夫婦になった堀鹿の新婚初夜。
意地でも良い夫婦の日に間に合わせたかったので、とりあえず鹿島視点のみでUPし、翌日の23日に堀先輩視点を追加しました。
新婚で心置きなく中出し出来る話が書きたかったw(欲望に正直)
※二人が社会人で同棲した後に結婚という前提での話になっております。
初出:2014/11/22 ※堀視点は2014/11/23
文字数:18353文字
[鹿島Side]
別に住んでいる家が変わったわけじゃない。
付き合ってからもそれなりの月日が経っているし、一緒に住み始めてからも数年経っている。
とっくに親からは公認の仲だったし、先輩との関係性は変わってない。
変化と言えば、昼間に入籍届を提出してきて、今日からは公に『鹿島遊』から『堀遊』に変わった。
他人の間柄だったのが、正式に夫婦となった。
式は後日改めてやるから、本当に今日の時点では変わったのはそれだけ。
いや、後はお互いの左手薬指に嵌められた結婚指輪かな。
違いと言えば、それだけなんだけれども……どうしてだろう。何か照れてしまう。
先輩も私と似たような心境なのか、さっきから二人してベッドの上に座って向かい合わせになったまま、何となく黙っている。
「あー……その、遊」
「はいっ!」
黙り込んでいたところで。口火を切ったのは先輩の方だった。
「改めて、今後ともよろしく」
「こ、こちらこそ不束者ですが、よろしくお願いします」
つい、三つ指をついて、頭を下げながら言ってしまった。
……何か、よくあるような挨拶の一幕みたいだ。
先輩の少し笑った声が聞こえる。
「何か、実際にそういう言葉聞くと妙に照れるな」
「……です、ね」
頭を上げると、先輩が私の左手を取って、薬指の指輪が嵌められている辺りをそっと撫でてくれた。
私も右手の方で先輩の左手を取って、同じように撫でてみる。
二人で見に行って決めた揃いの指輪。
さっき、家に帰ってきてからお互いの手で嵌めた。
この先、自分たちの一部になっていくはずのそれは、体温をうつしていて、早くも指に馴染んできている。
……夫婦になったんだなぁ、私たち。
しみじみ、そんなことを思っていると、不意に先輩が私に問いかけた。
「……で。おまえはいつまで俺を先輩って呼ぶつもりだ、奥さん」
奥さん、という言葉に鼓動が跳ねる。
まだ、なり立ての新米だけど、私が先輩の奥さんなんだよね、確かに。
ん? いや、それはさておき。その前に先輩が言った言葉。
「えっと……それは。呼び方変えなきゃダメってことですか?」
何とはなしにずっと『先輩』と呼び続けて来たから、今更それについて言及されるとは、正直思っていなかった。
「俺としては出来れば名前で呼んで欲しいぞ、そろそろ。この先子どもが生まれたら、少なくとも子どもの前ではお父さん、お母さんになっちまうだろ? なら、名前で呼ぶなら今のうちじゃねぇか」
「それは……確かにそうなんですけど」
「あと、その敬語もだ。長年の癖になってるのはわかってるが、もうちょっとどうにかなくす方向で」
どうやら、私が思ってた以上に先輩は気にしていたみたいだ。
そういえば、婚約したあたりで、先輩が夜だけでなく、日中にも『遊』って呼び始めてくれたのが嬉しかったっけ。
そう考えると、先輩が言いたいことも分かる。
結婚したんだし、呼び方を変えるのには今が一番丁度良いタイミングだとも思う。
けど。
……どう呼んだらいいかなぁ。
政行、と呼び捨てはちょっと出来そうにないし、
政行さん、てのは良いけど、これだと敬語も抜けなくなりそう。
でも、政行くんというのもちょっと違う気がするし……。
どうしたものかなぁと色々考えていたら、不意に頭の中にふっと浮かんだ。
「えっと……堀ちゃんっていうのの名前バージョンで、政ちゃんっていうのは?」
「政ちゃん?」
「先輩、堀ちゃんって呼ばれてたし、それを名前の方でって思ったんですけど……ダメですか?」
「政ちゃん、なぁ」
相変わらず、指輪を付けた指を撫でてくれながら、少し考え込んでいるようだった。
「んー、ちょっと、そのまま呼んでみろ」
「政ちゃん」
「もう一度」
「政ちゃん」
「ワンモアプリーズ」
「ま、政ちゃん」
繰り返し、口にするのも何だか気恥ずかしい。
けど、先輩の方はと言えば、何やら嬉しそうな表情になっている。
「……悪くねぇな」
そう言うと、私の手を自分の口元に持っていき、指輪にキスしてくれた。
唇はそのまま手の甲を滑って、手首までゆっくり辿っていく。
くすぐったいような、気持ち良いような微妙な感触だ。
手首まで来た唇はそのまま止まらずに、パジャマの袖を捲られて、肘の方へとのぼっていく。
肘に触れたところで、一旦先輩が唇を離し、顎を捉えられた。
「政ちゃん」
「何だ」
先輩の指が私の輪郭を優しく辿る。
その指がまた心地良い。
この指にいっぱい触られたい。
私も先輩の顔に手を伸ばして、頬に触れる。
「……キス、して」
「ああ」
唇がそっと重なった、幾度か優しく触れては離れるだけのキスの後、ベッドに押し倒される。
肩を手が撫でていった後、先輩の額が肩口に触れる。
左胸に手が置かれたけど、その手は動かさないまま。
まるで、私の鼓動を確かめるかのようだった。
「遊」
それでいて、私の名前を呼ぶ声には既に熱っぽさが含まれている。
「今日、ゴムつけなくていいよな。……中に出したい」
「ん」
正直、最初からそのつもりだった。
もう、籍は入れたんだし、子どもが出来ても特に問題ない。
本音としては、出来ればしばらくの間は夫婦二人の時間を楽しみたくはあるのだけれど。
ただ、晴れて夫婦になったのだし、やっぱり隅々まで先輩を感じたい。
先輩が出す熱を、そのまま自分の中で受け止めてみたかった。
私の太股に押しつけてきた、先輩のモノがルームウェア越しでも固く熱くなってるのが分かる。
