付き合ってるとも、付き合ってないとも言いがたい曖昧な関係。
Gray Zoneの続きになりますが、単品でも読めると思います。
洗うために持ち帰ったネクタイ使ってオナニーする御子柴と、その一方、ゲスい妄想でオナニーする堀先輩の話。
初出:2014/12/09
文字数:4856文字 裏話知りたい場合はこちら。
[御子柴Side]
堀先輩のネクタイを、洗って返す為に自宅に持ち帰った。
帰宅途中にスマホから洗濯機でネクタイを洗う方法を見つけたから、それでやってみることにする。
家の洗濯機に入れようとしたところで、ふと改めて、これって先輩のネクタイなんだよなぁとしみじみ思う。
口に銜えていたのは、主にネクタイの下側の広い部分だ。
そっちは随分とシワが入っていたり、まだ俺が銜えたときに濡れて変色している部分が残っていたりするけども、首の方に回している細い部分はほとんど銜えてなかったから、シワこそ入っているけど、濡れてはいない。
鼻先に近づけてみると、さっき学校で銜えてた時にも思ったけど、先輩の匂いがほんのりとする。
そういや、ネクタイって頻繁に洗ったりするものじゃないよな。
……これ、洗う前にちょっと使ってもわかんねぇよな。
つい、思いついてしまったことにほんの少しだけ罪悪感を抱きながらも、実行してから洗うかと、踵を返して自室に戻った。
実行するなら、両親がまだ戻っていない今のうちに限る。
***
自室に戻って、念の為に部屋の鍵を掛ける。
一応、両親はどちらもあと二時間は帰ってこないはずだけど、万が一を考えると流石に部屋の鍵を開けっ放しにする勇気はなかった。
ベッドに横になって、枕元に先輩のネクタイを置く。
細くなっている方を自分の方に向けるようにすると、さっきも感じた先輩の匂いがした。
そういや、この部屋でも何度か先輩とセックスしてるんだよな。
それこそ、このベッドの上で――。
普段は、夜ベッドで寝ていても、そこまで意識しないはずなんだが、ここに先輩のネクタイがあって、微かに先輩の匂いがしたりなんかするからか、妙に意識する。
――おまえ、キスしたときの反応可愛いよなぁ。
意外にセックスの最中に、言われている言葉を思い出す。
『可愛い』なんて男に使う言葉じゃねぇだろ、なんて少し不満もあったけど、堀先輩に言われるのは悪くない、と最近思う。
あの人、演劇部だからなのか、言葉や声の効果的な使いどころを知っているんじゃねぇのかなって気がする。
意図的なものだろうけど、そうと気付いていても翻弄されてしまう自分がいる。
鹿島なんかはよく、私が先輩にとって一番可愛い後輩になりたい! 可愛い後輩だと言って下さい!と、日頃堀先輩に言っているけど、俺は結構言われているなんて知ったら、何て言うだろうか。
「ん……」
制服のズボンのベルトを外し、ファスナーを下ろして、熱を帯び始めたモノを取り出す。
――御子柴のって、勃つと結構いい形してるよな。
普段は仮性だけどな、と余計な一言も加えながら言われたことがある。
いい形ってなんだよ!? 比較対象とか基準とかあんのかよ!とは思うが、先輩に触られること自体は嫌じゃない。
同性ゆえのツボを押さえた触り方をしてくれるし、自分の手で触るのとはまた全然違う気持ち良さがある。
あの触り方を辿ろうとしても、ちょっと何かが違うんだよな。
頭の中で堀先輩の骨張った手の感触を再現させてみる。
「ふ……」
付け根の方から、先っぽに向けてゆっくりと擦り上げる。
少し前に学校で出したけど、また興奮してきた。
いや、最初からそのつもりでこうしてる。
あれから数時間も経ってないのにこれかよ、と自嘲するも手は止まらない。
目の前のネクタイに視線を投げながら、匂いをかぐ。
ふわっと纏わり付いたような匂いに、先輩の気配を感じた気がした。
――御子柴。
「く……あ」
頭の中で、あの低い囁き声が響く。
おのずと自分で動かす手が早くなった。
――ここ、おまえ弱いよな。
そうやって、よく先っぽを握るんだよな、あの人。
今日もそういえば、握られていた。
今日の場合は服を汚さないようにだけど、服を着ていないときにもよく握ってくる。
すっかり俺の弱い場所を覚えられている。
いや、ここだけじゃない。
中の方もだ。
――男だって、前立腺で感じたりするんだぜ。おまえ、ここら辺くるんだろ?
