柄物タイツとか、トレンカやレギンスは何か違うんだとか、あれやこれやな、こだわりの数々と共に。
正直最初に聞いたときは、この人何言ってるの!?と引いたけど、私の足が先輩にとっては理想的な足だと言われて悪い気はしない。
元々はパンツスタイルばっかりだった自分のワードローブに、ミニスカートやら、タイトスカートやら、キュロットやらが増えてしまったのは、間違いなく先輩のせいだ。
自分でも買ってしまうというのもあるけど、先輩も買ってくれることがある。
今日履いているタイトスカートも、そんなアイテムの一つ。
出勤前だって、タイトスカートに黒タイツというこの組み合わせを満足そうに眺めてたもんなぁ。
こっそりガッツポーズまでしていたのを見てしまった。
今日みたいに、肌が透けないくらいの厚さの黒タイツはかなり好きらしい。
私には色々分からないこだわりだけど、好きな人が望むなら出来るだけ応えたいとは思う。
こういうことで喜んでくれる先輩も単純で可愛いと思うし。

「コンビニで新しいの買ってくか?」
「いや、家にはまだあるからいらないです。家に着くまであと五分もかからないし」

夜道だし、この程度の穴なら人目も引かずに帰れるだろう。
わざわざ買って履き替えるほどじゃない。

「それもそうか。なぁ、そのタイツ、処分するのか?」
「まぁ、穴開いちゃったんで。下ろしたてだったから残念ですけど」
「んー、じゃ処分の前にどう扱ってもいいってことだよな」
「は?」

ニヤリと笑った先輩に、嫌な予感がした。
この笑いは何か企んでいる時の笑いだ。
何する気なんだろう。
せめて、脱いだタイツのにおいを嗅ぐとか、取っておくとかの類はやめておいて貰いたいけどなぁ。
いや、されたことないけど。
足フェチの考えは、よく分からない。

***

家について、いざコートを脱ぎ、部屋着に着替えてこようとしたところで、先輩が私の腕を引っ張って止めた。

「ストップ、鹿島。まだ脱ぐな」
「はい?」
「そのままソファーに座れ」
「……はいはい」

これはタイツを脱ぐ前に、散々タイツに包まれてる足を触って楽しむつもりかな。
穴が開いちゃったけど、今朝下ろしたばかりのタイツは触り心地が滑らかだ。
タイツに穴が開いたのは予想外だけど、タイトスカートに黒タイツのコーディネイトをしてしまった時点で、帰宅後に多少弄られるだろうことは、朝のうちに一応予想済。
先輩が足を触りやすいように、少しだけ膝を開いてリビングのソファーに腰掛ける。
嫌な慣れ方したなぁ、私も。
先輩はネクタイを手早く解いて、私の隣に――と思ったら、先輩が座ったのは私の正面。
床に跪いて私を見上げる格好になった。
反射的に閉じかけた膝を先輩の手が押しとどめる。
そのまま、抱え上げられた右足に顔が熱くなるのを自覚した。
タイトスカートの丈は膝上だし、多分先輩の位置からだとスカートの中まで見えちゃうはず。
学生時代ならともかく、今はスカートの下に短パンなんて履いてない。
なのに、先輩は表情一つ変えずに私の右足に顔を寄せた。
……何か、既に凄い体勢なんですけど、これ。

「そこから触る気ですか」
「おう。力入れんなよ」
「……んっ」

かぷ、とタイツごと先輩が私の右膝を甘噛みする。
膝の裏側では指を遊ばせながら。
タイツ越しでも、先輩の指の感触が伝わり、くすぐったさに紛れて、ぞくりと背を駆けていく快感に声を殺す。
こんなのまだ序の口だ。
ここで声を出すわけにはいかない。

「外から帰ったばっかだから、まだちょっと冷えてるなー、足」

これはこれで気持ち良いけど、と膨ら脛を撫でていく先輩の手は熱い。
この人は普段から体温が高めだから、熱さがいつも通りなのか、興奮しているからなのかは判断出来ない。
膝から臑へと唇が滑り落ちていき、時々歯を立ててくる。
タイツ越しに伝わる唇や歯の感触ってちょっと妙。
悪くはないけど、素肌をダイレクトに触られない分、刺激としてはそんなでもないかもしれない。
慣れてくると余裕も出てきた。
ただ、跡が残ってたら、明日も透けないタイツかパンツスタイルに決定だなぁ。
そんな風に考えていたら、唇は足の甲まで来ていた。
そのまま、つま先に進もうとした先輩の顔を押さえてストップをかける。

「先輩。私今日ブーツ履いてたんですけど。足蒸れてます」
「? 知ってる。だから?」

何か問題が?と言わんばかりの真顔で返されて、脱力感に溜め息しか出ない。
ああ、そうですね。
言うだけ無駄でしたね、この足フェチ。
諦めて手を引いた瞬間、先輩が笑ったように見えたのは多分気のせいじゃない。
つま先にキスされて、親指を軽く噛まれて――そんな風に右足側ばかり触られていたから、完全に油断してた。

「っ!?」

いきなり、左足の膝下の内側。
タイツの穴開き部分に先輩の指が強引に入り込んで来た。
小さな穴は指でぐりぐりと広げられて、たちまち親指の先よりも大きいくらいの穴になる。

