2015/02/08の別冊ラブロマンス2発行の『X』頒布時のペーパー話です。
『X』(堀鹿初夜)の事後。
書いてる最中にこっちのネタをEpilogueにしても良かったのではと浮かびましたが、書き直す時間も無い段階に思いついたので、ペーパーに回しました。
多分、単独でも読めなくはないはず。
※二人が大学生で付き合っている前提での話になっております。
初出:2015/02/08
文字数:1214文字
「うわ……やっぱり痕残ってる」
先輩の家で初めてのセックスが終わって、シャワーを借りていたら、内股に幾つもの鬱血した小さな痕を見つけた。
キスマークになるんだよね、これ。
そりゃ、人が見るような場所じゃないけど、しばらくは目にするたびに思い出してしまいそうだなぁ。
さっき、この場所に先輩の唇が触れたかと思うと、思い出すだけで顔から火が出そう。
いや、唇が触れたのはここだけじゃない。
首筋にも、胸にも、足にも――そして。
「あ……あああああ」
さっきまでのあれらを思い出すと、穴があったら入りたいような気分だ。
まだ違和感の残る足の間も何となく熱くなる。
自分でだって、お風呂とかを除けばほとんど触ったことがなかったような場所。
先輩は其処に口付けるのに全く躊躇う様子もなかった。
あんな風に全身優しく触ってくれたり、キスしてくれたりなんて、予想外だったけど凄く嬉しくもあった。
私は色気とか全然ないけれど、それでも女の子として扱ってくれてるんだなぁって実感出来たし、先輩は――分かっていたつもりだったけど、やっぱりしっかり男の人で。
「……あんな表情初めて見たなぁ」
普段の表情や演技で見てきた表情とは全然違った。
きっと、それは私もだったんだろうけど……カッコいいというより、男性の色気というんだろうか。
あの余裕の無さがかえって、異性ってことを意識させられたし、それが私が原因だっていうのも考え始めると堪らないものがある。
カッコよくもあるけど、色気もあって、さらに可愛いところもあるとか、そんな人が私の彼氏とかホントにやけてしまう。
「おい、鹿島。随分長いこと入ってるけど大丈夫か?」
そんな風に色々考えていたら、浴室の外から先輩に声を掛けられて、つい身体がびくりと反応してしまった。
「え、あ、はい、大丈夫です!」
「なら、いいけどよ。……どっか調子悪かったり、痛くしてるんでないならいい」
微かに安堵したような響きが嬉しくて、つい笑いが零れてしまう。
「? 何だ?」
「んー、先輩が優しいなって、嬉しくて」
「……バカ言ってんじゃねぇよ」
「あ、照れてる。先輩可愛い」
浴室に遮られて、顔が見えない状態なのを良いことにそんなことを言ってみた。
しばしの沈黙の後、浴室の扉越しに溜め息が聞こえる。
「……あのな、鹿島」
「はい?」
「俺が襲いたくならねぇうちに出て来い」
「………………え、あの、その」
待って。今、先輩さらっと何を言ったの。
「多分、俺おまえが思っているより、自制きかなくなってるからな。それ以上言うんだったら、その内股のキスマーク増やされる覚悟で言え」
「…………っ!?」
つい、浴室の椅子から滑り落ちて、声も出せなくなっていると、先輩の笑い声と足音が遠くなっていった。
「逆にここ出られないじゃないですか……もう、先輩のバカ」
軽く煽ってみたつもりが、三倍以上に返されてしまった気がする。
先輩には敵わない、なんて思いながら、そっと指先で内股に残っているキスマークに触れた。
キスマーク話。
二回戦の無理はさせないまでも、先輩なら痕は増やしそうだな……と思いつつ書いてましたw
タグ:月刊少女野崎くん, 堀鹿, R-15, サイトのみ, 大学生設定, ペーパー, 500~3000文字, 鹿島視点, 2015年