「明日休みで良かったよな。おかげで加減なしに楽しめる」
「お、お手柔らかにお願いします」
「します?」
「……えと、その、無茶苦茶しすぎない、で」
言い直したところで先輩が意地の悪い笑みを浮かべた。
「悪い、保証できねぇわ」
「っ!」
再び、唇が重ねられて、今度は舌が割り入って来る。
舌が一頻り歯列を辿った後、上顎を擦られる。
ざわ、と其処から頭の後ろ側へと広がっていく快感。
そういえば、先輩がこういうことしなければ、口の中が性感帯だなんて、考えもしなかったなぁと頭の隅で考える。
まだ、キスしかしていないのに、足の間が潤み始めたのを自覚した。
そのまま、舌も強く絡め合わせて、唇の端から唾液が伝い落ちたのが分かる。
唇を離した時には、二人揃って軽く息が上がっていた。
「せ……じゃな……政、ちゃ……」
「何か、籍入れたってだけなのに、キス一つでも凄ぇ興奮すんだけど、俺」
「……私も、いつもより、その」
「だよな、もう脈速くなってるの伝わってくる」
「あ……」
留まっていた手がゆっくりと動き始める。
パジャマとブラの上からだから、強い刺激ではないけど、気持ち良い。
早く直接触れられたくて、もどかしい。
首筋に先輩の唇が触れて、そっと撫でていくように降りていくのにも声が出てしまいそうになる。
まだ、ほんの序の口だっていうのに、身体の感度は容易く引き上げられていく。
「ゆっくり楽しみたいのに、気分はめちゃくちゃ昂ぶってる」
どこもかしこも触りたい、と呟いた先輩の手がパジャマの裾から軽くあばらの辺りを撫でた。
伝わってくる体温が熱い。
「大丈夫ですよ。私も似たような感じ……だから。……あ」
先輩の手が私のパジャマの前を開けながら、唇はそのまま鎖骨をなぞって、胸元まで触れさせる。
ブラと肌との境目に舌を差し込まれて、ついびくりと身体が跳ねる。
「この下着、初めて見るな。……今日の為に、か?」
着けていたのは、白いレースの下着。
式でウェディングドレスはちゃんと着るけど、何となく初めて夫婦で過ごす夜だからと、白を選択してしまった真意を悟られた気がした。
「う、その、せっかく結婚して初めての夜だからって」
「可愛いな、おまえ」
「せ、政、ちゃ……」
つい、先輩と口をついて出そうになるのを飲み込んだ。
パジャマの上下を脱がされて、下着姿だけになると、先輩がちょっと身体を起こして、自分の着ていたTシャツとルームウェアを脱ぐ。
そのまま、下着も脱がされていくものだと思っていたら、そこで手を止めて、じっと私を見つめてくる。
「……何、か?」
「あ? 全部脱がす前にじっくり見とこうと思って。……俺さ、おまえと一番最初にセックスしたとき、結構手一杯だったから、どんな下着だったか全然覚えてねぇんだよな。だから、今回のはちゃんと覚えておこうと思って」
「なっ……そんな、覚えなくても」
「でも、おまえは今日の為にその下着選んだんだろ? だったら、覚えておく。この先もずっと」
「んっ」
ショーツの上から先輩の指が大事なところに触れていく。
予想通り、小さい水音がして、先輩の目が笑う。
「もう結構濡れてるのな。下着貼り付いてて、ここの形分かる」
「そっちだって……そんな固くなってるのに、何言ってるんです、か……っ」
抗議はしてみるものの、下着の隙間から直接指が入り込んできたところで言葉が続かなくなった。
足の間を指が辿っていく。
伝わる先輩の指先の熱さに、随分と興奮しているのを察せられた。
触れられている部分だって、他の場所よりも体温が高いはずなのに。
「当たり前だろ。わざわざ下着まで新調したって聞いたら、興奮しかしねぇよ。どんな下着かはもう覚えたから、これ脱がすな。これ以上濡れちまう前に脱がした方がいいだろ?」
「う……」
先輩が、わざと触れてる場所で大きく音を響かせるように指を動かした。
甘い快感がそこから広がっていく。
もう、どんな風に触れたら私が感じるかなんて、熟知している動きだ。
そのことが余計に恥ずかしい一方で、どうしようもなく嬉しい。
指が抜けて、下着が足から抜かれ、ブラも剥ぎ取られる。
先輩も自分の分の下着を脱いで、お互い何も身につけない状態になったところで、何とはなしにそのまま抱き合った。
先輩の身体が温かいを通り越して、熱い。
「熱……無いですよね? 何か、凄く熱く感じるんですけど」
「ねぇよ。……俺からすれば、おまえも普段より体温高い気するけどな」
「ん」
身体を少しずらして、先輩のモノが私の足の間に収まる。
まるでその場所に吸い付くように触れた感じに、つい声が漏れる。
先輩が片手を繋いで、指を絡めてきた。
そんな些細な動きでも、触れ合っている場所が反応してしまうのが楽しいのか、先輩の目が笑う。
「興奮してるのはお互い様、か」
「そういうこと、ですね」
それだけ言うと、先輩が動き始めた。
片手は絡め合ったままで、もう一方の手と唇が胸元を掠めていく。
先輩の熱い指先と唇、舌の感触が気持ち良くて、呼吸が乱れていく。
もう、これまでに何度も触られているのに。
「んっ!!」
胸で一番敏感な部分を舌で突かれ、つい背が撓った。
続いて、もう一方も同じようにされて、身体の芯が熱くなる。
もどかしさを逃そうと、繋いだままの手に力を籠めると、先輩の方も強く握り返してきた。
「まだ、そんな強く触ったりしてねぇぞ」
「わか……ってる、けどっ……」
「…………何か、もう凄ぇ濡れ方してる」
「や……あああ!」
お腹にも唇が触れたと思ったら、そのまま下へと降りていって、身体の中で一番敏感な芽を先輩の舌が包んだ。
自分ではそこが大きくなるのなんて、よくわからないけど、濡れていっているのは分かっている。
舌だけでなく、指でも刺激されて、腰が勝手に動き出す。