「ん、あ、せん、ぱ……っ」
少し前に攻め立てられていた中が微かに疼く。
中を擦られて得られる快感なんて、先輩とセックスするまでは想像もしていなかった。
射精感が抑制出来ないところまで来ていて、歯を食いしばる。
最近、オナニーするとなるといつもこうだ。
先輩を思い出しながらになっている。
あの人はどうだか知らないけど。
それとも、先輩でも少しは俺のことを考えたりしながら、オナニーしたりするんだろうか。
片手でネクタイを引き寄せて、より強く先輩の匂いをかいで――。
「……っあ、くあっ!!」
出した。
手に纏わり付いた精液の温度が下がり始めると、いつものむなしさが訪れる。
いわゆる、賢者タイム。
冷静になると、先輩のネクタイ掴んでオナニーしてる自分に自己嫌悪だ。
「くそ……」
こういうのを知ったら、先輩は一体どう思うんだろうか。
***
翌朝。
オナニーに使ったネクタイをちゃんと洗って乾燥させて、学校に持っていった。
先輩は慌てなくてもいいって言ってたけど、持っていたら持っていたで、また別のことに使いそうだし、さっさと返すことにした。
そして、ちょうど校内に入ったところで堀先輩本人と出くわした。
「はよっす」
「おう」
「あの、これお返しします。すみませんでした」
「ああ、慌てなくても良かったのに」
剥き出しのネクタイを受け取った先輩は妙にニヤニヤしている。
何か嫌な予感に、さっさと自分の教室行っておくかと立ち去ろうとしたら、堀先輩が俺の腕を掴んで、俺の頭を引き寄せ、他人には聞こえないように俺の耳元で囁きやがった。
「……洗濯する前にこれ使ったりしたのか?」
「…………っ!!」
思わず、先輩から飛び退いたが、勝手に顔が熱くなるのは止められなかった。
「おい、何に使った、とまではまだ聞いてねぇぞ」
「な、何、何にって、な、な」
「…………おまえ、ホントわかりやすいな」
先輩はもう一度俺に近寄ってきて、耳元で御子柴は可愛いな、とだけ囁いてさっさといなくなった。
ああ、くそ、何でもない時にまで可愛いなんて言っていくんじゃねぇよ。
思わず前屈みになりそうだ。
とっとと収まれよ。
ひっそり、先輩を恨みつつ、中心の熱が落ち着くのを待つしかなかった。
[堀Side]
自宅に帰って、いつもの習慣で制服のネクタイを外そうとして、今日は身に付けて帰って来なかったのを思い出した。
俺のネクタイは、御子柴が汚したので洗濯の為にあいつに預けた形だ。
さて、普通に洗濯だけして終わるだろうかなんて、多少意地の悪い想像をする。
前に、自宅で人が居ないときに御子柴とセックスした際、あいつがちょっと終わった後にうとうとして、半分寝ぼけたような感じで呟いたことがある。
――先輩、良い匂いします、ね。
そりゃ、おまえだろうと思ったが、もしかしたら嗅覚からの刺激に弱いかも知れないという印象を持った。
だから、御子柴の口を塞がせるのには、ネクタイを使ってみたのだ。
ハンカチみたいに、日常でよく洗濯しているようなものよりも、俺の匂いが残っているし、何より基本的に学校行くときには身に付けていて、嫌でも目に入るアイテムだ。
一度、あんな風に使ったら、御子柴ならネクタイを目にする度に意識してしまうだろう。
それを思うと結構気分がいい。
***
セックスを覚えた後のオナニーは、セックスを知らなかった頃とはまた違う。
中に突っ込んだときの感覚を思い出したり、相手に性器を触られたりしたのを思い出したりすると、結構くるものがある。
あとはセックスの時の相手の表情を思い出すってのもありだな。
御子柴はマミコのモデルだけあって、妙に泣き顔やら、照れ顔がハマる。
家族が寝静まったであろう深夜。
ひっそりとベッドの中で御子柴の表情を思い出しながら、もしあいつが他の奴に無理矢理ヤられたりとかしたら、それこそ泣き喚くんだろうな、なんて想像してみる。
――うあ、やめ……やめろ……っ!
