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気まぐれとキス<月刊少女野崎くん・堀みこ・R-15>

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旧突発堀みこ2。堀みこハマった直後に書いた話の一つ。

pixivではShort Stories 02に収録してあります。

初出:2014/11/30 

文字数:1716文字 

 

こんなことは珍しい。

いつもみたいに、堀先輩の自宅に呼ばれて、来る早々にセックスするもんだと思っていたら、今日はいきなり映画のDVDを観ることから始まった。

 

――これ、鹿島に似た役者出てくるんだよな。ちょっと横顔とか本人かと思うくらいだぞ。

 

そう言って観始めた映画は、確かに鹿島に似た役者が出ていた。

演技は特別上手いわけでもないが、鹿島が数年歳食ったら、こんな感じの女になるんじゃねぇのと予想出来るような役者だ。

それはそれで興味深かったし、話としても単純に面白い映画だが、問題は先輩の意図が読めないことだ。

単純に映画を楽しむだけだとは、どうも思えない。

普段、ほぼこの部屋に来るとセックスすることから始まるし、終わったら終わったでさっさと帰ることも多いしで、こういうパターンは初めてだから、どうにも居心地が悪い。

セックスどころか、指一本触れてこないってどういうことだよ。

いや、別にセックスしなきゃしないで構わねぇけど。

あのやたらに腰がだるい状態にならねぇで済むし、中に出された精液の処理をどうしたもんかとか悩まずに済むし、家に帰るときに誰かに鉢合わせたり、親に何か勘ぐられたりしねぇかとか思わずにも済むし。

……何だけど、これはどういう意図があるんだよ。

先輩は何も言わずに黙って映画を観てる。

隣に俺が居ることなんて、忘れているかのようだ。

逆にいつもと違いすぎて落ち着かねぇ。

ひっそり、堀先輩の様子を窺おうと思ったら、うっかり先輩と目が合った。

 

「何だ?」

「あ、いや、何でもないっす」

 

視線を逸らして、再びモニターに向き直る。

映画はもう終盤に差し掛かっていた。

 

「さて、次はこっち観るか」

「え!?」

 

先輩が手に持っていたのは、また他の映画のDVDだった。

ホントに今日は何もしないで、映画だけ観て終わるのか?

先輩が一瞬だけニヤリと笑った気がしたが、それ以上は何も言わずに観ていた映画が終わると、プレイヤーのDVDを入れ替えた。

そして、モニターに映し出されたのは……いきなり濃厚なキスシーンだった。

普段だったら、適当に流せるが、モニターに流れるディープキスの様子に色々思い出してしまって落ち着かなくなった。

……堀先輩、上手いんだよな、キス。

つい、唇を触ってしまったところで、手首を先輩に掴まれた。

ぎょっとして、先輩の方を振り向くと、口元だけが笑っていて、目は全く笑っていなかった。

 

「……御子柴」

「はい?」

「おまえ、どうされたい?」

「は!?」

 

思わず出した声は裏返っていた。

 

「ど、どうって……」

「いや、何か勃ってるから、おまえ」

「っ!」

 

やべぇ。

今のキスシーンで反応してたか。

慌てて、足を交差させて隠そうとするも、先輩が俺の手首を掴んでいるのとは逆の手で、思いっきり膝を開かせる。

そして、足の間に先輩の膝が滑り込んできて、膝頭でぐ、と中心部分を押される。

その刺激で、さらに固くなってしまったのが分かって、顔が熱くなった。

 

「ちょっ……先輩!」

「なぁ、いつもと違う過ごし方がそんなに落ち着かなかったか?」

「っ!」

 

やっぱり、わざとかよ!

逃げ出したくなったが、手首と膝に置かれている手には、かなりの力が入っていてふりほどけない。

何で、この人こんな力あるんだよ。

いや、それよりもこの押しつけられてる膝だ。

少し動いただけでも、妙に反応してしまう。

 

「言えよ、御子柴。俺にどうされたい?」

 

さらに顔まであと数センチでキス出来るところまで迫ってきた。

ごくりと、自分の喉が鳴ってしまったあたりがもうダメだ。

 

「御子柴」

 

俺が黙っていたら、先輩は多分このままだろう。

……結局、俺が折れた。

抵抗を諦めて、身体の力を抜くと、さらに唇が触れそうなところまで近づいた。

 

「………………キス、して貰ってもいいっすか」

「キスだけでいいのか?」

「その先も……頼みます」

 

目も逸らそうにも逸らせないぐらいの至近距離にある顔がふっと破顔する。

 

「……可愛い反応すんなぁ、おまえ」

「……う」

 

重ねられた唇に、余計俺のモノが熱くなる。

口の中に入り込んできて、あちこち探り始めた舌が気持ち良い。

やっぱりキス上手ぇよなぁ、先輩なんて思いながら、内股を探られ始めた手の感覚に身を委ねた。

 

 

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