どうしよう、触っている時間なんていつもよりずっと短いはずなのに、もう身体の奥に先輩を受け入れたくて仕方ない。
「せ……んぱ……」
「悪い……我慢出来そうにねぇ。挿れていいか?」
見上げた顔は、切羽詰まっているのを隠しきれていなかった。
もしかしたら、私も似たような表情をしてるのかも知れない。
先輩も同じ思いだったことにほっとしながら、返事の代わりに足を自分で抱えて開く。
その拍子に蜜がお尻の方まで伝った。
見ていた先輩が喉を鳴らし、喉仏が動くのが見え……私が開いた足を先輩が自分の肩にそれぞれ乗せた。
膝の辺りに軽くキスを落とされる。
足の抱え方に、最初から深く挿れる気なんだと思うと、期待でどうにかなりそうだった。
「う、あ、ああ……!」
「く……っ!!」
直接、先輩が中に入ってきた瞬間、思わず声があがる。
中にこそ出したことはないけど、ゴム無しの感触は片手で数える程度には経験がある。
ゴム無しって確かに気持ち良かったけど……こんな震えてしまいそうな位に最初から気持ち良かったっけ。
少しずつ入って来ているのが焦れる程に、快感が身体の奥に広がっていく。
先輩もかなりきているのか、私の上で呻いて、堪えてるような表情になっていた。
挿れて早々、こんな表情になってるなんて、初めてかも知れない。
「せ……ぱ」
「なん……だ、これ」
「んっ!」
一番奥深くまで、先輩が辿り着いた。
ごり、と肉越しに恥骨同士が擦れるような感覚に歯を食いしばる。
直ぐにでも強く動いて欲しいけど、これ、動いてしまったら終わってしまいそうな気もする。
微かに押しつけるような動きでも結構追い上げられてしまっているのに。
「せ……んぱ……」
「やべ……あんま、もたね……かも」
「んっ!」
「っ……」
一度大きく身体を引かれて、また奥まで突き上げられるとお腹の奥に強い快感が響く。
そのまま、動きが奥を小突くようなものになったけど、もっとさっきみたいな強い刺激が欲しくて、先輩の耳元で動いて、と言ってしまう。
繋いだままの手が一層強く握りしめられた。
「遊……一度、出しちまってもいいか? そのまま……っ、続ける、から」
「いいです、よ……っ。私も、多分、イキそう、なん、で……っ」
「強く動いても平気そう、か?」
「んっ」
返事をするや否や、先輩が激しい動きに切り替わった。
「ひ、あ、やあっ!」
いきなり強い動きになると痛むこともあるのに、今日は全くそんな気配がない。
それどころか、襲ってくるのは強烈な快感だけ。
自分でも動揺してしまうほどに、乱れる。
「ん……あ、せん……あああっ!」
「遊……っ!」
繋がった部分に脈動を感じた気がした。
続いて、身体の奥で大きく何かが弾けたような悦楽が広がる。
意識が霞みかけたところを、額に落ちてきた先輩の汗が現実に引き戻す。
「だい……じょうぶ、ですか」
「……こっちの台詞だ、そりゃ」
まだ、お互いに荒い呼吸のまま、そんな言葉を交わす。
先輩が、繋いでいた手を離して、先輩の肩に乗っていた私の両足をそれぞれベッドに下ろす。
「ちょっと落ち着いたから体勢変えたい。遊、俺の肩に掴まれ」
「あ、はい」
肩に掴まるというよりは、首に腕を巻き付けるような感じでしがみつくと、先輩が私の背を抱えて身体を起こした。
お互いに座って向かい合うような形になる。
抜けないように気をつけながら、足を楽な状態に動かすと、その動きでお腹の奥深くから、何かが下へと伝ったような感覚が伝わった。
「あ……」
「なるほど、今さっき出したやつ、か」
繋がったままだから、先輩にも分かったらしい。
照れ笑いの表情をした先輩が、中でまた固さを取り戻したのが伝わる。
「なぁ、出した瞬間って分かるもんなのか?」
「えっと……さっきのは私も余裕がなかったので、正直よくは……。でも、今ので先輩が出したんだってのは、その、実感したというか」
「そっか」
先輩が私を抱き締めながら、胸に顔を寄せる。
「俺さ、おまえを気持ち良くさせたいってのは、勿論あるんだけど、一緒にイケるとめちゃくちゃ気持ち良い上に、何か嬉しいんだよな。こう、身体の波長が合ってるって感じで」
「そんなの……私だって一緒ですよ」
一人で気持ち良くなるのは、どうにも申し訳ないけど、一緒にイケると、先輩も凄く気持ち良くなっているのを実感できるから、そっちの方が嬉しい。
汗を含んだ先輩の髪を掻き上げながらキスすると、先輩も私の胸にキスしてくれた。
「このまま、背中の方触る」
「はい。私も触っていても?」
「ああ」
先輩の手が、肩を撫でてくれた後、背中へと移動する。
その動きに合わせるように、私も先輩の肩や背中を触っていった。
こうして触ってみると、ちゃんと筋肉のついた男の人の身体なんだよなぁって実感する。
先輩の手も止まらない。
そのまま、腰、お尻と行くものだと思っていたら……先輩の指はお尻の間を滑っていった。
ほとんど触られていない場所に感じた指の感触に、つい慌ててこっちの手を止めてしまう。
「ちょっ……先輩!? そこ、違……」
「違わねぇよ。……分かってて触ってる」
「ダメです! そんな場所、汚……」
「風呂入ったばかりなんだし、汚くなんかねぇよ。お前が最初の頃、かなり嫌がったから触らないようにしてたけど。……俺はな、遊」
「ふっ……」
指が優しく後ろの穴を撫でる。
ダメだ、意識しないようにしようとしても恥ずかしさで、どうにかなってしまいそう。
まともに先輩の顔が見られない。
流石にこんな場所を触られるのは抵抗がある。
なのに、先輩と来たら。
「おまえの身体で触ってない場所なんか、一箇所も残したくない。触れる場所は残らず触っておきたいんだよ。全部触って、全部俺のものにしたい」
おまえ、もう俺の奥さんだろう? 何か問題あるか?
