お絵かき会でのテーマにより、堀鹿でときめき……のはずがときめき……?な感じになったような。
お酒絡みのネタ。ちょっとだけ御子柴や野崎も出てます。
※二人が社会人で同棲している前提での話になっております。
執筆時間、およそ40分ほど。
初出:2017/02/04 同人誌収録:2017/05/03(NATURAL。掲載分に多少の修正等あり)
文字数:1070文字
「あー……」
「悪い。一応、あんまり飲まねぇように見てたつもりなんだけど」
「んー? おー、鹿島じゃねぇか。遅かったなー、おまえも飲んで行け」
今日、先輩は御子柴や野崎たちと飲み会を計画してて、私も誘われていたけど仕事の都合で合流出来てもかなり遅くなりそうだったから、最後の方に顔を出すくらいにしとくとは言ってあったんだけど、いざ飲み会終盤に乗り込んでみたら、すっかり酔っぱらった先輩がいた。
お酒に弱いんだから、飲む量にはくれぐれも気をつけて下さいって言ってあったのになぁ。
これじゃ、家まで連れて帰るのには手こずりそうだ。
「もう、先輩。何杯飲んだんですか。歩けますか?」
「んー、鹿島は可愛いなぁ」
「ちょっ、ちょっと!」
酔って抱きついてくるまではまだいい。そのくらいなら可愛いと笑い過ごせる範囲だ。
けど、がしがしと人の頭を撫でながら人前でほっぺにちゅーとか、いくら御子柴たちの前でも、いやこのメンバーの前だからこそ恥ずかしい。
普段の先輩だったら、絶対やらないようなことなのに。
視界の隅で顔を引きつらせた御子柴と、何やら真顔になってスマホで動画を撮りながら、もう一方の手でメモを取っている野崎の姿が確認出来た。
何に使うつもりか知らないけど、時々野崎はこんな風にメモしたり、撮影したりしている。
「んー? 飲む前から赤くなってるとか、鹿島は可愛いなぁ」
「先輩の方がよっぽど赤くなってますから! うー……複雑だなぁ」
高校時代にブランデーケーキを食べさせた時に、先輩がお酒にかなり弱いってのが分かって、手放しで褒めてくれたり、可愛いっていってくれたりするのは嬉しいことには違いないんだけど、肝心の先輩はというと酔いが覚めるとその時のことを一切覚えていない。
最初のうちは先輩がこんな風に酔っ払うのにときめいたりしてたんだけどなぁ。
いや、今も全くときめかないわけじゃない。ただし、こうなるのが人前でなければの話だ。
先輩と付き合ってなかった高校時代ならともかく、付き合って数年、既にアレコレ経験がある状態でこんな風に箍が外れると性質が悪い。
「何が複雑なんだ? 可愛いって言ってるだけじゃねぇか」
「だけじゃないでしょう、先輩。ごめん、御子柴。うちのマンションの前まででいいから、先輩を連れて帰るの手伝ってくれないかな」
「へいへいっと。言っとくけど、人前でほ、ほっぺにちゅー以上のことしたら、問答無用で置いていくからな!」
「それ、先輩に言って……」
御子柴まで赤くなったのを確認しながら、二人で溜息を吐いたのをよそに、相変わらず上機嫌の先輩は笑いながら私に絡むのだった。
タグ:月刊少女野崎くん, 堀鹿, お絵かき会, サイトのみ, 同人誌収録済, 500~3000文字, 鹿島視点, 社会人同棲設定