「さて、行くぞ」
「何が……って、うわ!」

右足を床に下ろされたかと思うと、先輩が左足のタイツの穴に両手の人差し指をかけて引っ張り、ビリッと勢いよく太股のあたりまで伝線させた。
指の太さと近い幅の筋が足の付け根の方と膨ら脛の中程まで伸びる。
一旦、そこで止めたかと思ったら、今度は付け根の方の伝線箇所に指をかけて、さらに股のあたりまでも豪快に音を立てて引き裂く。

指の太さどころではない範囲でタイツに覆われていた部分が露わになって困惑した。
いや、そりゃどうせ処分するタイツだけど!
目に入ってきた自分の下半身の状態があまりに扇情的で狼狽えてしまう。
何これ、ヤバい。
どんな絵面なの。
どう扱っても、とか言ってたのはこういうこと!?
ちょっと、いや大分読みが甘かったみたいだ。
内股の一部だけ、肌とショーツが露出されたところで、先輩の息を呑む音が聞こえ、タイツを引き裂いたばかりの指がスカートを巻き上げ、ショーツに触れる。
ここまでされたら、もう意図なんて分からないわけがない。
見上げてくる目はまるで獲物を捕らえる肉食獣のような鋭さだった。

「せ、んぱ……」
「このまましたい。ダメか? 本気で嫌ならやめるけど」

そんな風に言うくせに、指はショーツの上を滑って、止める気配はない。
もう一方の手もブラウスの上から胸を撫でていく。
私の胸はボリュームなくて薄いけど、それでも弄られると結構くる。
弱くても確実に高められていく刺激に焦れて、呼吸が乱れ始める。
布越しの体温と指の感触が酷くもどかしい。
直接、触って欲しい。
けど。

「スカート……しわになる……っ」
「クリーニング代なら出してやるよ。第一、それ俺が買った服だし」

そこまで分かっててやってるんだ、とようやく気付いた。
先月、一緒に買い物行った時に半ば押し切られた形で買って貰ったスカートだったんだよね、これ。
男が女に服を買うのは自分の手で脱がせたいから、とは聞いたことあるけど、脱がせずに襲うためとかありなんだろうか。
本音としては、せっかく買って貰ったスカートをしわだらけになんてしたくないんだけど。
しわだらけの状態でクリーニングに出すのも、どうしてそうなったかを悟られそうでかなり恥ずかしいし。
かと言って、スカートを脱いで破れたタイツだけの下半身になるのも……うわ、それこそ遠慮したい。
さっきまで散々弄られてた右足を、そっと先輩の身体の中心に持って行く。
足の裏に伝わったのはごろ、と固く熱い感触。
うん、予想はとっくにしてたけど。

「……先輩の変態」

ぼやいて、スラックス越しにつま先で軽くつついてしまうぐらいは許されると思う。

「否定はしない」
「ちょっとはして下さいよ、そこは。変態と付き合ってる私はどうなるんですか」
「否定したって、しなくたって、するこた一緒だし。…………これ、嫌じゃないよな」
「う」

ショーツの上を滑っていた指に軽く力を込められて、そこが小さな水音を立てた。
身体が反応してしまっているのは、こっちも一緒。
睨んでは見たけど、望む効果はまずないだろう。

「ずるい、なぁ」
「知ってんだろ」

覆い被さってきた先輩に耳元で低く囁かれて、唇を重ねられて。
ショーツ越しに触れた先輩の体温に私はあっけなく陥落した。

***

「っ……ふっ」

伝線したタイツから肌の露出された部分を狙って、先輩の唇と舌が辿っていく。
膝下から太股までをゆっくりと丁寧に。
私が胸弱いの知ってるから弄ってはくれるけど、さっきまで触れてた胸に比べると、絶対足に対しての方が時間かけてるなぁと思う。
勿論、それが嫌いだとかそんなんじゃないんだけど。
くすぐったいような、もどかしいような刺激に身体の奥が少しずつ熱くなる。
さっきの完全にタイツ越しの状態に触られていたのと違って、こっちの足は肌も少し出ているからだろうか。
見上げてくる視線は感じるけど、目を合わせるのが無性に気恥ずかしい。
けど、目を閉じたら閉じたで、より唇と舌の感触が強く伝わってしまって、逃げたくなる。
先輩の指が足の付け根近くに優しく触れる。
それに足の間の潤みが一層増すのを感じながら、先輩の肩に手を伸ばしワイシャツを掴むと、先輩が微かに笑う気配がした。

「……こういう時『は』ほんっと可愛いよなぁ、おまえ」
「は、って何、ですか、はっ……て」
「じゃ、こういう時『も』」
「取ってつけたように言わないで下さ……あっ!」

クロッチをずらされ、晒された大事な場所に触れてきたのは指ではなく、舌。
一番弱い部分をいきなり攻めてきた。
ざらついた熱い感触にびくりと跳ねかけた腰は、先輩の手で押さえつけられ、逃げられない。
先輩が男の人なんだと、実感するのはこういう時だ。
私より背は低いけど、力かなりあるんだよね。

