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テーマ【仲直り】

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堀鹿合宿で各自がお題を出したのをシャッフルして、引いた内容にそって30分で書くという流れで書いた話です。
ほんのり、結婚済みののざちよ要素有り。
堀鹿、深刻な喧嘩はしないけど、何で!?ってくらいアホみたいな理由での喧嘩はあると思うw

初出:2018/04/30

文字数:1185文字

 

先輩と喧嘩して、家を飛び出してから早二時間。
ようやくちょっと頭が冷えてきた。
今日、先輩と喧嘩した理由って何だっけ?
ああ、そうだ。
入浴剤のメーカーはどこがいいとか、液体タイプか粉末タイプかとか、そんな今思えばとても馬鹿馬鹿しい理由だった。
先輩とは一ヶ月前から一緒に住み始めたけど、日常の細々としたことで意外に意見が合わないことが出て来た。
元々は一緒に住まないまでもお互いに一人暮らしをしていた家に、そこそこ頻繁に行き来はしてたし、泊まったことも数知れずってくらいで、その時はそんなに細かいことで衝突することもなかったから、結構、気は合う方だと思っていたんだけどなぁ。
もしかして、先輩に無理させたりしていたんだろうか。
先輩、嫌なことは嫌っていうタイプだと思うけど、それ以上に人を纏めて物事が上手くいくように取り計らう傾向があったりするから、一緒に住んでなかった頃には、私が気付かないうちに色々飲み込んでしまっていたのかも知れない。
そうだと仮定したら、先輩が怒ったのはどっちかというと遠慮がなくなったってことで、歓迎すべき流れなんじゃないのかな。

――二人で生活するって色々摺り合わせていくことあるんだよねぇ。

そう言っていたのは、短大を卒業して直ぐに野崎と結婚し、早くも人妻の身となった千代ちゃんだ。
それはそれは幸せそうに日々過ごしているのだけれど、あれだけ、野崎一筋で他の男性なんて見えてなかった千代ちゃんでさえそういうことを口にするくらいだから、それまで別の生活習慣で過ごしていた二人が一緒に住むっていうことは、色々衝突があって当たり前なのかもしれない。
よし、だったら摺り合わせる為に帰って先輩と話をしよう。
今までは一人で生活していたけど、やっぱり二人で生活する以上、自分の意見を押し通すだけでもダメだし、かと言って、自分を押し殺してしまうのもダメだ。
何となく、家への帰り道で先輩の好きなメーカーのラーメンと具材を買っていったら、家の玄関前でばったりとやはり外出していたらしい先輩と出くわした。
先輩も買い物袋を手にしていて、袋からはちらりとコンビニの新商品として出たばかりのスイーツが覗いていた。
先輩は特に甘党じゃないし、自分で食べるために買うことはあまりしない。
ということは、これは。

「あ」
「……あー…………ま、家に入ろうぜ。玄関先でアレコレいうのもみっともねぇし」
「…………ですね」

気付けば先輩の視線も私が持っていた買い物袋に注がれていた。
私が買って来た中身に気付いたらしく、先輩の目元がふっと緩む。

「……とりあえず、飯にするか。俺とおまえが買って来たもので。話はその後だ」
「はいっ!」

家を出たときの気まずさはもうその時点で消え失せている。
玄関の扉が閉まると同時に先輩は悪かったと小さく呟き、私もまた、さっきはすみませんでしたと扉が閉まる音に紛れるように口にしたのだった。

 

 

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