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お返し? 仕返し?<月刊少女野崎くん・堀鹿>

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フォロワーさんのおたおめ用に書いた『甘ったるいの作り方』から一年後のホワイトデーネタ。
※読まなくても支障はないです。
pixivではShort Stories 03に収録してあります。

※二人が社会人で同棲している前提での話になっております。

初出:2015/03/05 

文字数:1632文字 

 

「美味いか?」
「美味しいですー。あ-、ケーキって食べるとホント幸せな気分になりますね!」

先輩と同棲を始めてから二回目のホワイトデー。
タイミング悪く、会社の日帰り出張が入ってしまって、帰宅したのは夜遅くになってしまったけど、先輩はケーキを用意して待っていてくれてた。
ソファに並んで座って、お茶の時間というにはかなり遅いけど、一刻も早く味わいたくて、部屋着に着替えもせずに食べ始める。
リンゴのケーキはほどよくシナモンも効いていて、絶妙な甘さで凄く美味しい。
さらに紅茶も先輩が淹れてくれたとなると、美味しさに加えて嬉しさで顔がにやけてしまう。
普段、お茶やコーヒーを淹れるのって、基本的に私がやってるから、先輩に淹れて貰うと、それだけで何だか贅沢な気分になれる。
あっという間に、ケーキを食べ終わってしまった。

「ごちそうさまでした! これ、どこのケーキですか?」

甘さ加減が好みだったから、今度自分でも他のケーキを試してみようと思って、何気なく聞いたのだけど、先輩の答えは予想外のものだった。

「売ってねぇよ。俺が作ったやつだから」
「………………え、えええ!?」
「何だよ、その驚き方」
「驚きますよ、そりゃ! だって、先輩がお菓子作るなんて思ってもみませんでしたもん!」

確かに何となく手作りっぽさは感じたから、てっきり個人がやっているケーキ屋さんとかそういうところで買ってきたものなのかと思っていた。
何しろ、先輩は料理する人ではあるんだけど、お菓子というのは作ったことがない人だ。
去年のバレンタインデーに、それまで先輩にあげていたチョコが手作りのものだって暴露したけど、それを作った時に先輩のお母さんがお菓子を作るタイプじゃなかったから、調理実習を除けばお菓子作りを見るのも初めてって言ってた。
けど、今食べ終わったケーキは形も綺麗だったし、焼き加減もちょうど良くて、何より凄く美味しかった。
そんなケーキを全然お菓子作りやらなかった人が、いきなり作れてしまうなんて驚くのが当たり前だと思う。

「野崎に教えて貰った。炊飯器使うと結構簡単にケーキが作れるし、お菓子はレシピに忠実に作れば、早々失敗もしないからって。レシピもあいつのオススメのを貰って作った」

時間もあんまりかからなかったしな、と言ってのける先輩に、器用な人っていうのは、こういうところでもしっかり発揮されるんだと感心してしまう。

「はー……先輩が器用なのは知ってたつもりですけど、凄いですね」
「あのな、簡単だったからどうにかなっただけだぞ。市販品のチョコに似せて手作りチョコを作ってきたおまえに凄いって言われるレベルじゃねぇよ」

先輩がちょっと困ったような顔をして、私から目を逸らした。
もしかして、照れてるのかな、これ。
……あー、もう、可愛いなぁ。先輩ってば。

「ふふふ、先輩、可愛い」
「うるせぇ、あんまりそれ言うと口塞ぐぞ……っ!?」

私の方からキスした瞬間の、先輩の驚いた顔と言ったら。
あっけに取られたままの先輩から唇を離しても、まだ驚いた顔が貼り付いていた。

「えへへ、こっちから口塞いじゃいました!」
「…………ったく、おまえは。煽ってる自覚くらいあるよな?」
「まぁ、流石にそれなりには……わっ!?」

私のジャケットの裾から、背中側に手を入れられたかと思うと、ブラウス越しにブラのホックを外された。
ちょっと待って。
何で、微塵の躊躇いもなくあっさり外せるの、ブラウス越しなのに!

「着替えるまで、待ってやれねぇわ、俺」
「ちょっ、先輩、シャワー浴び……あっ」

そして、ブラウスの中まで手が入ってきて、ブラのホックが外れたことで、容易に触れるようになった胸に、直接先輩の手が触れた。
つい、声を上げたら、今度は首筋に先輩の唇が触れる。

「煽ったおまえが悪い。後にしろ、後に」
「あー……もう」

仕方ないなぁと思いつつ、全く予想もしてなかったわけじゃない。
せめて、スーツを皺にはしないで下さいね、とだけ先輩の耳元で呟いてから、先輩の動きに身を委ねた。

 

フォロワーさんの誕生日が近かったので、ホワイトデーに絡めた話。
堀先輩器用だからこういうのいけるんじゃないかなーと。

 

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