「んっ」

でもって、わざと派手に水音を立てて舐めてくる辺り、性質悪い。
逃せない快感と羞恥心にぐちゃぐちゃになりそうだ。

「お風呂……っ、まだ、入ってない、の、に」
「悪い。そこまで待てない」
「あっ、や……!」

指でそこを広げられた瞬間、凄ぇと呟きが聞こえて居たたまれなくなった。
呟きの理由なんて自分でも分かっている。
いつもより身体が反応して、奥が蕩けそうになってる。
多分、今凄く濡れているはずだ。
入り口を撫でる先輩の指に深い部分を擦って欲しい。
ワイシャツを引っ張ったら、指はそれ以上焦らさずに中に入ってきてくれた。

「はっ……んんっ!」
「おまえ、ここら辺好きだよな」
「や、強、待っ……あああっ!!」

弱い部分を唇で吸われながら、その裏側を中から指が擦り立てる。
最初は一本だけだった先輩の指が途中で二本に増え、中で自在に踊る。
お腹の中に響いていく強い快感に声が抑えられない。
その一方でもっと強烈な衝動もあった。
もっと深い部分に先輩が欲しい。
指が抜かれて、先輩のモノが足の間で軽く滑るのが分かった。
その熱さと固さにくらくらする。

「せんぱ……」
「あ……ゴム、寝室か」
「あ」

思わず、お互い顔を見合わせて動きが止まる。
大抵、コトに及ぶのが寝室だから、当たり前っちゃ当たり前なんだけど、すぐ手に取れる場所にゴムはない。
先輩は一瞬だけ寝室の方をちらっと見たけど、またすぐ私の方に視線を戻した。

「ちゃんと外で出す、からっ……」
「え、ちょ……っ! うあっ!!」
「…………くっ」

足を抱えられて、一気に最も深いところまで先輩が入り込んで来た。
ずん、と背骨の方まで突き抜けた衝撃に、たまらず先輩の肩と背に掴まる。
ああ、もう何でワイシャツ着たままなの。
直接肌に触りたいのに。
こっちだって、上半身は中途半端にはだけたブラウスと、これまた中途半端に滑り落ちたブラって姿ではあるんだけど。
いや、それより何より。
今、そのまま先輩が入って来てることに焦る。
基本的にきっちりゴム着けてくれる人だから、直接、なんてのはこれで二度目だ。
ゴムが切れているのに気付かなくて盛り上がってしまって、止められなかった時以来。
ゴムの隔たりがない、直接の交わりは想像していた以上に気持ち良かった。
あれに溺れてしまうのが怖くて、以降はゴムを切らせるようなことはしなかったから。

「外……出すの避妊じゃ、ない、ですよ」
「っ……知っ……てる」

どうしよう。
止めなきゃダメだと思うのに。
今は身体の周期的にもどっちかというとマズいのに。

「……この前、大丈夫でも……っ、今回も大丈夫とか限らな……」
「分かってるっ……! けど」

――我慢出来なかった。

抱いてくれた腕の強さと、擦れた苦しそうな声が余裕のなさを物語る。
そして、私も。
直に触れている先輩の熱が軽く中を擦っただけでも感じてしまって、中断なんてもう出来そうにない。
抜けそうな程に引きかけた先輩の腰に、つい足を絡めて止めてしまう。
まだ離れたくない。
それが本心。
私の絡めた足を先輩が撫で上げると、身体の奥で疼きが走っていく。
繋がっている先輩にも伝わったのか、ちょっとだけ歯をくいしばったように見えた。

「……いいのかよ」
「だって……やめたく、ない」
「悪い」
「謝らないで。そんなのいらない」
「遊」
「んっ……」

不意に呼ばれる下の名前に鼓動が跳ねる。
唇を重ねて、舌を絡ませ合うと、キスしているところと下で繋がっているところがより熱っぽくなって溶けてしまいそうになった。
いや、そこだけじゃない。
キスしている間に先輩が触れてる私の顔とか、お互いちょっとだけはだけてる胸のくっついてる部分だとかも。
肌が触れてる場所全部が溶けそう。

「……せ、んぱ……」
「中、凄ぇうねってる。おまえも結構、興奮してんのな」
「! 誰の……せいだとっ……ん!」

深い部分を抉るように動かれ、そこからの悦楽に呑まれそうになる。
堪えようとすると、今度はごつごつと奥に叩きつけるかのような律動。
息が吐けなくなりそうな激しさは、たまらなく気持ちよくもあり、苦しくもある。

「や、あ、待っ……ちょ、強……んん!!」
「悪……い、加減出来ね……かもっ」
「もっ……興奮してるの……っ、せんぱ……じゃん」
「……してない、なんて一言も言ってない、だろっ……」
「やああ!」

当たり方が少しずれて、前の弱い部分にも振動が伝わった。
お腹に強く広がった快感が怖くて、ギュッと先輩を抱きしめる。
汗を吸ったワイシャツから先輩の匂いがして、また奥から蕩けてしまう。

「遊……っ、ちょっと力、抜け。これじゃ中に出し、ちまう。腕なら、まだ何とか……なるからっ……」
「んっ……!」

震える足を何とか先輩の腰から外して、肩と背に回していた手は、言われたとおりに腕を掴む。
それを合図にするかのように、先輩が私の両足を深く抱えて、動きが一層激しくなった。