そんな風に畳みかけられて、二の句が継げない。
「そ……な」
「何処を触られてる、なんてそんな意識すんな。……ゆっくり触るから、痛かったりしたら言え」
「う…………」
ゆっくり触られているのは、多分痛みとかを避けようとしてくれているからなんだろうけど、それが余計に羞恥心を煽る。
自分でだって、お風呂でボディタオル越しに触れたりするくらいで、そのまま触るようなことなんてない場所だ。
先輩の指が濡れてるのは、散々大事なところが濡れてしまっているからだ、と理解してしまっているのも恥ずかしい。
さらに恥ずかしいのは、その先輩の指が確かに気持ち良いと感じてしまうことだ。
触っているのが先輩だからというのが勿論大きいだろうけど、こんな場所さえ感じてしまう自分が居たたまれない。
そんなこっちの困惑を余所に、先輩の指先がくるくると周囲を撫でて――つぷ、と指先が中に入った。
流石に、身体が強ばってしまう。
「や、ま……っ、せん、ぱ、い……!」
「痛く……は、なさそう、だな。おまえの中、さっきよりずっと濡れてる」
「そ、れは……先輩だって、一回中に出してる、し……っ!」
言い訳だって、自分でも理解している。
そして、その言い訳を先輩は汲んでくれなかった。
私を見上げてくる目が、真っ直ぐに射貫く。
「そんだけでもなさそうだぞ。……認めちまえよ、遊。ここ、触られるの気持ち良いって」
「あっ! ああ!! んあっ!!」
「んっ」
浅い場所で動いた先輩の指が確かに気持ち良くて、声が抑えきれなかった。
そして、多分、その動きで私の中が締まったんだろう。
先輩が呻いて――指を引いたかと思うと、一気に強く動いて、中を掻き回し始めた。
「せ……んぱ……先輩……っ!!」
「遊っ……!」
再び、訪れた快感の頂きの誘惑には逆らわずに、私も先輩の動きに合わせて腰を動かす。
一瞬の空白の後、繋がったところから、全身に広がった快感。
先輩が、しばらくセックス覚え立ての頃みたいに盛りそうだ、と呟いたのが聞こえた。
***
「おまえ、結局一杯一杯になると、先輩呼びになっちまうのな」
先輩……政ちゃんが、腕枕をして、私の頭を撫でてくれながらそんなことを言う。
「……もう、仕方ないじゃないですか。何年、先輩って呼んでいたと思っているんですか」
それこそ、付き合う前の初めて出会ったときから、ずっと先輩って呼んでいたのだから、それを一晩で塗り替えてしまうっていう方に無理があるような気もする。多分。
それなのに、先輩は容赦なくツッコんだ。
「敬語」
「あ……いや、その……大目に見て。少しずつ、変えていくように頑張……るから」
「ああ、いいぜ。人生まだまだ長い予定だしな。夫婦じゃ無かった時間より、夫婦の時間が長くなった頃にでも違和感なく馴染んでくれるようになってくれれば、それでいい」
「……政、ちゃん」
ずっと先の方を見据えた言葉に胸が熱くなる。
この人とずっと一緒に過ごしていけるということが嬉しい。
頭を撫でていてくれた手が、私の頬に触れた。
「覚悟しとけ。俺、もう死んでもおまえを手放す気ねぇから」
「そんなの……私だって一緒ですもん」
指輪を着けた手と手を絡めて。
そんな風に私たち夫婦の最初の日が始まったのだった。
[堀Side]
仕事帰りに二人で待ち合わせるってのは、そう珍しいことじゃない。
今までだって、よくやっていたし、特に今日みたいな金曜日の夜なんて、二人で外食することもあった。
が、今日二人で一緒に寄った場所は市役所。
目的は婚姻届の提出だった。
既に必要事項は埋めてあった用紙を窓口に差し出すと、こっちの緊張とは裏腹に窓口の人間は手慣れた様子で、淡々と祝いの言葉を述べ、書類の処理を進めた。
考えてみれば、こっちには最初で最後の一大事だけど、役所の方にとっては日常茶飯事だもんな。
毎日、どれくらいの夫婦がこうして成立していくのかまでは知らないが、これでこいつが俺の『配偶者』になったんだな、とちらりと見上げると、すっかり破顔している遊と目が合った。
……可愛い表情しやがって、こいつ。
一通りの手続きが終わって、遅くなったからとそのまま夕食も二人揃って気に入っている店で済ませる。
そうして、いつものように家に帰り、風呂に入って、寝る準備を整えて。
何となく、かしこまってしまい、二人でベッドの上に座って向かい合わせになったままだ。
帰ってきてから、それぞれお互いの指に嵌めた結婚指輪が何とも面映ゆい。
しかし、いつまでもこうしているわけにもいかないし、本心としては――一刻も早く、俺の妻となった女を隅々まで貪りたい。
「あー……その、遊」
「はいっ!」
「改めて、今後ともよろしく」
「こ、こちらこそ不束者ですが、よろしくお願いします」
よく、ドラマやら漫画でみたような、よく知っている台詞だが、実際にこうして聞くことになろうとは。
綺麗に三つ指ついて、頭を下げた遊が何だか無性に可愛い。
「何か、実際にそういう言葉聞くと妙に照れるな」
「……です、ね」
遊の左手を取って、指輪と指を親指でゆっくり撫でてみる。
指輪を決めるとき、意外にしっくりくるものがなくて、結構時間を掛けて選んだのを思い出す。
これが店で出てきた瞬間、二人揃って一目で気に入っただけあって、ついさっき嵌めたばかりとは思えないくらいにしっくりと馴染んでいる。
遊も俺の左手を取って、同じように指輪と指を撫でてきた。
結婚したんだよなぁ、俺たち。
最初に出逢ってから、何だかんだで十年近くなるが、あの頃のことが懐かしく感じる一方で、つい最近だったような気がする時もある。
その原因の一端はおそらく。
「……で。おまえはいつまで俺を先輩って呼ぶつもりだ、奥さん」
遊が俺を呼ぶときの言葉に変化が全然ないからだ。
「えっと……それは。呼び方変えなきゃダメってことですか?」
「俺としては出来れば名前で呼んで欲しいぞ、そろそろ。この先子どもが生まれたら、少なくとも子どもの前ではお父さん、お母さんになっちまうだろ? なら、名前で呼ぶなら今のうちじゃねぇか」
俺だって付き合い始めの頃は、照れが入ってしまって、中々下の方の名前でこいつを呼べなかったし、本当に違和感なくいつでも『遊』と呼べるようになったのは、プロポーズした後ぐらいだ。
だから、即変えろとは流石に言えないが、名前で呼んで欲しいってのはある。
何しろ、こいつはもう俺の妻なのだから。
「それは……確かにそうなんですけど」
「あと、その敬語もだ。長年の癖になってるのはわかってるが、もうちょっとどうにかなくす方向で」
元々は先輩後輩という立場だったし、俺もわざわざ今まで言わなかったからそのままだったが、この先ずっと一緒に夫婦として生きていく相手に、いつまでも敬語で話されるのも、どこか一線を引かれてしまうような感じがして落ち着かない。
遊本人にそんな気がなくてもだ。
夫婦である以上は対等でありたい。
遊はちょっと困った様子で色々と考えているようだったが、不意に顔が明るくなったと思ったらこう言った。
「えっと……堀ちゃんっていうのの名前バージョンで、政ちゃんっていうのは?」
「政ちゃん?」
「先輩、堀ちゃんって呼ばれてたし、それを名前の方でって思ったんですけど……ダメですか?」
「政ちゃん、なぁ」
確かに、昔からよく呼ばれているあだ名は『堀ちゃん』だったし、学生時代の同級生や先輩たちには、今でも俺をそう呼んでくるのが少なくない。
が、政ちゃんというのは初めてだ。
この歳からちゃん付け、なぁ。
「んー、ちょっと、そのまま呼んでみろ」
「政ちゃん」
「もう一度」
「政ちゃん」
「ワンモアプリーズ」
「ま、政ちゃん」
――堀ちゃん先輩!
