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足フェチは続くよ、どこまでも<月刊少女野崎くん・堀鹿>

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未来捏造堀鹿夫婦+子どもたちによるシリーズもの。基本、健全路線。
幼稚園児の長男が堀先輩のDNAを受け継いで足フェチだったことが発覚する話。

堀先輩の弟にも便宜上名前つけちゃいましたが、公式で発表されたら、ひっそり名前を書き換えます。

創作キャラが混じることが苦手な方はご注意下さい。
当方の堀鹿夫妻には長男+年子で双子(男女)の子どもたちがいます。

初出:2014/10/24

文字数:6403文字 

 

自分の過去を思い返してみても、『足が好き』というのは昔からだった。

初恋は幼稚園。

足のラインがとにかく綺麗な、隣のクラスを受け持っていた先生だった。

少し、膝に古い傷跡が残っていたのは覚えているが、他は顔も名前も声も何一つ覚えちゃいない。

だが、あれ以来、つい異性となると、まず足を目で追ってしまう癖がついた。

なにはさておき、まずは足。

小学校で好きになった子も、中学校で気になっていた子も、やはり足のラインが綺麗だった事だけは覚えている。

 

そして、現在。

そんな俺が妻にした遊は、好みのどストライクを直撃した顔と足を持っている。

多少、頭のネジが抜けたところはあるものの、大抵のことは難なくこなせるスキル持ちという反則級の女だ。

味覚や金銭感覚、価値観等も自分と近く、話も合う。

世界の何処を探したって、これ以上自分の好みに合う女はいやしないだろうと思っている。

本人にそれを言うと調子に乗りそうだから、わざわざ言ったりはしないが。

だから、子どもが出来たのが分かった時。

当然のように、遊に隅々まで似てくれることを期待した。

自分の血を引いた子どもが、愛しい女に生き写しだったなら、どれほどの幸福だろうかと。

そんな中、生まれてきた最初の子はまさに期待通り。

遊そっくりの男の子で、これはリアル王子様街道を一直線だなと確信し、将来を楽しみにしていた。

いや、今もしてはいるんだが。

決して、過去形なわけではないものの。

 

……少々、予定と違ってしまったのは、最初の子――行弘が、俺と良く似た嗜好を持って生まれていた事だった。

 

***

 

夕食が終ってから、行弘の下に生まれた双子を風呂に入れて、子ども部屋で寝かしつけた後。

リビングに行ってみると、まだ、目が冴えているらしい行弘が、キッチンで後片付けをしている遊に纏わり付いていた。

遊の片足に腕を回し、抱きつくような形で、遊が動く度に一緒に動いている。

ありゃ、かなり動きにくそうだなと思っていると、遊が俺に気付いて、こっちに助けを求めるような視線を送ってきた。

 

「双子はもう寝た?」

「ああ。二人とも熟睡だ」

「じゃ、ゆきくんをちょっと見て貰ってもいい? ちょっと足下にいると危なくて」

 

キッチンをちらっと見ると、包丁や果物ナイフがカウンターの上に載ったままだった。

万が一、足下に行弘がいる状態で落としたら、と考えて手に取れず、片付けられないままでいたんだろう。

ソファの方に向かいながら、行弘に声を掛ける。

 

「行弘、お母さんはまだ片付けしてんだから、こっち来い。膝の上に乗っけてやるから」

「えー、お母さんの足好きなのにー」

 

『お母さんが好き』じゃなくて、お母さんの『足』が好きっていうのが、言葉に出てくるってあたり俺の子だな。

勿論、足だけでなく全部が好きなんだろうが、特に好きなパーツだから、つい強調される形で出ちまうんだろう。

子どもたちが生まれる前。

俺はよく遊の足を抱き枕のようにして、うたた寝したりしていたもんだが、今、行弘もそんな風に遊の足に抱きついて昼寝したりすることがある。

 

――こういう眠り方、政ちゃんと一緒だね。

 

俺から見てもそう思う。

双子たちは、絶対にそうやって眠らないのがまた不思議だ。

俺にも兄弟がいたから、生活環境だけが性格やら、行動やらを分けている訳じゃないとは理解していたが、実際に目の当たりにすると中々興味深い。

俺に見た目がよく似ているのは双子の上だが、『足が好き』という点では、行弘が一番俺に似ているかも知れない。

さらに言うなら、今日の遊の格好はキュロットに素足という状態だ。

触り心地の良い足に引っ付いていたくなるのも無理はない。

とはいえ、下手に怪我等をされても親としては心配だ。

 

