文教堂特典のヒミツのカシマから派生したパロディ。
優秀な殺し屋ホリとその養女になったこれまた優秀な殺し屋カシマという設定になります。
ごく軽くですが、グロ要素入るのでご注意。
初出:2015/02/23
文字数:1118文字
あいつを拾った日のことは、ハッキリ覚えている。
小雨が降り始めていて、下手に痕跡が残ってしまう前に早く仕事を済ませようと、ターゲットの勤めている児童養護施設に辿り着いたら、既に全ては終わった後だった。
こっちが依頼されていたターゲットは副園長一人だったが、目に付く人間全てが物言わぬ屍と成り果てている。
場に立ちこめる、血の臭いに噎せ返りそうになりながら、一応ターゲットの姿を探す。
案の定、ターゲットも例外ではなく、脳天ぶち抜かれてとっくにこの世の住人ではなくなっていた。
ターゲット含め、数人の状態を見たところでは、これをやったのは恐らく同業者。
ターゲットの仕留め方に心当たりがある。
思わず、今回の依頼人に対して、眉を顰めたくなった。
「……ブッキングか。この世界の仁義知らねぇのかよ」
無駄足になったのは残念だが、そうと分かったら長居は無用だ。
立ち去ろうとしたところで、何かが動いた物音がした。
思わず反射的に銃を構えたら、部屋の隅にあった大人の遺体の下から、幼い子どもが這い出てきた。
血塗れではあるが、返り血だけで本人は怪我をしていないのか、動きに違和感はない。
「……先生? ねぇ、起きて? どうしたの?」
子どもの年齢はよく分からないが、五、六歳くらいだろうか。
状況を理解出来ないらしい子どもは、遺体の服を引っ張って話し掛ける。
見てきた感じでは、子どもたちも大体ダメだった。
もしかしたら、こいつが唯一の生き残りかも知れない。
いっそ、今仕留めてやった方が幸せなんじゃないだろうかと思ったが、依頼された仕事じゃないし、どうにも気が向かない。
再び、銃を懐にしまい子どもに近寄る。
どうやら、足音で初めてその場に俺がいることを認識したらしく、首を傾げながら俺を見上げて来た。
「先生はもう起きねぇよ」
「……おじさん、誰?」
おじさんと呼ばれる程の歳じゃねぇが、こんな小っちゃいガキからしたら、まぁおじさんでも仕方ねぇか。
つい、苦笑いしたら、それを自分に笑いかけたと解釈したのか、一気に笑顔になった。
……こいつ、顔立ち整ってるな。
育ててみたら、色でたらし込むっていう手段使えるようなタマになるんじゃねぇかな。
それは直感だった。
腰を下ろして、ガキに目線を合わせ、頭を撫でてみる。
「先生のお友達だ。……おまえ、俺のとこ来るか?」
「行く!」
ガキの方も何か思うところがあったのか、返答には全く迷いがなかった。
子どもなんて抱き上げたことがなかったからか、そいつを抱き上げると妙に軽いなって印象だった。
「……おまえ、名前なんていうんだ?」
「カシマ!」
それが後にコードネーム『プリンス』と呼ばれるようになる、俺の養い子にして、優秀な仕事のパートナー、カシマとの出会いだった。
『Cool&Hot』のプロトタイプ。
チャイニーズマフィアみたいなのだと、よくありそうかなと、あえて殺し屋にしてみた。
で、連れ帰ってお風呂にカシマを入れた時点で、早々に女の子だって分かるけど、下手に女の子だと分かったら、マワサれかねないなと女の子だっていうのは分からないように育て上げ、優秀な殺し屋に仕立て上げて自慢に思うも、時折、自分が拾わなきゃ、殺し屋以外の道もあったんじゃないかと苦悩するホリと、ホリの傍で生きること以外は全く考えられないカシマ。
最終的には、師匠と弟子及び養父と養女の関係だったのが、仕事上でのパートナー、私生活でもパートナーとしてやっていく……てのを書きたかった。
義理親子好きの趣味がモロに出たw
タグ:月刊少女野崎くん, 堀鹿, ホリカシ, サイトのみ, パロディ設定, プロトタイプ, 500~3000文字, ホリ視点, 2015年