かつて、時々こいつにも呼ばれたそれが重なるが、似ているようで全く違った響きになっている。
何処か甘くて優しい響きは、繰り返されるたびに胸の奥が温かくなった気がした。
「……悪くねぇな」
こんな風に呼ばれるのもいいだろう。
遊の手をそのまま口元まで持っていき、指輪ごと薬指に唇を落とす。
唇をそのまま離さずに手の甲も滑らせ、手首を通過し、長袖になっているパジャマの袖を捲り上げつつ、肘の方まで辿らせる。
辿らせながらも、遊の息を飲んだ音が聞こえて笑ってしまいそうになる。
可愛いよなぁ、こいつ。
肘で一度唇を離して、遊の顎に手を掛けた。
「政ちゃん」
「何だ」
何度見ても飽きの来ない、好みのどストライクをした顔が艶っぽい表情を浮かべている。
演技での艶っぽい表情とは全然違う、他の誰も知らない顔の輪郭をなぞると、キスをねだるように唇が軽く開く。
遊の指も俺の頬を触ってきた。
「……キス、して」
「ああ」
請われた言葉には逆らわずに、唇を重ねる。
相変わらず柔らかくて弾力のある唇に、軽く触れては離すというのを繰り返す。
舌を入れたくなったのは抑えて、遊の背を軽く支え、ベッドに寝かせ、覆い被さる。
パジャマの上から触っても、華奢な作りをしているのが分かる肩を撫でてから頭を置いた。
直ぐ近くに見える胸に手を重ねる。
心臓が近いから、少し手を押しつけるように触れると、掌から遊の鼓動が微かに伝わった。
「遊」
少し顔を上げて、視線を合わせる。
赤く染まりつつある顔がたまらなく興奮を誘った。
「今日、ゴムつけなくていいよな。……中に出したい」
「ん」
迷いなく頷かれたことが嬉しい。
一番最初にセックスした時から、直接中を感じたい、この中に出したいとずっと思っていたが、手順はちゃんと踏みたかったし、万が一何かがあった場合に、遊を傷つけるようなことは絶対にしたくなかった。
まぁ、それでもゴム無しで挿れてしまうってのは、うっかり数回やっちまったけども、中にそのまま出すことだけは避けてきた。
今日はもうそんなのを気にせずに済むと思うと、気分が昂揚する。
一番気持ち良い瞬間を遊の中で感じられるのかと思うと、たまらない。
出来れば、一、二年くらいは二人で過ごしたい気もするが、子どもが直ぐに出来たとしても、それはそれで楽しいだろう。
遊の太股にとっくに固くなっているモノを押しつけると、パジャマとルームウェア越しでも分かる遊の体温もいつもより高い。
「明日休みで良かったよな。おかげで加減なしに楽しめる」
「お、お手柔らかにお願いします」
「します?」
つい、敬語に対して言い返すと軽く拗ねたような顔になった。
「……えと、その、無茶苦茶しすぎない、で」
「悪い、保証できねぇわ」
「っ!」
こんな可愛い反応されて、無茶苦茶するなっていうのは、無理にも程がある。
もう一度唇を重ねて、今度は深く遊の口内を探ろうと、舌を入れ、歯列、上顎となぞっていく。
特に口の中で弱いのを知っている上顎は強めに擦った。
その際に、俺の身体の下で遊が軽く下半身をびくつかせたのが伝わる。
俺も相当興奮してるけど、こいつもかなりのものだなと、舌も絡めていくと、唾液が口の端から溢れて、こぼれ落ちた。
そんな様も益々昂ぶらせる。
胸に置いたままの手を、動かしたくなった衝動はどうにか抑えたものの…………やべぇな、これ。
唇を離して乱れた呼吸に、どこまで理性が持つのか、軽く不安になった。
「せ……じゃな……政、ちゃ……」
「何か、籍入れたってだけなのに、キス一つでも凄ぇ興奮すんだけど、俺」
「……私も、いつもより、その」
「だよな、もう脈速くなってるの伝わってくる」
「あ……」
手を動かして、パジャマの上から胸を探っていく。
ノーブラのこともままあるが、今日はちゃんとブラを着けているらしい。
首筋にもキスして、少し強めに吸ったりもしながら、その場所の感触を楽しむ。
この場所だと、キスマークがあったら見えるだろうなと思ったが、どうせ明日は外出せずに、家の中で過ごす予定だしいいだろう。
手も少しずつ下の方へと滑らせていく。
パジャマ越しの体温がもどかしい。
「ゆっくり楽しみたいのに、気分はめちゃくちゃ昂ぶってる。……どこもかしこも触りたい」
触りたいのに、どこまで理性が持つんだか。
遊のパジャマの裾から手を入れて、軽くあばらの辺りを撫でた。
浮きでているとまでは言わないが、触ると骨がどうなっているかはしっかり分かる。
ブラの下の方に触れたところで、手を引いた。
「大丈夫ですよ。私も似たような感じ……だから。……あ」
遊のパジャマの前を開けながら、唇ではそのまま鎖骨をなぞり、胸元へとすすめていく。
白いブラと肌との境目に舌を入れて、そっと撫でると遊の身体が反応した。
本当に胸弱いな、と思いながらブラが初めて目にしたものだったことに気がついた。
「この下着、初めて見るな。……今日の為に、か?」
遊が着けていたのは、白一色レースの下着。
おそらくは下の方も同じもので合わせているだろう。
まるで、ウェディングドレスを連想させる下着は、隅々まで俺の色に染めて欲しいと、言わんばかりに思えた。
遊の顔を見ると、気恥ずかしさからなのか、軽く目を逸らされた。
「う、その、せっかく結婚して初めての夜だからって」
「可愛いな、おまえ」
どうやら、解釈は外していなかったようだ。
「せ、政、ちゃ……」