「何だ、お父さんの足は嫌いか?」

「そうじゃないけどー」

 

少しばかり意地の悪い誘い方になってしまったが、不満そうにしながらも、行弘は言った通りに遊から離れて、ソファに座った俺のところに来て、そのまま膝の上によじ登った。

片腕で行弘を抱いて支えながら、頭を撫でてやる。

遊とよく似た髪質の感触に、つい頬が緩む。

頭の天辺から、足の爪先に至るまで、遊と瓜二つの行弘。

我が子ながら、相変わらずのイケメン顔だ。

 

「おまえなぁ、お母さんはお父さんのものだからな。あの足もいくら好きでもお父さんのだ。おまえはおまえで他に好きな子を作ってだな、その子の足を――」

「ちょっと。五歳児を相手に何言ってるのかなー、うちの夫は!」

「いやいや、こういうのこそ、今のうちに言っておくべきだろ」

「まだ幼稚園の子にそんな話しても分かるわけ――」

 

そんな風に夫婦でやりとりしていたところに、行弘が口を挟んできた。

 

「ちゃんといるもん。ぼく、好きな子くらい」

「何? いるのか?」

「えっ、何それ。お母さんにも聞かせて、その話!」

 

今の行弘の言葉に、思わず二人で反応してしまう。

そうか、こいつもそんな歳になったのか。

ついこの前まで、まだよちよち歩きだったと思ってたんだがなぁ。

いつの間にか、好きな子が出来ていたとは。

つくづく、子どもの成長ってのは早いもんだな。

遊もキッチンを片付ける手を一旦止めて、リビングに来ると俺の隣に腰掛けた。

 

「で? 好きな子ってどんな子? 同じクラスなの?」

「うん、みやちゃん!」

 

おー、一丁前に目を輝かせてる。

こんな顔すると、遊が満面の笑みを浮かべた時と本当にそっくりだ。

可愛いったらねぇな。

 

「どんな子か分かるか?」

「ううん、ちょっと普段仲良くしてるお母さんの子じゃないかも。

ね、ゆきくん。みやちゃんってどんな子なの?」

「えっとね、足がちっちゃくて可愛いの!」

「…………はい?」

「ほう」

 

ちっちゃくて可愛い足、と来たか。

 

「どういうところが好きになったんだ?」

「あのね、この前お砂場で遊んでてね。遊んだ後に砂だらけになった足洗ったけど、みやちゃんの足がお水できらきらしてて、すっごく可愛かったの!」

「へぇ」

「でね。足洗った後、そのままみやちゃんが、廊下を走っていったんだけど、みやちゃんの足跡残ってて、それも可愛かった!!」

 

目の付け所が中々マニアックだな、こいつ。

何となく、自分の幼い頃と被ることにニヤリとしている俺を余所に、遊は軽く固まっていた。

 

「えーっと……みやちゃんの足が好きなの? お顔は? どんなお顔した子なのかなぁ。髪型とかは?」

「お顔……んー、お顔はね、普通だよ! 髪型……は忘れた!」

「わす……」

「くっ……ははは!」

 

あー、こりゃ多分だけど。

みやちゃんとやらの顔はまともに覚えてねぇな。

足しか見てねぇ。

こんなとこまで、俺とそっくりだ。

多少違うのは、俺の場合は足の全体的なラインが好きだが、こいつは話から察するに、どうやら足首から先の方が好きらしい。

行弘、俺より足にこだわりあるんじゃねぇの、これ。

 

「じゃ、最近はみやちゃんとばっかり遊んでんのか?」

「うん。だってお砂場遊びすると絶対足洗うから。そしたら、可愛いとこいっぱい見れるでしょ?」

「そうだなぁ」

 

さらっと、そんなことを言う行弘がめちゃくちゃ愛おしい。

遊にまるっと似ていて欲しいと思っていたが、こんなところで自分に似ている部分を見つけるのも悪くない。

かつて、隣のクラスの先生をより見たいが為に、隣のクラスに友達を作った自分を思い出す。

遊が口を挟むに挟めず、何か言いたげに俺の方を見るが、あえて黙っておき、そのまま行弘との会話を進める。

 

「でもな、いくら可愛くて好きな足でも、簡単にべたべた触ったりとかしちゃダメだぞ。みやちゃんが触って良いって言うまで、絶対触るなよ。見てるだけにしとけ」

「うん!」

「ちょっ……一体、何言って……」

「変な意味じゃねぇぞ。幼稚園児なんだから。大して仲良くなってない段階の相手に、相手の了解もなく、勝手に触らないでおくのは当然だろ? …………今、何考えたんだ、おまえ?」