「あ、ああ、先ぱ……先輩……っ!」

浅いところも深いところも。
疼いていた部分を余すところなく、先輩が擦りあげていく。
その都度聞こえる水音がやけに響くのが、どうにも恥ずかしい。
なのに。

「……濡れ方、凄っ……」
「っ! ……い、言わな……っ!!」

わざわざ耳元でそんなこと呟くとか、絶対分かっててやってる。
文句のつもりで腕を掴む力を強くしたら、先輩が呻くのが耳に届いた。

「……やべ、も、限か……」
「っ……!」

ふわ、と浮いたような感覚がした次の瞬間。
繋がっていた場所の圧力がなくなって、ほとんどタイツが伝線していない側の足に、ぱたぱたと生温かい雫の感触が布越しに伝わった。
そっと身体を起こして、目を開けて見ると黒いタイツの上に先輩の精液が散っている。
そして、出したばかりの先輩のモノが私の足の付け根、肌の露出された部分に直に触れた。
そこまで把握したところで、甘ったるい疲労感に負けて身体の力が抜ける。
ソファに倒れ込む寸前で先輩の腕が、私の背を支えてくれた。

「……おい、大丈夫か?」
「ダメ、かも。…………気持ち良すぎて」
「………………バカ」

照れたような笑いの後に、ちゅ、と額に落ちた唇。
先輩も疲れたのか、静かに私の身体に覆い被さってきた。
温かい重さが心地良いし、嬉しい。
首筋にまだ少し乱れた吐息が当たるのを感じるのも満たされた気分になる。
乱れた先輩の髪を撫でると、先輩も私の頭に手を伸ばして撫でてくれた。

「俺もすげー気持ち良くて、ちょっとやばかった。あー……でもあれだな」
「ん?」
「もの凄い興奮はするんだけど、いざやると途中から服がかなり邪魔でもどかしかった」
「……自分でやっておいて、言っちゃいますか、それ」

思わず、髪を撫でていた手を止めて軽くぺちんと叩く。
後でクリーニングに出さなきゃいけないスカートや先輩のスラックスを考えて、その言葉に溜め息を吐きたくなる。
着たまますることに同意をしたのは私もだし、服が邪魔に感じたのも確かだけど。
でも、多分、この人が何より邪魔に感じたのは。

「やっぱり、足は生足に勝てるものはないな。何かこう消化不良というか……色々物足りねぇ」

ああ、足か。
やっぱり足なんですか。
言ってる間にも人の太股触ってるし。
というか、タイツをさりげなく脱がそうとしてるその手は一体何。

「ちょっと、先輩!」

「というわけで、もう一回。今度は脱いでやるぞ。勿論、ゴムはしっかりつける」

確定事項ですかと突っ込む気力もない。
とはいえ、何か触り足りないのは、こっちも一緒だし……ま、いっか。

「……いいですけど、お風呂入って、休憩してからにして下さい。ああもう。明日、朝からショッピングしたかったのになぁ。もう一回とか、絶対お昼まで潰れてる」
「昼からでも行けるだろ。付き合ってやるから」

こんなやりとりが出来ることが幸せだ、と思っている時点で私は先輩に勝てないのだから。

 

[堀Side]

 

「あれ? それ伝線してね?」
「えっ…………あ」

黒いタイツを履いている鹿島の足の内側に、一点だけぽつんと小さく白い肌がのぞいてた。
本人は全然気付いていなかったらしく、足を止めて指摘した場所をあれこれ探してようやく見つける。

「あっちゃー……会社出るときにブーツのファスナーにちょっと引っかけちゃった感じしたから、その時かなぁ」

十中八九間違いないだろう。
鹿島の会社は社内だとサンダル履き指定だとかで、出勤、退勤のタイミングで靴を履き替えているらしいから。
そもそも、朝の時点で穴なんて開いていたら俺が気付く。

「だろうなぁ。朝は何ともなかったもんな。つか、やった時に気付けよ」
「や、こんなちっちゃい穴に気付く先輩が正直ちょっとおかしい」
「ちっちゃかろうと、黒タイツなんだから穴開いてたら目立つに決まってるだろ」

えー……と何か納得してないような表情をしてる。
肌色のストッキングでこの位の大きさの穴なら目立たないというのはまだ分かる。
が、黒とか紺とかの濃い色のタイツやストッキングで穴なんか開いた日には、どうしたって分かりやすいってのに。
何で、そんな簡単なことが分からないんだ、こいつは。
頭の作りは悪くないのに、どうもネジが抜けてるとこがある。

「コンビニで新しいの買ってくか?」
「いや、家にはまだあるからいらないです。家に着くまであと五分もかからないし」
「それもそうか」

確かに五分くらいならそんなに気にすることもないな。
穴が開いている左足は俺の居る方からじゃないと見えないし。
それでも念の為に、右手で肩に乗せるようにして持っていたカバンを左手に持ち替えて降ろす。
これでまず他人には伝線箇所は見えないはずだ。

「なぁ、そのタイツ、処分するのか?」
「まぁ、穴開いちゃったんで。下ろしたてだったから残念ですけど」
「んー、じゃ処分の前にどう扱ってもいいってことだよな」
「は?」

以前から、タイツやストッキングに穴が開いたのならやってみたかったことを想像してつい頬が緩む。
大体今日はこのタイトスカートと黒タイツというコーディネイトからして、テンションが上がっていたのだ。
鹿島の腰から足は想像以上に綺麗なラインが出ていて絶品だった。
今日一日の仕事の活力源だったと言ってもいい。
幸いにも明日はお互い休みなんだし、夕食も今し方済ませてきた。
今夜は思う存分楽しむことに決めた。