上下で揃えた下着を見たくて、パジャマの上下をさっさと脱がせる。
ついでに自分の方も下着以外は全部脱いだ。
改めて、下着姿の遊を眺める。
白い肌にすらりと伸びた手足に、白いレースのセットの下着は良く映えた。
流石、俺の妻は何でも着こなせる。
「……何、か?」
「あ? 全部脱がす前にじっくり見とこうと思って。……俺さ、おまえと一番最初にセックスしたとき、結構手一杯だったから、どんな下着だったか全然覚えてねぇんだよな。だから、今回のはちゃんと覚えておこうと思って」
あの時は、ただ遊を自分のものにしたくて、抱きたくて。
そんな気持ちで手一杯だった。
胸がやたらに弱いと思ったことや、一番最初に挿れた時の強ばった膣内の感触は覚えていても、下着となると全然記憶に無い。
「なっ……そんな、覚えなくても」
「でも、おまえは今日の為にその下着選んだんだろ? だったら、覚えておく。この先もずっと」
白には『純潔』とか『無垢』って意味が含まれているようだが、そんな一方で下着が湿っていてうっすら毛が透けていたり、性器の形が分かってしまっていたりするのが、妙に卑猥だ。
いや、こういうのこそ『俺の色に染まった』からだと思えばいいのかも知れない。
実際、遊がこんな反応を返すようになっているのは、俺が抱いてきたからだ。
「んっ」
キスでもこうして濡れてくれるし、クリトリスは興奮でちゃんと固く膨らむ。
下着の上からでも分かるくらいに。
下着の上から足の間をなぞって、クリトリスまで指で擦っていくと、小さい水音が聞こえた。
「もう結構濡れてるのな。下着貼り付いてて、ここの形分かる」
「そっちだって……そんな固くなってるのに、何言ってるんです、か……っ」
遊が言い終わらないうちに、股布の隙間から直接指を入れる。
熱くなった秘唇やひだが蜜と一緒に指先に纏わり付いた。
「当たり前だろ。わざわざ下着まで新調したって聞いたら、興奮しかしねぇよ。どんな下着かはもう覚えたから、これ脱がすな。これ以上濡れちまう前に脱がした方がいいだろ?」
「う……」
一度股布から指をひいて、改めて下着のウエスト側から手を入れる。
蜜の絡んだ人差し指と薬指で軽く合わせ目を寄せて、中指で膣口近くを擦ると、ぐちゃとさっきよりも大きな水音がした。
身体に触れていた遊の足が震えたのを確認してから、下着を脱がせる。
案の定、興奮で赤く染まった濡れそぼった秘唇が、軽く開きかけているのが見えた。
ブラの方も取ると、ピンク色の乳首もつんと立っていて、すぐにでも貪りつきたい。
が、せっかくの新婚初夜だ。
そんな簡単に終わらせたくないってのもあった。
自分の下着も脱ぐと、まずはそのまま抱き締めた。
直接触れる肌の心地良さは、何度繰り返しても飽きない。
「熱……無いですよね? 何か、凄く熱く感じるんですけど」
「ねぇよ。……俺からすれば、おまえも普段より体温高い気するけどな」
「ん」
身体を少しずらして、モノを遊の秘唇に挟めるように添わせる。
濡れた場所が優しく纏わり付いて、遊が声を上げた。
……本当に可愛いな、こいつ。
指輪をつけている左手で、遊の右手を繋いで指を絡めた。
それに連動して、遊の秘唇がびくりと動く。
絡められた白い指も。
それが何より誰より、俺を求めてくれている証に思えて嬉しい。
興奮した姿をお互いに惜しみなく曝け出し合って、受け止められる。
その事がどれ程満たされる行為か、俺はもう知っている。
「興奮してるのはお互い様、か」
「そういうこと、ですね」
そして、もっと遊を興奮させたいと、より存在を感じたくて動く。
片手を絡めたままに、もう一方の手と唇で遊が弱い胸を攻めていく。
乱れた呼吸が愛しい。
「んっ!!」
乳首を舌で突いてやると、遊の背が撓る。
片方だけでなく、もう一方もと、突いていた方は指で触れながら、もう一方の乳首も同じように舌で突く。
甲高い悲鳴が上がった。
繋いだ手に力がぎゅっと籠められて、こっちもそれに応えてやる。
「まだ、そんな強く触ったりしてねぇぞ」
「わか……ってる、けどっ……」
刺激としては、まだ激しくはないはずだが、遊の身体は随分反応してくれている。
ちらっとみた足の間が、もうぐずぐずに濡れていて直ぐにでも挿れられそうだった。
「…………何か、もう凄ぇ濡れ方してる」
「や……あああ!」
子宮のある辺りを狙って、腹にキスし、そのまま下へと唇を辿らせ、赤く膨れたクリトリスを舌で包む。
付け根の部分を指で軽く擦ると、泣きそうな顔になって、遊の腰が動き始めた。
……くそ、まだ足とか全然触ってねぇのに、もう中に挿れたくてたまらない。
こんな表情と仕草見せられて、我慢なんか出来るかよ。
「せ……んぱ……」
「悪い……我慢出来そうにねぇ。挿れていいか?」
返事はなかったが、遊が自分で足を抱えて開いた。
膣口から溢れた蜜が、そのまま尻の間に流れ落ちたのを見て、自分の喉が鳴ってしまったのを自覚した。
遊の足を自分の両肩に乗せて、口元近くに来た膝にそっとキスする。
狙いを定めて、先端を膣口にめりこませると、ぐっと体重をかけた。
「う、あ、ああ……!」
「く……っ!!」
濡れた遊の内部が優しく纏わり付く。
先端から包み込む刺激に暴発しそうで、どうにかゆっくりと中に進めていく。
ゴム無しで挿れた時に、確かにめちゃくちゃ気持ち良くて、こんなのが癖になったらマズい、とは思った。
が、過去に数回ゴム無しで挿れた時よりも、今ずっと気持ち良いってどういうことだ。