「う……」

 

遊が目元をほんのりと染めて、言葉に詰まった。

口元が笑いそうになるのを堪えて、行弘を両腕で抱きしめる。

遊と同じ顔してんのに、言うことは俺と大差ないとか、面白すぎんだろ、こいつ。

 

「変な意味?? なーに?」

「な、何でもない! 何でもないの、ゆきくん」

「? 変なお母さん」

 

きょとんと返す行弘に、益々笑ってしまいそうになる。

やべぇ、俺の妻子、可愛くてたまんねぇ。

そんな風に悦に入ってると、行弘がとんとんと俺の腕を叩いてきたので、腕の力を緩めた。

腿の上から小さな温もりが離れていく。

 

「ぼくもそろそろ眠くなったから、寝てくるね。おやすみなさーい」

「おう、おやすみ。双子たちはもう寝てるから静かにな」

「はーい」

「お、おやすみなさい」

 

夫婦二人で手を振って、子ども部屋に向かう行弘を見送る。

行弘がいなくなったところで、隣で遊が大きく溜め息を吐いた。

 

「何だよ、言いたいことがあるなら言え」

「……あのさ、政ちゃん。今更だけど、政ちゃんの初恋話、聞いても良い?」

「ん? あぁ、幼稚園の時。まさに、今の行弘と同じくらいだったな。相手は隣のクラスの先生。幼稚園の先生ってエプロンしてて、背中側って開いてるだろ?いつもショートパンツやキュロットを履いてた、その先生のすらっとした足がそりゃあ見事なラインで……」

「わかりました、もういいです」

 

全部は言い終わらないうちに遮られた。

そして、もう一度溜め息を吐かれる。

 

「いや、その。私に似てても嬉しいし、可愛いんだけど。ゆきくんが、私の足に抱きついて眠ったりする以外に、どっか政ちゃんに似てる場所ないかなーって希望もしてたけど。こんなところに色濃く共通点出てくるとは思わなかった」

「あー……まぁ、一度たりとも疑ったことなんかねぇけどよ。ありゃ、紛れもなく俺の息子だわ。DNAって凄ぇな」

「ですね。取り違えの可能性もなしの100%うちの子」

「おまえに瓜二つの顔で、それこそ取り違えなんかねぇだろ。大体、生まれた時だって、こんなに綺麗な顔の子は病院始まって以来って、医者や看護師に言われたぐらいだったんだし」

「社交辞令って言葉、知ってますか。先輩」

 

あ、『先輩』って言いやがった。

結婚後は『政ちゃん』という呼び方になっているが、余裕がなかったり、パニクっていたりすると、不意に昔の呼び方に戻る。

敬語混じりになるのもそうだ。

そうなるのは、主に夜、ベッドの中でってパターンが多いが、日中にこうして出るのは珍しい。

そこまで動揺されるのも、俺としては些か面白くない。

 

「何だよ、俺の足好きが遺伝したのがそんなに嫌かよ」

「嫌って言うのとは違うんですよ! そうじゃなくって!! ……何か、将来の行弘のお嫁さんに同情したくなっただけ。足ばっかり五時間とか、ひたすら責められたりしたら可哀想だなって」

 

かつて、付き合い始めて一年経ったか、どうかというくらいの頃。

好きに動いていいですよと遊に言われて、ひたすら足ばかりを集中的に責めた結果、本気でキレられたことがある。

未だに、何かの折に触れて持ち出されるあたり、相当根に持たれてるだなと耳が痛いが。

 

「……仕方ねぇだろ。自分の好きな女の足なんて、いくらでも触りたくなるもんだ」

 

言いながら、ソファに横になり、遊の腿に自分の頭を乗せた。

そして、手を伸ばして、遊の膨ら脛から膝の辺りまでを撫でる。

滑らかで、ほんの少しひんやりとした感触が掌に馴染んでいく。

やっぱり、たまんねぇなぁ、この足。

見た目も触り心地も最高だ。

家に帰って来て、玄関を開けたら子どもたちが駆け寄ってくる事や、子どもたちの寝顔を見るというのも癒やされる。

でも、やっぱり遊とこうして二人で過ごすのが、何より一番癒やされる瞬間だ。

遊もそれを分かっているから、拒まずにいてくれる。

そっと頭を撫でてくれる手も、さらに心地良さを増幅させる。

 

「こういう話してる時に、そういう事するのずるい。それ以上文句とか言えなくなっちゃうでしょう」

「俺がずるい男なのは、十分知ってんだろ、奥さん」

 

足を触っていない方の手を、遊の顔に伸ばして触る。

顎から頬。耳から髪。

指先にすっかり馴染んだ肌と髪の感覚が伝わる。

とっくの昔にこいつの身体で触れてない場所なんて、ただの一箇所だって残しちゃいない。

それでも、何度だって触れたくなる。

美人は三日で飽きる、なんて何処の誰が言った?