***

流石に十一月も半ばになると寒い。
家の中はタイマーでエアコンがつくようにしてあったから、適度に暖まっていることにほっとする。
コートとスーツのジャケットまで脱いだところで、鹿島が部屋に行こうとしたのに気付いて慌てて止めた。
これからがお楽しみの本番だってのに、今脱がれちゃ困る。

「ストップ、鹿島。まだ脱ぐな」
「はい?」
「そのままソファーに座れ」
「……はいはい」

ちょっと苦笑いしつつも、鹿島は言われたとおりにソファーに座ってくれた。
すっとタイトスカートから伸びた足は組んだりせずに揃えて、心持ち膝を開いた状態で、穴部分はほんのちらっと見えている程度だ。
よし、こいつは分かっている。
逸る気持ちを抑えて、ネクタイを解き、鹿島の真っ正面に跪くようにして腰を下ろした。
驚いた顔の鹿島が膝を閉じかけるが、その前に止めて、タイツが伝線していない右足を抱える。
肌の全く見えないタイツは、足だけでなく腰の部分もほぼ中が見えないくらいに覆われている。
下着の線も透けないようなタイプにしてるのか、ほとんど分かりゃしない。
この見えてないっていうのが、かえって想像力をかき立てる感じでエロい。
抱えた鹿島の右足に顔を寄せると、ほんの少し身構えたのが伝わる。

「そこから触る気ですか」
「おう。力入れんなよ」
「……んっ」

肉の薄い膝に軽く歯を立てて噛んでみる。
朝に鹿島がつけていた香水はもうほとんど香りが飛んでいた。
膝裏を探ってみても、残り香はあまりなく、鹿島本来の匂いがする。
良い感じだ。
鹿島の香水はユニセックスな系統のもので、本人に似合っているし嫌いな香りじゃないが、香水の成分が残ってると舐めた時に何となく不味くて好きじゃない。

「外から帰ったばっかだから、まだちょっと冷えてるなー、足。これはこれで気持ち良いけど」

膨ら脛はまだちょっと冷えていて、軽いマッサージも兼ねて撫でていく。
筋に沿うように触っていると少しずつ足の温度が上がってきた。
適度に温度が上がったところで、臑の方にもキスしてみたり、ちょっと歯を立ててみたりする。
最初の頃に文句を言われて以来、何日も跡が残るようなやり方はしないが、しばらくの間赤みがうっすらと分かるくらいにはしてしまう。
こいつは俺だけのものだという証に。
後で脱がせた時、どのくらいの跡になっているかと期待しながら続けていると、不意に額に鹿島の指が当たった。

「先輩。私今日ブーツ履いてたんですけど。足蒸れてます」
「? 知ってる。だから?」

ブーツ履いているって言っても、会社では履き替えているんだから、実際に履いている時間は案外短い。
鹿島本人は蒸れてるとは言うが、気になったことはない。
寧ろ、このちょっと汗ばんだくらいが良いと思っているくらいだが、それは口に出すと引かれそうなので黙っておく。
言わぬが花というやつだ。
鹿島が諦めたらしく、手を引いたので遠慮なく可愛がるのを続行する。
この様子なら、俺の意図にも気付いていなさそうだ――と判断したところで、左足側に。
タイツの穴の開いていた部分に指を突っ込む。

「っ!?」

びくりと反応した鹿島はスルーして、そのまま穴を広げる。
程なく、指が二本入るくらいのところまで穴は大きくなった。
よし、準備完了っと。

「さて、行くぞ」
「何が……って、うわ!」

鹿島の右足を床に下ろし、抵抗されないうちに一気に穴に両手の指を引っかけて勢いよく引っ張る。
ビリッと布地が裂ける音と共に、黒いタイツ地には一本の白い肌の長い線が現れる。
でも、まだこれで終わりじゃない。
付け根ちかくの伝線の行き当たりにもう一度指を入れ、今度は力任せに股の部分まで裂いた。
装飾の少ない濃いめのモカブラウンの下着が破ったタイツの下から現れる。
そういや、これが透けにくい色だとか前に言ってたな。
スカートをたくし上げてよくよく見ると、生地も少なめだ。
下着の線も出てないと思ったら、Tバックだったからか。
触るとつるつるした素材で、指は容易に滑る。
足の間の溝を下着越しになぞると、震えた声が俺を呼ぶ。
見上げた顔は戸惑いを隠しきれていない。
けど、そんな表情も整っていて、つい煽りたくなる。
つくづく、いい顔だわ、こいつ。

「せ、んぱ……」
「このまましたい。ダメか? 本気で嫌ならやめるけど」

これでも、鹿島が本気で嫌がるような行為はしてないつもりだ。
生理中にはちょっかいかけないとか、仕事が忙しくて疲れてるときには添い寝以上のことはしないとか。
二人で生活していくうちに、何となくそれぞれの超えて欲しくない線引きみたいなものが出来てきている。
それで言えば、おそらく今日のは鹿島の中では『嫌ではない』はずだと俺は思っているけど。
実際、下だけでなく、胸に触り始めても止める様子はない。