ほんの少し固めの感触がカリを擦り上げたかと思えば、ざらついた部分が直ぐさまそれを包む。
遊の中の熱が出してくれと言わんばかりに、誘っている気さえする。
うかつに動けない。
「せ……ぱ」
「なん……だ、これ」
「んっ!」
ごつ、と最奥に突き当たって、軽く息をつくも、小さく動いて軽く擦るくらいじゃないと出しちまいそうだ。
そんな直ぐにイクとか勿体ねぇ。
なのに、そう思う一方で激しく動きたくて堪らない。
直ぐ手の届く位置に快感の頂きが見えて、それを掴みたいという欲望を抑えられる自信が笑えるほどにない。
「せ……んぱ……」
「やべ……あんま、もたね……かも」
「んっ!」
「っ……」
一度大きく身体を引き、すぐに奥まで突き上げる。
やっぱり、これうかつに動いたらまずい、と再び小さな動きに切り替えたが、そんな中で遊が動いて、とねだった。
その動いて、の意味がどういう動きかなんて、聞かなくても伝わってしまう。
繋いだままの手に、力が入って――もうギリギリのところで抑え込むのを諦めた。
こいつも望むなら、問題ねぇだろう。
「遊……一度、出しちまってもいいか? そのまま……っ、続ける、から」
「いいです、よ……っ。私も、多分、イキそう、なん、で……っ」
「強く動いても平気そう、か?」
「んっ」
返事が聞こえた瞬間に動き出す。
クリトリスの裏側あたりから、最奥へと擦り上げて、時々は入り口近くまで身体を引き、奥を突く。
「ひ、あ、やあっ!」
突き上げるたびに、遊の子宮口が吸い付くように俺の先っぽを包む。
何か、今までの中で一番子宮口の感触が柔らかいかも知れない。
まるで身体の奥でキスされてるみたいだ、なんて一瞬考えたのがまずかった。
一気に射精感が抑えきれないところまで上り詰める。
「ん……あ、せん……あああっ!」
「遊……っ!」
一番奥で熱を吐き出した。
その瞬間の気持ち良さといったら、例えようがない。
まだ吐き出してる最中から、遊の中がさらに奥へと誘うようにざわめいて、繋がった場所が溶かされてしまいそうだった。
それだけ気持ち良かったっていうのに、まだどこかで物足りなさも感じる。
もっと触って、感じて、まだ熱を吐き出したい。
「だい……じょうぶ、ですか」
「……こっちの台詞だ、そりゃ」
遊の声も大分擦れているし、肩に乗せたままの遊の足からも震えが伝わる。
快感が引いて、ようやく繋いでいたままだった手の存在を思い出す。
そっと力を抜いて、手を離すと遊の指の跡が、俺の手の甲に残っていた。
俺も余裕なかったけど、こいつも同じだったことが嬉しい。
肩に乗せていた足をベッドにゆっくり下ろす。
「ちょっと落ち着いたから体勢変えたい。遊、俺の肩に掴まれ」
「あ、はい」
互いの汗に塗れた肌を抱き締めたくて、そう言うと素直に遊が俺の首にしがみついてきた。
密着したいってのも、一緒だったようだ。
遊の背を支えて、繋がったままの身体を起こす。
座って向かい合うような形になると、足の位置に違和感があったから、お互いそれとなく抜けないように気をつけながら、足を動かす。
そうやって動いた時に、遊の中に挿れたままの俺のモノに、温かい何かが触れた感触がした。
遊の蜜とも少し違ったそれの正体は直ぐに分かった。
「あ……」
「なるほど、今さっき出したやつ、か」
落ち着いていた興奮が再び頭をもたげる。
そうだよな、液体だから身体起こしたら出てくるよな、そりゃ。
「なぁ、出した瞬間って分かるもんなのか?」
「えっと……さっきのは私も余裕がなかったので、正直よくは……。でも、今ので先輩が出したんだってのは、その、実感したというか」
「そっか」
より、強く抱き締めて、遊の胸に顔を押しつけるような形になる。
ほんのり速いくらいの鼓動が伝わってきた。
「俺さ、おまえを気持ち良くさせたいってのは、勿論あるんだけど、一緒にイケるとめちゃくちゃ気持ち良い上に、何か嬉しいんだよな。こう、身体の波長が合ってるって感じで」
別に一緒にイクのに拘るわけでもないが、やっぱりイケると身も心も満たされていく感じがして堪らなくなる。
身体の相性や、心の相性っていうのがあるなら、遊と俺は多分どちらの意味でも相性がいいと思う。
だからこそ、一緒になりたいと願ったし、こうして夫婦にもなった。
そして、人っていうのは貪欲な生き物だ。
満たされていても、もっと欲しくなる。
「そんなの……私だって一緒ですよ」
欲しがることに応えてくれる相手がいるのなら、貪欲なことに罪悪感を持たなくてもいいのだと、教えてくれたのはこいつだ。
頭にキスされたのが分かって、俺も目の前の胸にキスする。
「このまま、背中の方触る」
「はい。私も触っていても?」
「ああ」
抱き締めていた手の一方で、肩、そして背中に触れていく。
遊も俺の動きに合わせるように身体を触っていく。
何度も触ったけど、こいつの肌は触り心地が良くて、いくらでも触っていたくなる。
ああ、でもそういや、あんまり触ってない場所、あったな。
最初の頃に、結構本気で嫌がったから、避けてはいたが……もう、こいつ俺の奥さんだしな。
この機会に、少しずつ慣れさせてしまいたい。
そう考えながら、あまり今まで触っていなかった場所――尻の間にある、もう一つの穴に指を辿らせる。
さっきの流れで、こっちの方まで濡れてるのは予想していた。
遊の身体がびくりと震えて、手が止まった。
