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恥ずかしい、でも、好き<月刊少女野崎くん・堀みこ・R-18>

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若い時に付き合っていて、堀先輩の結婚を機に別れたけど、十数年ぶりに久々に再会したという流れの堀みこ。

本編終了後、定年退職したぐらいに歳を取ってる二人の話。

堀息子が大分出てきてる&老後の話でも問題ないって方だけどうぞ。

初出:2015/03/15 

文字数:5818文字 裏話知りたい場合はこちら

 

今日は政弥が良いワインが手に入ったからと、わざわざ俺たちの家まで持ってきてくれた。

政弥の奥さんは娘さんの引っ越し手伝いに行ったからと、今日は泊まっていって、男三人で飲む予定になっている。

みんな歳も歳だから、深酒は出来ないけど、気の置けない身内だけで飲むのは中々楽しい。

 

「あ、つまみちょっと少ねぇな。何かスーパーかコンビニで買い足してくる」

 

冷蔵庫の中を確認してた政行さんが、そんなことを言うや否や、コートを着る。

 

「俺行って来ようか?」

「いい。おまえらは家にあるもので用意しといてくれ。直ぐ戻ってくるから。じゃ、行って来る」

 

あっという間に政行さんが出掛けて、部屋に残ったのは政弥と俺。

 

「こういう時に行動するの、ホント早いよなぁ親父」

「だな。ま、じゃ、こっちはこっちで用意するか。政弥、グラスと皿よろしく」

「ほいほいっと。適当に出していいよな?」

「ああ」

 

数ヶ月に一度くらいは顔を出してくれる政弥は、とっくに我が家の何処に何があるかは把握済みだ。

勝手知ったるなんとやらで、手際よくグラスと皿を出してくれる。

その間に俺は冷蔵庫にあったチーズを切ったり、適当な材料で簡単なマリネを作ったりして、後は政行さん待ちとなった。

 

「政行さん帰ってくる前にワイン開けるのもアレだから、茶でも飲んで待ってるか。緑茶でいいか? ティーバッグだけど」

「ああ」

 

保温ポットのお湯を使って、湯飲みに二人分の茶を淹れる。

若い時はもうちょっと丁寧に淹れたけど、この歳になると色々おっくうになってしまって、ティーバッグを活用することが増えた。

便利なものって助かるなと、年を追う毎にしみじみと感じる。

 

「はい」

「ありがとう。……なぁ、実琴さん。唐突なんだけどさ。親父帰ってくる前に聞きたいことあるんだけどいい?」

「? 別にいいけど、どうしたんだよ」

「親父と実琴さんってまだセックスしたりしてんの?」

「なっ……げほっ、何、ごほっ」

 

飲みかけていた茶が、今の衝撃で気管にでも入ったのか、咽せてしまって苦しい。

政弥が背中を擦ってくれるも、咳が中々止まらない。

 

「ごめん。聞いたタイミングが悪かった」

「タイ、ミング……っつか、おまえ、ごほっ、何だよ、急に!」

「いや、真面目に聞きたかっただけなんだけど、ホントごめん。あ、もう察したから答えなくていい。……そっか、まだ勃つんだ、二人とも」

「勃……いや、あの、若い時みたいにはならねぇけど、まぁ……その、何というか」

 

つい、政弥に応じる言葉がしどろもどろになってしまう。

顔も多分凄ぇ赤くなってるだろう。

この歳だから、朝立ちしないことも多くなってきてるし、張りや角度も若い時のようにはならないが、興奮しないかっていうとそういう訳でもない。

寧ろ、俺が定年退職した直後なんかはお互いに時間が出来たこともあって、意外に頻繁にしてたし、今でも週に一度は触り合うくらいの事はしてる。

挿入は流石にお互いの体調次第だったりはするけども、そっちも完全になくなった訳じゃない。

 