妄想の中でどこかで見たようなレイプもののAVと、御子柴が重なった。
あいつ、あんま筋肉ねぇし、力もないからな。
俺だって、あいつに腕相撲は負けないぐらいだ。
ちょっと屈強な相手だったりした日には、絶対太刀打ち出来ねぇだろう。
組み伏せられた御子柴の絶望する表情はさぞ見物だろうなと思いながら、自分の固くなり始めたモノを扱く。
そういえば、一番初めにセックスした時にも、あいつは結構うるさかった。
最初は男が泣き喚くとかうぜぇと思ったけど、最近は可愛いじゃねぇかなんて心境になりつつある。
あの擦れた声や、潤んだ目が妙に興奮を煽る。
結局、イケメンってのはどんな表情や声でも様になるんだよな。
――せ、んぱ……助け……っ!
無理矢理服を脱がされて――いや、いっそはさみで切り刻まれたりするのもありか?
刃が自分に当たって傷つけるかもっていう恐怖と、犯されるっていう恐怖が重なって、ぐちゃぐちゃになってしまえばいい。
さらに犯すのが複数の相手だったりしたら、それこそ前後不覚になる勢いだろうな。
――嫌だ……やっ……先輩……せん、ぱっ……!
脳内であいつが呼ぶのは俺だ。
他の誰でもなく、俺だけに助けを求める。
絶望から拾い上げてくれと、手を伸ばして懇願するのを思い浮かべる。
「ん……っ」
扱くスピードを徐々に上げていく。
先走りが手を濡らし始めたのに、御子柴にこれを初めて舐めさせた時の反応を思い出す。
あの時は、おそるおそるといった感じで口に含んだけど、無理矢理口に突っ込まれたらボロボロ泣くかな、あいつ。
喉奥の深いとこまで突っ込まれて、出された精液に咽せて、咳き込んで、声にならない声を上げる。
そんな泣き顔も見てみたい、なんて言ったら御子柴は顔引き攣らせそうだ。
「く……ん!」
そろそろ、終わりが見え始めて、枕元のティッシュを数枚引きだし、先っぽを包む。
ティッシュのがさついた感触は意識の外に追いやって、御子柴の中の熱さと、あいつがイッた時の声を想像しながらイッた。
快感が引いて、ティッシュで拭き、ゴミ箱に投げ捨てる。
我ながら酷い想像だと思ったが、結構興奮した。
これを知ったら、あいつ俺を軽蔑するかな。
あえて言うことも、当面する気はないけども。
***
翌朝、学校について教室に移動しようとしたところで、ちょうど御子柴とばったり会った。
「はよっす」
「おう」
「あの、これお返しします。すみませんでした」
「ああ、慌てなくても良かったのに」
綺麗に洗濯された剥き出しのネクタイを御子柴が渡してきた。
俺に渡すときにほんの少し俺から目を逸らしたことで、ああ、これは使ったか、とつい口元が緩んでしまった。
御子柴が軽く挙動不審になりながら立ち去ろうとしたところを、つい腕を掴んで引き留める。
表情に動揺が走ったのを確認しながら、御子柴の頭を引き寄せて、そっと耳元で囁きを落とす。
「……洗濯する前にこれ使ったりしたのか?」
「…………っ!!」
即座に俺から離れた御子柴の顔が早くも真っ赤だ。
ホント、こいつマミコみたいなオーバーリアクションでの照れ方するよなぁ。
いや、こいつの照れ方がマミコに反映されているんだった。
分かりやす過ぎるったらねぇな。
御子柴って嘘が得意じゃないタイプだよな。
――俺とは違って。
「おい、何に使った、とまではまだ聞いてねぇぞ」
「な、何、何にって、な、な」
「…………おまえ、ホントわかりやすいな」
朝っぱらから押し倒したくなる反応だ。
とはいえ、流石にそれは出来ないから、代わりにもう一度御子柴の耳元で囁いた。
「御子柴は可愛いな」
声にならない唸り声が背後から聞こえたが、後ろ髪を引かれつつもその場を離れる。
これ以上は、こっちとしても手を出したくなるから自制しねぇと。
……俺も狡いよな。
自分も御子柴を想像しながら、昨夜ちゃっかり抜いた癖に。
受け取ったネクタイを締めながら、今日は部活だから、明日、御子柴を自宅に誘うかと予定を立てる。
一日焦らすことでどうなるかを楽しみにしながら、自分の教室に向かった。
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