「スカート……しわになる……っ」
「クリーニング代なら出してやるよ。第一、それ俺が買った服だし」

かろうじて出てきた、そんな言い訳はさっさと封じる。
これが鹿島の自前で気に入っている服とかだったら、多少俺としても気は咎めるが、スカートは先月俺がこいつに買ったやつだ。
試着した時から凄く似合っていたし、いつかこれを着た鹿島をめちゃくちゃに抱きたかった。
今日ほど絶好の機会はない。
小さな吐息が聞こえて、俺のモノに鹿島の足が当たる。
どうやら、なけなしの抗議のつもりらしい。
そっと突いてくる感覚は、痛みではなく気持ちよさをもたらしているので、抗議の意味は全くないが。
……くそ、こればかりは間にあるスラックスとタイツが邪魔だな。

「……先輩の変態」
「否定はしない」

一応、言われても仕方ないくらいの自覚はある。

「ちょっとはして下さいよ、そこは。変態と付き合ってる私はどうなるんですか」
「否定したって、しなくたって、するこた一緒だし。…………これ、嫌じゃないよな」
「う」

もう一度確認するように問いかけ、指でそっと触れていた部分を押す。
じわりと、下着に染みが広がり、小さく水音が鳴った。
興奮してないなんて言わせない。
上気した顔で睨まれたって、可愛いだけだ。

「ずるい、なぁ」
「知ってんだろ」

ぼやく鹿島に覆い被さり、キスしながら、身体の中心を合わせるように押しつける。
下着とスラックス越しでも感じる、その部分の鹿島の柔らかさに一層自分自身が固くなったのが分かった。

***

今日、鹿島が履いているタイツみたいに足のラインはそのまま出る癖に、肌は全く見えないというものは本当にたまらない。
これまた腰から足にかけてのラインがはっきりわかるのに、肌は隠すというタイトスカートとの組み合わせは最高だ。
その見えない部分に潜んでいる肌が、不意に見えた時を想像するとそれだけで気分が昂ぶる。
それは、何度も見たり触ったりしてる鹿島の足でも、いや鹿島だからこそだな。
顔も足も俺好みのどストライク。
単純に足を触っていたり、顔を見ていたりというのでもテンションは上がるが、それが足に触れることで顔が紅く染まって恥じらったりするのだとか、深いキスした刺激で足がちょっと震えるとか、そういった反応は身体の芯まで火照るほどの快感になる。
こんな風に。

「っ……ふっ」

いつもと少し趣向を変えて、楽しめる反応につい口元が緩みそうになる自分がいる。
さっきよりも体温の上がった足は、ほんのり血色が良くなっていて感度も上がっている。
肌が出ている部分を中心的に狙って、唇で柔らかい内股を吸い上げるとびくりと身体を震わせた。
ちらっと見上げた先にある顔は耳と頬を紅く染めて、熱っぽい吐息を零しながら、あらぬ方向に視線をやっている。
かつての凜々しく涼やかな『学園の王子様』の姿はそこにはない。
演技ではなく、ありのままに快感を享受している、俺しか知らない姿。

――ぶっちゃけ、よく勃ちますよね、あいつで。俺には分からないっす。

あれは数年前。
鹿島と付き合い始めて、割と直ぐくらいの頃に野崎と御子柴と飲みに行った時だったか。
酒の入った御子柴がぽろっとこぼしたことがあった。
その失言に張っ倒したくなった刹那、他の男になんて分からなくていいことじゃねぇかと気付いて、笑って言ってやった。

――分かんなくていいんだよ。俺が分かってりゃいいことだから。

その途端、野崎がもの凄い勢いで何かをメモっていた上に、ちゃっかり後日ネタに転化されていたのは忘れたいことではあるが、あれから数年。
今だって同じ事を思っている。
こうやって、鹿島の足の付け根のきわどい部分に触れたら、戸惑いと羞恥で俺の肩のシャツを引っ張ってくるような姿なんて、後にも先にも俺一人が知っていれば十分だ。

「……こういう時『は』ほんっと可愛いよなぁ、おまえ」
「は、って何、ですか、はっ……て」
「じゃ、こういう時『も』」
「取ってつけたように言わないで下さ……あっ!」

股の部分の布を一方に寄せると、甘ったるい女の匂いと共に、充血して軽く合わせ目が開いている性器が現れる。
合わせ目の頂にあるクリトリスもやっぱり紅く充血して、ちょこんと皮から先っちょを覗かせている。
広げる前のタイツの穴がこんくらいだったな、とか思いながらそれに舌を乗せた。
跳ねそうになった腰は、逃げられないように力を込めて押さえる。
そのまま、付け根を舌先で突いたり、付け根から先っちょへと舐めると女の匂いが益々強くなる。
押し殺そうとして殺しきれない声。
それに紛れて切なくも聞こえる呼吸。
腰が動けない分、もどかしそうに震える足。
紅く染まって涙目になってもなお綺麗だと思わせる顔。
どれを取っても魅力的、の一言だ。
それらを独り占め出来るのだから、昂ぶらないわけがない。

「んっ」

唾液を多めに塗りつけて、クリトリスの直ぐ下、尿道口も一緒に攻める。
掴まれたワイシャツに力が入り、途切れ途切れになる声が不満をこぼす。

「お風呂……っ、まだ、入ってない、の、に」
「悪い。そこまで待てない」

風呂に入らないでコトを進めるのは、鹿島があまり好きじゃないのを知っているからそんなにやらないが、俺は嫌いではないから、今日みたいに煽られた日には待ってなんかいられない。

