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偶然、3回続けば必然&LIKEかLOVEかどっち?<月刊少女野崎くん・堀鹿←御子柴>

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60号ネタでの堀鹿←御子柴。
2015/06/26のワンライで書いた話です。
迷った挙げ句に二つのお題混合させました。

初出:2015/06/26

文字数:1662文字

 

鹿島がごく一時期、演劇の台本で描写されていた片想いの切なさを知る為に、堀先輩を避けて、話さないようにするという手段を取っていたのは知っていた。
本人からも聞いていたし、何より、俺と一緒に歩いている時にも鹿島は露骨に堀先輩の声掛けをスルーして、堀先輩の視線から身を隠すように、しゃがみこんだのだから。
その瞬間の堀先輩の呆然とした顔は、ちょっと忘れられない。
あの人でもそんな顔するんだ、鹿島の事なら動揺するんだなって実感した。
俺にまでインスタントメッセージ使って聞いてきたしな、先輩。

――おまえ、鹿島から何か聞いてねぇか?

と。鹿島から理由は口止めされていたから、勿論言わなかったが。
結局、劇の練習で堀先輩と話さなきゃならなくなったから、その手段は早々にストップすることになったけど、その日の夜に電話で俺にそれを告げた鹿島からはほっとした様子が伝わってたし、翌日、学校で見かけた堀先輩もいつもの表情に戻っていた。
それまでにも鹿島と先輩の仲はいいっていう様子は十分伝わっていたとはいえ、清々しいくらいに色気はなかったから、いつも通りに戻って何よりだ、くらいにしか思ってなかった。
これは今までと少し違うかも知れないと思うようになったのは、その後だ。

「そういえばさー。最近、堀先輩と毎朝駅で会うんだよねー!」
「へー」

何でも無いように返事をしたが、内心驚いた。
鹿島は単純に毎朝一緒に登校できるのが嬉しいって感じだったが、これ、ゲームとかだと明らかにフラグじゃねぇのって思ってた。
最初の一、二回なら偶然だとしても、毎日なんてなったら明らかに故意の行動だ。
少なくとも堀先輩の方は、鹿島に電車の時間を合わせている。
何というか、鹿島を傍から離すまいとしている先輩の意図を感じたのだ。
それが、いわゆるライクの範囲でなのか、ラブの範囲でなのかは分からなかったが、鹿島の『特別』でありたいって意思表示のような気がした。
そのせいだろう。
先輩が大学に入学し、鹿島も一緒に演劇をやりたいからと先輩と同じ大学を選んで。
鹿島が進学した数ヶ月後、付き合うことになったと鹿島から聞いた直後、堀先輩が俺に尋ねてきたのだ。

――おまえは、本当にいいんだな?

恐らく、先輩は気にしていたんだろう。
親友という形で鹿島と付き合いのある俺が、あいつに対して抱いている感情がライクなのか、ラブなのか。
けど、その時点の俺の中では鹿島はあくまでも『親友』の枠を出なかった。
いや、自分で出ないものだと思い込んでいた。
鹿島との関係は気楽で心地良いものだったから、変化させたくなかったのだ。
寧ろ、変わってしまうことが怖かったと言っていいだろう。
それに先輩との関係もだ。
鹿島と先輩が付き合うことになっても、俺は二人との関わりを今までと同じ距離で保ちたかった。
だから――微かな違和感には気付かないふりをして、先輩にはこう答えたのだ。

――いいに決まってるじゃないっすか。本当にって何すか。

先輩は、少しの間俺をじっと探るように見ていたけど、やがて、ふ、と破顔した。

――悪ぃ。俺の考えすぎだったか。
――俺にとっては鹿島はあくまで親友っすよ。……寧ろ、付き合うってことは、先輩が鹿島でちゃんと勃つんだなってそういう驚きはありますけど。
――言ってくれるじゃねぇか。……あれはあれで、中々くるもんあるぞ。『王子様』の一面を知っているだけに、な。

それを聞いた時に、絶対に知られないようにしようと思った。
……俺だって、知っている。
堀先輩を避けて、話さないようにしていた時の鹿島は、自分でも気付かなかっただろうくらいに、それを実行することが堪えていたことは。

――御子柴ぁ……。先輩と話したいよう。

まるでおあずけをくらった犬みたいなしょんぼりっぷりなんて、この人には話してやらない。
表には出すつもりはないし、今後も俺はあくまでも鹿島の『親友』だけど、『彼氏』の堀先輩からは見えない鹿島を見ていることに優越感を抱いていることは、永遠の秘密だ。
俺にとっても本当はライクではなく、ラブだってことは、な。

 

久々に読み返して、堀みこのやりとり部分に萌えたのでホントダメw
でも、他の話でもネタで出してる御子柴がよく鹿島で勃ちますね、的な発言は気に入ってたりする。

 

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