そんなの嘘っぱちだ。

最初に遊と会ってから、かれこれ十年以上は経ったが、この顔に飽きたと思ったことは一度たりともない。

勿論、顔だけじゃなく、足も、いや、他の何もかもだ。

こいつと一緒に日々過ごしていけるってだけで、俺の人生は結構楽しいものになっている。

 

「大体、母親が極上の足持ってて、父親が足好きなら、そりゃ足に興味いかねぇ方が逆におかしいだろ」

「そういうものかなぁ……双子まで足フェチだったらどうしよう。あれ? そういえばお義父さんも、もしかして足フェチだったりするの? あと、弟の政文くんとか」

「さあ? 親父からそういう話は聞いたことねぇけどな。あー……でも、お袋の若い時ってそこそこ足は綺麗だった……かも知んねぇ。身内だから、一般的に見てどうかとかは、あんまし自信ねぇけど。政文は絶対ない。ありゃ、筋金入りのおっぱい星人だから」

 

俺と違って、という言葉は敢えて口にしない。

胸があまりないのを、こいつは意外に気にしているからだ。

 

「…………あ、そう。でも、やっぱり遺伝の可能性って高いわけね……」

「ありゃ、きっと二十数年後くらいに『ちっちゃくて可愛い足』をした嫁さん連れてくんぞ。俺が『足のラインがとにかく綺麗な』女を嫁にしたみたいにな」

「三つ子の魂、百まで……みたいなアレ? うわぁ……」

 

笑わそうとして言ってみた言葉に対しても、まだ浮かない顔をしたままの遊に、こっちまで少し不安になってくる。

 

「あのな、遊。そこまで落ち込まれると、こっちもいい加減へこむぞ。一緒になったの、後悔でもし……」

「そんなわけないでしょう!」

 

慌てたように、速攻で否定された。

 

「ちょっと家族計画の予定狂ったとはいえ、三人の可愛い子どもたちにも恵まれたし、夫は足フェチだけど、誠実で家のことだって、よくやってくれてるし!」

「じゃあ、何がそんなに嫌なんだよ」

「自分と同じ顔したちっちゃな子が、足について蕩々と語るのが違和感あるの! でもって、政ちゃんとは会話が通じているのに、私からすると何が良いのか、全然分かんないのが悔しいの!!」

 

遊が床につけている足を、じたばたと鳴らしたのが聞こえ、振動で頭がちょっと揺れる。

子どもの地団駄か。

とどのつまり、俺たちの会話のツボが分からなくて拗ねていたらしい。

 

「何だ、結局はやきもちなのかよ、お母さんは」

「だって、足の事語られても、何がツボなのか良く分からないし、でも、でもね…………うー、あー、もう! このもやもや感を何処にぶつけたらいいのー!?」

「とりあえず、俺にぶつけとけ。そこは」

 

遊から一度手を離し、身体を起こして、拗ねた表情の遊にキスをする。

額、鼻筋、両頬、唇とそれぞれに軽く。

一通り済んだ後にはすっかり拗ねた表情は何処へやら、照れを含んだ笑みに変わっていた。

とりあえず、もやもや感とやらは解消したようだ。

 

「……もう。ここリビングなんですけど」

「知ってる。……続きは寝室に移動してからにしようぜ」

「私、まだお風呂入ってない」

「気にすんな。俺も似たようなもんだ。チビたち入れるのに必死で、自分まで手回ってねぇよ。後で一緒に入りゃいいだろ」

 

言い訳を封じて、ソファから立ち上がり、手を差し出すと遊も俺の手に掴まって立ち上がった。

 

「…………先輩はそういうとこ、ずるいですよね」

「知ってて一緒になってんじゃねぇのかよ」

「はいはい、そうでした。知ってますとも」

 

そうして、もう一度唇にキスをして。

二人で続きを楽しむために寝室へ向かったのだった。

 

 

 

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