「あっ、や……!」
「…………凄ぇ」
「っ!」

秘唇を割り開いたら、まさに膣口から愛液が滴り落ちるところが目に入った。
何度見ても、よくモノが収まるものだと思ってしまうくらい、小さく見える膣口の周囲が余すところなく濡れている。
いつもに比べて濡れてるのは、多分気のせいなんかじゃない。
軽く入り口を指で摩ると、まだ中からこぼれ落ちてくる。
そんな淫靡な光景に身体が熱くなる。
引っ張られたワイシャツに誘われたと解釈して、中指を入れた。
つぷ、と何の抵抗もなく指が沈む。

「はっ……んんっ!」
「おまえ、ここら辺好きだよな」

クリトリスの裏側を擦りながら、唇でクリトリスを吸い上げる。
甲高い悲鳴が聞こえたけど、構わずに続ける。

「や、強、待っ……あああっ!!」

泣きそうな声が愛しい。
指をもう一本増やして、固くなり始めた部分をさらに強く擦りながら、もう一方の手で、痛いくらいに張り詰めていた自分のモノをスラックスから取り出す。
指を抜いて、張り詰めたモノの先っぽをクリトリスに滑らせ、幹を合わせ目に押しつける。

「せんぱ……」

濡れたひだが当たってくる感触がたまらなく気持ち良い。
軽く中に沈めてしまいたくなった瞬間、マズいことに気がついた。

「あ……ゴム、寝室か」
「あ」

鹿島も同じ事に思い当たったようだ。
普段、セックスするのはほぼ寝室だ。
来客の可能性もあるリビングなんかにゴムは置かない。
速攻で取ってくれば済むが、既に触れてしまった熱く濡れた部分から離れたくない。
一瞬どうしたものか、と迷ったその時。
鹿島の膣口がまるで俺のモノに吸い付くようにひくりと震えた。
そこで情けなくなるほどあっけなく、理性が飛んでしまう。

「ちゃんと外で出す、からっ……」
「え、ちょ……っ! うあっ!!」
「…………くっ」

ちゃんとって何がだよ、とどこかで思いながらも鹿島の中に入る。
最奥まで一息に突き上げてしまって、鹿島が今日一番甲高い悲鳴を上げた。
予想してたよりも、中はさらに濡れていて抵抗が少ない癖に、少しざらついた中壁が奥に飲み込むかのように纏わりついて、ヤバいくらいに気持ち良い。
こうだと分かっていたから、生で挿れないようにしてたってのに。
俺の肩と背に回された鹿島の腕が震えてる。

「外……出すの避妊じゃ、ない、ですよ」
「っ……知っ……てる」

震えてるのに。
言葉は咎めるような内容でいて、責めている口調じゃない。

「……この前、大丈夫でも……っ、今回も大丈夫とか限らな……」
「分かってるっ……! けど……我慢出来なかっ……」

分かってる。
一緒に生活するようになって、何となく把握してしまった鹿島の周期と、挿れた時の感覚から察するに、多分今回は前にゴムなしでセックスしてしまった時よりリスクが大きい。
ゴムだって避妊は100%じゃないし、一番最初にセックスしたときから、もしも、というのは覚悟しているし、いずれ結婚だってするつもりだけど、順番はやっぱり守りたい。
何かあった時に負担が大きいのは絶対に鹿島の方なんだし。
――ああ、やっぱりダメだ。
どうにかして一度抜いて、と身体を引きかけたが鹿島の足がそれを止めた。
腰に足を絡めて、離れないように。
そっと足に触れても、解く様子は全くない。
それは、つまり。

「……いいのかよ」
「だって……やめたく、ない」
「悪い」

こんな言葉を言わせてるのは俺だ。

「謝らないで。そんなのいらない」

――謝らないで。こういうのって双方の責任でしょう? 二人でしてることなんですから。

前にゴムなしでやってしまった時に言われた言葉が重なる。
同意した時点で責任は二人で抱えるものだろう、と。

「遊」
「んっ……」

未だに照れが入ってしまって、こんな時じゃなきゃ中々呼べない下の名前で呼ぶ。
こいつのこんなところも、俺が好きな部分の一つだ。
深いキスをしながら、腰に絡められた足も動きに合わせてうねる。
中途半端に身に纏っている服による衣擦れの音は、興奮を煽りはするけど、それを直接肌で感じられないのは、残念過ぎる。
せめて、顔だけでもと瞼に触れたり、頬に触れたりして、その都度震える長い睫やかかる熱い吐息を楽しむ。

「……せ、んぱ……」
「中、凄ぇうねってる。おまえも結構、興奮してんのな」
「! 誰の……せいだとっ……ん!」

突き当たりの少し固めの感触――子宮口のある部分を狙って攻める。
普段はゴム越しだから分かりにくいが、生で挿れていると結構場所によって内部の感触が違うのが伝わる。
それを隅々まで感じ取りたくて、つい動きが強く激しくなっていってしまう。

「や、あ、待っ……ちょ、強……んん!!」
「悪……い、加減出来ね……かもっ」
「もっ……興奮してるの……っ、せんぱ……じゃん」
「……してない、なんて一言も言ってない、だろっ……」
「やああ!」

