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堀鹿で姫初めその2<月刊少女野崎くん・堀鹿・>

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堀鹿で姫初め。着物とくれば足袋だなぁと書いたネタ。
pixivでは姫初め×10に収録してあります。

※二人が大学生で付き合っている前提での話になっております。

初出:2015/01/04  

文字数:2510文字 

 

年が明けて、二日。
互いに正月は実家に戻っていたが、今日は鹿島と初詣の約束をしていたから、駅で待ち合わせていた。
普段は、互いの家を行き来しているのもあって、意外に待ち合わせなんてしないから、こういうのも新鮮だ。
人で溢れかえる駅の光景に、神社はもっと凄いだろうと予想がつく。
鹿島と出かけること自体は悪くないが。

「せんぱーい、お待たせしました。明けましておめでとうございます!」
「おう、おめでとう。じゃ、早速行……」

後ろの方から、馴染みのある声が掛かって振り向いたら、言葉が続かなかった。
鹿島が着ていたのは振り袖だった。
少し緑がかった青のグラデーションを基調にした振り袖は、牡丹や桜の花が流れるようなデザインになっていて、目を奪われる。
こいつの髪や目の色に似合っていたし、品良く纏まっている。
流石の着こなしに感嘆の声しか上がらない。
実際、道行く人々も数人に一人はちらりと鹿島の方に視線を投げかけている。
ただでさえ、人目を引く容姿なのにこれなら無理もないことだ。

「凄ぇ似合うじゃねぇか。流石だな。おまえ、何でも着こなせるのな」
「似合います!? わーい、やったー! 成人式用にって買って貰ったものなんですけど、せっかくだから、少しでも着る機会増やそうと思って着てみました! 今年初の先輩とのデートですし」

そう言いながら、鹿島がくるりと俺の前で一回転する。
帯も華やかな印象を与える結び方になっていて、これまた良く似合う。
着物には詳しくないから自信はないが、着物といい、帯といい、高そうな代物だが、嫌みにならずに纏められているあたりが流石だ。

「なるほどな。じゃ、行くとするか。足元気をつけろよ」
「はーい」

履き慣れてない草履だと歩きにくいだろうと、普段より心持ち歩く速度を遅くして、神社へと進む。
少し歩いたところで、信号が変わるのを待っていると、鹿島からの視線を感じた。

「? 何だよ?」
「いやー、今年も先輩は格好いいなーって」
「アホか、そういうのは惚れた欲目ってやつだろ」

ホントのことなのにーとぼやく鹿島はもう無視することにして、信号が変わったところで歩き始めた。

***

「やっぱり、人出多かったですねー。神社」
「三が日は仕方ねぇよな、やっぱり」

無事、初詣を済ませて一人暮らしの自宅の方に鹿島と一緒に戻った。
五日くらい実家に戻っていたから、部屋がちょっと寒々しい。
エアコンをつけて、コーヒー用の湯を沸かしながら、ソファに腰掛けた鹿島の右足を持ち上げる。

「で、足大丈夫かよ」
「えっ?」
「草履の鼻緒が擦れて痛かったんじゃねぇの? 少し歩き方ぎこちなくなってた」
「……気付いてたんですか。ちょっと擦れただけだから大丈夫ですよ」

やっぱり、慣れてないと草履で歩くのしんどいですね、とぼやく鹿島の足袋の留め具を外して、足袋を脱がせる。
本人が言ってたように、鼻緒が当たっていた部分は傷までには至らなかったが、皮がむけて赤くなってしまっている。
その赤くなった部分に口を寄せて、軽く舌先を使って舐めると、触れている鹿島の足がびくりと震えた。

「ちょっと先輩!」
「心配すんな、これ以上はしねぇよ。流石に、着物汚したらと思うと気が気じゃねぇしな」
「んー…………それなら、脱いじゃいましょうか」
「待て。おまえ、この後実家に帰るんだろ? 着物脱いで大丈夫なのかよ」

鹿島の着替え自体はここにも多少置いてあるが、それを着て帰ったら何かあったと言わんばかりだ。

「や、また帰る時に着ればいい話ですし。あ、着付けなら問題ないですよ。これ、ほとんど自分で着てますから」
「着付けも自分でやったのかよ! ……おまえ、ホント何でも出来るんだな」

勝手に親なり美容院なりで着せて貰ったものだろうと考えていただけに、軽く衝撃だった。

「へへー。コツ掴めば、意外に簡単でしたよ! これで、今度演劇で着物着るときにもバッチリです! 勿論、人の着物も着せられます!」
「凄ぇな。……ま、それならそれで、遠慮なく続けるわ」
「あ……んっ!」

爪先に一度キスした後は、足の指を一本口に含んでゆっくりと舐る。
親指から人差し指、それが終わったら中指と順番に。
同時に膨ら脛は手のひらで撫で上げるようにして触ると、上げる声に艶が混じり始める。

「も……っ、続ける前に先に脱がせて下さいってば」
「あー、悪い。このままだと脱ぐ前に汚れるよな」
「っ、誰のせいですか……もう」

一度足から離れて、鹿島の髪にキスを落とす。

「とりあえず、帯の解き方教えろ。この機会に覚えとくから」
「えっとですね……」

鹿島の教えてくれた手順通りに帯を解いて、着物の前を開き、昔は大変だったんだろうなぁなんて考えながら、慎重に脱がせた。
着物を汚す心配がなくなったところで、鹿島を抱いて、肌の隅々まで貪ったところで、そういやこれが姫初めってなるんだな、と気付く。
突き上げる度に上がる声が、どんどん昂ぶらせていくのを感じながら、鹿島の熱を感じて果てた。

***

「おい、鹿島。起きられるか? そろそろ帰らないとまずいんじゃねぇの?」
「ん……今何時ですか」
「夜の八時」
「え、うわ、着替えて帰ります!」

ベッドで夢うつつだった鹿島は、時間を確認すると跳ね起きる。
が、その瞬間腰を押さえて、軽く顔を顰めた。
そういや、さっき相当遠慮なく突いちまったなと、鹿島の腰を擦ってやる。
ただでさえ、慣れない着物を着ていた数時間を思えば、ちょっとキツい思いをさせたかも知れない。

「悪い。痛むか」
「……もう。先輩、新年早々張り切り過ぎです」
「おまえこそ。めちゃくちゃ濡らしといて何言ってるんだ」
「あ、あれは! 先輩がその、着物姿も興奮するな、なんて言ったりするから! ……っん」

文句を言いかけた唇は、自分の唇で塞いで静かにさせる。
露わになっている肩を触ると、鹿島の手がそれを止めた。

「……すみません、ホントに帰りたくなくなっちゃいますから。明日、また来ますので、どうかそこまでで」
「わかった。……鹿島」
「はい?」
「明日は脱がせやすい格好にしとけ。その方がおまえも疲れずに済むだろ」
「あー……もう」

今度は鹿島の方からキスしてくる。
名残惜しいのをどうにか抑え、鹿島の頭をぽんと軽く叩いた。

 

キャプションでも触れたように、着物とくれば足袋だろうと足に絡めた姫初めをと書いた話。
それにしても、よく姫初めで10本も書いたな、当時の私……w

 

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