お絵かき会でのテーマにより、乗り物をネタに書いた話になります。
堀先輩が自分の車を買ったときの堀鹿。
執筆時間およそ30分。
初出:2016/12/03 同人誌収録:2017/05/03(NATURAL。掲載分に多少の修正等あり)
文字数:860文字
「うわー! 先輩、ついに買ったんですね!」
「おう。しばらくはローン残ってるけどな」
陽の光を反射して輝くコバルトブルーの車体は、誰が見ても一目で新車だと分かる。
その車と共に並んでいる堀先輩がちょっと誇らしげに笑った。
先輩は大学に受かってからすぐに免許を取っていたけど、流石にまだ車を買うお金はないからと、時々お父さんの車を借りて運転していた。
私も何度か乗せてもらったことはあるけど、やっぱり気兼ねなく乗れる自分の車が欲しいということを時々口にしていたから、先輩がこうしてバイト代をコツコツ貯めた結果、ようやく自分の欲しい車を購入したのは、私としても自分のことのように嬉しい。
「というわけで、これからはちょっと遠いところや電車だと行きにくい場所にも行けるぞ。早速、乗ろうぜ。まずどこに行く?」
「電車だと行きにくい場所……あ!」
ふと、先日先輩と一緒に読んだ雑誌の特集を思い出した。
アレなんか、ちょうど車じゃないと行きにくい場所だった気がする。
「この前、雑誌で見たラブホとかどうですか? ほら、凄く広そうな天蓋ベッドだったけど、郊外にあるから車じゃないと行けないとか言ってたところあるじゃないですか」
あの時、先輩も行けなさそうなことを残念がってたから、きっとのってくれるんじゃないかと思ったんだけど。
「……おまえ、初運転で行こうとしている場所にラブホ持ってくるか、普通」
私が予想していた反応と違って、先輩はげんなりした表情でボヤいた。
「えー! 普段だったら、先輩だってノリノリで同意するじゃないですか。何で今回そんな嫌そうな顔してるんですか!?」
「おまえ、男の浪漫っていうか、男心わかってねぇよなー……」
王子様だって言われても、こういうとこはやっぱり女だよなぁと、褒めて貰っているのか、貶されているのか分からないことを言われた。
「えー……じゃあ止めときます?」
「今回は、な。次の機会には行くぞ。せっかくだからな。今日は海にでも行こうぜ。ほら、乗った乗った」
「はーい」
促すように、ぽんと頭を軽く叩かれ、新しい車に二人で乗り込んだ。
タグ:月刊少女野崎くん, 堀鹿, お絵かき会, サイトのみ, 同人誌収録済, 500~3000文字, 鹿島視点, 大学生設定
- Memo
- 自分の初めての車で行く最初の場所くらいは、ちょっとロマンチックな場所にしたかった堀先輩と、そこまでは考えてなかった鹿島くん。
多分、海に行ってちょっと遊んだ後は、先輩ももういいかで結局ラブホにはいく流れw