2014/12/13のフリーワンライ(第29回)から『湯けむり』。
フォロワーさんの何人かにはこれだと思ったと言われたお題でした。
私、分かりやすいw
後日、手を入れようと思った話だった(ので、pixivにも纏めてない)んですが、これを書いた後に堀先輩がお酒に弱いことが発覚したので、書いたとしても全然違う話になるため、もうこのままかな……。
※二人が社会人で同棲している前提での話になっております。
初出:2014/12/13
文字数:1471文字
「せんぱーい、こっちからの眺めも良いですよ-!」
「お、ホントだ。流石に良い部屋なだけはあるな」
今回の旅行はちょっとばかり奮発して、部屋に源泉掛け流し露天風呂がある旅館を予約してみた。
部屋数自体がそんなにあるわけじゃないし、知る人ぞ知る、みたいな旅館のせいか、それなりの費用はかかったが、部屋の広さや行き届いたサービスなんかは、流石に高いだけはあるなと着いて早々に実感している。
鹿島はさっきから部屋の隅々までうろついて、窓から見える景色を確認したり、設備を確認したりではしゃいでいるが、その気持ちも分かる。
たまにはこういうのも悪くない。
「露天風呂も広いですよ! ほら!!」
「ん? ああ、これ二人で入れるんじゃねぇ?」
「ですねー。夕食まで時間もあるし、早速入ります?」
「そうするか」
「わーい!」
滞在できる時間なんて限られているんだし、それなら思う存分堪能するに限る。
荷ほどきを最低限で済ませると、さっさと二人で露天風呂に入った。
流石に付き合って数年経つと、裸見ただけでは欲情しないし、一緒に風呂に入ることにも抵抗は薄くなっている。
まぁ、風呂上がりで上気した肌の鹿島は押し倒したくなることはままあるが、意外に入っているときはそんなでもない。
せっかくの露天風呂を楽しみたいっていうのも、恐らくは大きいと思うが。
さっさと髪や身体を洗って、二人で湯船に浸かる。
湯けむりに紛れて、鹿島の気持ち良さそうな顔が見えた。
「あー……お湯の温度もちょうど良いですね」
「だなぁ。ずっと入っていたくなりそうだ、これ。夕食の後に入るときは晩酌も兼ねて、ちょっとだけ酒持ち込むか」
「ホントにちょっとだけですよ? あまり飲んだらベッドの広さを堪能しきらないうちに寝ちゃいそうですし」
ちょっと離れた場所で湯船に浸かっていた鹿島が、俺の方に寄って来る。
すぐ近くに来た身体を引き寄せて、足の間に入れるようにして抱きすくめた。
お湯の温度とは違う馴染んだ体温が、お湯の温度よりも心地良い。
「おい、その堪能っていうのはどういう意味で言っている?」
「え、あ、それは勿論、多少動き回っても大丈夫かなー……なんて」
「…………可愛いこと言うようになったじゃねぇか」
その『動き回っても』が何を意味しているかなんて、深く考えずとも分かる。
いくら、馴染んだ体温と馴染んだ身体と言っても、こんなことを言われた日には、抑えなんてきくわけがない。
湯の中で洗ったばかりの肌に手を這わせ始めると、鹿島が少し慌てた反応を返した。
「ちょっ、先輩、ここ露天風呂! 外だから、聞こえますから!」
「じゃ、ベッドに移って、ベッドの広さとやらを堪能するか?」
「や、それも、あの、夕食前にベッドが乱れてたら、夕食の用意しに来る旅館の人に何て思われるか……」
「なら、このままここでいいだろ。おまえが声を上げないように気をつければ、部屋同士は離れてるんだし、分かりゃしねぇよ」
「……なんで、こうなるかなぁ」
「こっちの台詞だ。言っておくけど、おまえがベッドの広さを堪能とか、動き回ってもなんて言わなきゃ、特に何かしようなんて思ってなかったんだからな」
少なくとも、今は。
「大体、スイッチ入ったのはおまえもだろ、遊」
「……っ、先輩がそうやって触ったからですってば」
指を滑らせた先にある足の間は、もう湯とは違う感触のぬるつきがある。
湯は汚しそうだが、二人しか入らない露天風呂だ。
大して問題ねぇだろう。
「もう……のぼせても知りませんからね」
キスをねだってきた遊に応じて、唇を重ねる。
夕食までの時間を計算しながら、遊の身体を本格的に堪能し始めた。
晩酌ネタが使えなくなったので、(いや、ホント原作が高校生なので、堀先輩がお酒に弱いことが発覚しようとは思ってなかった……)書いても当初とは違う話になるため、このままにしときます。
お酒に弱いことが判明したことで設定違いになっちゃった話たくさんあるなー。消しはしないけど。
(家飲みさせるの好きなので、色々あった)
全年齢にしてたけど、手出しかけているのでR-15にしときます。
タグ:月刊少女野崎くん, 堀鹿, サイトのみ, 社会人同棲設定, R-15, 500~3000文字, 堀視点, ワンライ, 2014年