「ちょっ……先輩!? そこ、違……」
「違わねぇよ。……分かってて触ってる」
「ダメです! そんな場所、汚……」
「風呂入ったばかりなんだし、汚くなんかねぇよ。お前が最初の頃、かなり嫌がったから触らないようにしてたけど。……俺はな、遊」
「ふっ……」
穴に沿って指を動かす。
痛い思いなんてさせたりしないように、ゆっくりとそっと。
遊が声を詰まらせて、俺に強くしがみつく。
顔を見られたくないのだろう、とは察したが、その行動が余計に俺を煽ることを多分こいつは気付いていない。
「おまえの身体で触ってない場所なんか、一箇所も残したくない。触れる場所は残らず触っておきたいんだよ。全部触って、全部俺のものにしたい」
そして、自分でも狡い言い方だと自覚しながらも、言葉を続ける。
「おまえ、もう俺の奥さんだろう? 何か問題あるか?」
「そ……な」
こう言ってしまったら、遊が抗えないだろうことを分かっている。
分かってはいるが――今のこいつなら、受け入れてくれるだろうって思えるから止めない。
「何処を触られてる、なんてそんな意識すんな。……ゆっくり触るから、痛かったりしたら言え」
「う…………」
遊本人の蜜で濡れた場所は、このくらいの力加減なら痛みなんて感じないはずだ。
実際、さっきから遊の中が軽く収縮を繰り返して、また蜜が染みだして、俺のモノに絡みつき始めているのが分かる。
ちゃんと感じてくれていることにほっとするし、俺が遊の身体をこういう風にしたんだと思うと、嬉しくて堪らない。
穴の力が大分抜けたところで、ほんの指先だけ中に入れてみる。
遊の身体が強ばって、入れた指と、膣内に入れているモノが締め付けられた。
「や、ま……っ、せん、ぱ、い……!」
「痛く……は、なさそう、だな。おまえの中、さっきよりずっと濡れてる」
「そ、れは……先輩だって、一回中に出してる、し……っ!」
「そんだけでもなさそうだぞ。……認めちまえよ、遊。ここ、触られるの気持ち良いって」
俺に触られるなら、どんな場所でも感じるって言えよ。
「あっ! ああ!! んあっ!!」
「んっ」
上げた声に確かに含まれていた、快感を表わす響き。
ぎゅっと中がさっき以上に締め付けられて、こっちも抑えきれなくなった。
指を抜いて、一気に腰を動かす。
中を遠慮無しに掻き回すと、それに合わせて遊の腰も動く。
「せ……んぱ……先輩……っ!!」
「遊っ……!」
ああ、そういえば……こいつ、呼び方元に戻ってる。
敬語もだ。
そう簡単に長年の習慣って抜けないよな。
でも、こんな風に余裕の無さを示されるのは悪くなかった。
俺の腕の中でだけ乱れる。
可愛い、可愛い、俺のたった一人の女。
再び、一緒にイケて、またそれが腰が抜けそうなくらいの快感だった。
「……しばらくセックス覚え立ての頃みたいに盛りそうだ」
こんな気持ち良さを抑え込める自信なんて、全くない。
ただ、そんな俺でも。
こいつはきっと受け止めてくれそうな気がした。
***
「おまえ、結局一杯一杯になると、先輩呼びになっちまうのな」
ようやく一息ついた頃、腕枕をしながら、遊の頭を撫でると、拗ねたような表情になる。
「……もう、仕方ないじゃないですか。何年、先輩って呼んでいたと思っているんですか」
「敬語」
「あ……いや、その……大目に見て。少しずつ、変えていくように頑張……るから」
「ああ、いいぜ。人生まだまだ長い予定だしな。夫婦じゃ無かった時間より、夫婦の時間が長くなった頃にでも違和感なく馴染んでくれるようになってくれれば、それでいい」
「……政、ちゃん」
この先、子どもが出来て。
その子どもが大きくなって、俺たちの元から巣立ち、再び夫婦二人になった頃にでも、そんなこともあったと笑い話になればいい。
それこそ、俺たちは今日夫婦になったばかりだしな。
頭を撫でていた手で、遊の頬に触れると、本当に嬉しそうに笑ってくれる。
……ああ、もう。この顔たまんねぇよなぁ。
「覚悟しとけ。俺、もう死んでもおまえを手放す気ねぇから」
死が二人を分かつまで、なんて結婚式の宣誓でもあるが、俺が先に死ぬことがあったとしても、こいつは絶対に手放さない。
他の誰にもやったりなんかしない。
俺が、もしこいつに万が一先立たれたとしても、他の女とどうなろうとは思わないだろうし。
先に死んでもずっと傍にいるつもりだし、逆もしかりだ。
俺と一緒になるってのはそういう意味だ。
「そんなの……私だって一緒ですもん」
そして、遊もそこは同じだと分かっている。
だから、さらっと躊躇わずにそんな言葉を返してくれる。
遊が俺の腕枕をしている方――結婚指輪を嵌めている手に、同じく指輪を着けた手を重ねて来た。
こつ、と小さく指輪の触れ合った音が、どうしようもなく幸せだと思えた。
そんな、俺たち夫婦の最初の一日はこうして始まったのだった。
キャプションにも書いてますが、新婚夫婦で心置きなく生中出しが書きたかったという話。
二次元エロの醍醐味は中出しだと思う派。
あと、楽しかったのは名前呼びについてのやりとりと白いレースの下着。
白いレースの下着も現実には傷むの早いとか、面倒くさいという理由からあまり買わないけど浪漫ですよね。
(同意を求めるな)
タイトルセンス……どうにかならんかな……。
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