クリトリスにも刺激が伝わるよう、ちょっとだけ当たる位置をずらすと、俺に回されている腕や足に力が入る。
中も入り口近くが軽く収縮を繰り返しているのに、感じてくれているのだと嬉しくなった。
このまま、中に吐き出せたらどんなに気持ち良いかと想像しかけて、危うく理性が吹っ飛びそうになるのを必死で堪える。

「遊……っ、ちょっと力、抜け。これじゃ中に出し、ちまう。腕なら、まだ何とか……なるからっ……」
「んっ……!」

欲望のままに続けてしまうのは、流石にまずい。
遊の足が俺の腰から離れ、肩と背にあった手は腕に回る。
ソファに着いた足を深く折りたたむように抱えて、最後に向けて抽挿を強くした。

「あ、ああ、先ぱ……先輩……っ!」

浅いところも深いところも。
擦ってない部分なんて残さないように。
いつもならゴムの内側のローション部分と、遊の愛液で構成される卑猥な水音は、今日は遊の分だけでこれだけ響いているのかと思うとぞくぞくする。

「……濡れ方、凄っ……」
「っ! ……い、言わな……っ!!」

煽ってやるとぎゅっと中が強く締まり、腕を掴んでいた指もめり込む程の勢いになった。
射精感が一気に背を駆けていく。

「……やべ、も、限か……」
「っ……!」

何とか遊の中から抜けた次の瞬間、とっさにモノを掴んで向けた先は遊の右足。
破れのない黒いタイツ地に白い精液が派手に飛んだ。
太股から膝下あたりまでと、下のソファにも滴り落ちる。
出し切ると遊の足の付け根、脈動が伝わる部分にそっとくっつけた。
遊が身体を起こして、それを見ていたかと思うと、ふらっと後ろに倒れ込みそうになった。
咄嗟に腕を伸ばして支え、そっとソファに寝かす。

「……おい、大丈夫か?」
「ダメ、かも」

一瞬、どきっとしたその言葉の続きは。

「…………気持ち良すぎて」

ふわりと幸せそうに微笑まれて。
まるで女神の笑みだな、とくすぐったさを覚える。

「………………バカ」

汗で乱れた髪をかき分けて、額にキスした。
たまんねぇなぁ、こういうの。
心地よい気怠さに身を任せて、そのまま遊の上に覆い被さる。
温かくて気持ち良い、が。
やっぱ、服邪魔だな、こういう時は。
気持ち良かったのは確かだし、興奮もしてたし、遊もめちゃくちゃ可愛かったが、何か触り足りねぇ。
そう思った途端、遊の手が俺の頭を撫でてきた。
こいつも似たようなことでも思ったかな、と俺も遊の頭を撫でてみる。
なんで、正直に言ってみることにした。

「俺もすげー気持ち良くて、ちょっとやばかった。あー……でもあれだな」
「ん?」
「もの凄い興奮はするんだけど、いざやると途中から服がかなり邪魔でもどかしかった」
「……自分でやっておいて、言っちゃいますか、それ」

呆れたような声が聞こえて、ぺちりと頭のてっぺんを軽く叩かれた。
それを言っちゃあそこまで何だが。
でもなぁ、タイトスカートに黒タイツって見る分には最高なんだけど。

「やっぱり、足は生足に勝てるものはないな。何かこう消化不良というか……色々物足りねぇ」

せっかく、思う存分触れる素晴らしい足があるっていうのに、触らないっていうのは勿体ないにも程があるよな、うん。
遊の足に手を伸ばして、腰からそっとタイツを脱がせようとしてみる。
指先に当たる肌の滑らかさに、やっぱり足は直接触るに限るよなぁと確認しているところで。

「ちょっと、先輩!」

制止の声が飛びやがった。が、ここは俺としても譲れない。

「というわけで、もう一回。今度は脱いでやるぞ。勿論、ゴムはしっかりつける」

これで足触りまくって、やった日には今度こそ暴発しかねないしな。

「……いいですけど、お風呂入って、休憩してからにして下さい。ああもう。明日、朝からショッピングしたかったのになぁ。もう一回とか、絶対お昼まで潰れてる」
「昼からでも行けるだろ。付き合ってやるから」

はいはい、と諦めたような口ぶりでいながら、満更でもないという表情をした遊はやっぱり可愛いかった。

 

FBに掲載されていた描き下ろしカラーで一気に萌えて堀鹿沼にハマり、pixivの野崎くん二次創作の状況を何も知らずに書いた話。
(pixivにUPする際にタグの状況を確認してみた段階で、初めて結構な人気カプだったことを知った)
タイツの黒と精液の白がタイトル由来というしょーもなさ。
本気でタイトルに他の意味がないのが申し訳ない……w

FBの67ページに掲載されていた没ネタだけど、見えないストイックさ云々なら、黒タイツは外せなかったし、びりびり破いて突っ込むというのは絶対させたかった&タイツあるなら着衣エロ(社会人ならスーツも着せられる!)だろうと、ひたすら趣味に突っ走った結果、堀先輩が当初の想定以上の変態になったw
ナマ挿入も性癖です。
ジャンルハマりたての最初の話なんて、性癖大集合するに決まっているよねっていう見本の様な話w

 

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