「いや、うちもさ。下の娘が大学進学で家離れただろ? 新婚以来久々に夫婦二人になったから、こうムラッとはするんだけど、いざそうなると久々過ぎて、どう誘っていいのかが分かんねぇっていうか……」

「あー……そういうことかよ。相変わらず嫁さんと仲良いな」

 

政弥のとこは見てる限りでは、結構仲睦まじい夫婦じゃねぇかって思う。

こう、お互いがお互いを大事にしている感じが伝わるっていうか。

本人にしてみれば深刻かも知れないが、端から聞く分には何となく微笑ましくさえある。

 

「実琴さんと親父ほどじゃねぇよ。実の息子が泊まりに来てんのに、ひっそりいちゃつくような度胸は俺ねぇし」

「あー……その節は本当に申し訳なかったっていうか、何というか……悪かった」

 

政行さんが離婚して、政弥は奥さん側と一緒に暮らしてはいたけど、時々はうちに泊まりに来ることもあった。

政弥は兄弟がいないからっていうのもあって、俺に懐いてくれてたし、俺としてもやっぱり兄弟がいなかったから、弟が出来たみたいでちょっと嬉しかった。

まぁ、政行さんと養子縁組した今となっては、実際戸籍の上でも義兄弟の間柄になったんだけど、政弥の懐き方に当初政行さんが嫉妬したんだよな。

実の息子相手に、そりゃねぇだろうって今でも思うけど、あの時は政行さん曰く新婚みたいなものだったんだから、邪魔された気分だったんだなんて言いながら、壁一枚隔てただけの場所に政弥が寝てるのに抱かれた。

いくら声を抑えたって、限度ってものもある。

当然のように政弥にはバレバレだったってわけで、翌朝ぼやかれた苦い記憶が甦った。

流石にそれ以降は、政弥が泊まりに来てる時にセックスしないようにしている。

 

「いや、仲が悪いよりは良い方がそりゃいいけどな。親のセックスってマジ居たたまれなかった。基本、親父が手ぇ出してる側なのも分かってるけど」

「ホント、ごめん。というか、言われてるこっちも居たたまれねぇんだけど。なんで、政行さんじゃなく俺に話すんだよ」

「親父に聞く方がやりずれぇよ。またいらねぇ嫉妬されそうだし。かと言って、他の人にも聞きにくい話題だしなぁ。仲が良いって点では実琴さんと親父は間違いないなって思って」

 

実の息子に、嫉妬について言われる政行さんもどうなんだよって思うけど、俺としても分からなくもない。

昔から独占欲強いんだよな、政行さん。

特に、政行さんが離婚して、俺たちが一緒に過ごすようになってからは、さらにその傾向が強い。

それが嬉しいとも思ってる俺も人のことは言えないけど。

 

「それもそうか。……おまえたちのとこって寝室一緒だっけ?」

「ああ。でも、ベッドは別。だから、そこら辺どうしたもんかなって」

 

うちは一緒に住むようになってから、ずっと同じベッドで眠っている。

特にセックスしない日でも、それは変わらない。

……何か、参考にならなさそうな気がする。

結局、考えた末に口にしたのは、アドバイスにもならないような内容だ。

 

「……セックスって挿れて出すだけでもねぇし。久々なら一緒に眠るとこから始めていいんじゃねぇの。で、したくなったらする、みたいな」

「実琴さんたち、寄り添っているだけで、特にしないってあるのかよ」

「あのな。いくら何でもあるっつの。若い時ならともかく、今は体力が落ちたから、回復するにも時間かかるし」

「それ、体力や時間があるならしてるって言ってるようなもんじゃねぇか。ずっと、人と一緒に寄り添って寝るって疲れねぇ? 時々、一人で寝たいとかねぇの?」

「んー……一緒に住み始めた頃はちょっと慣れない部分あったけど、今は逆に一人だと眠りにくい……かも知れねぇ。入院した時、妙に落ち着かなかった」

 

少し前に体調崩して入院した時、当然一人で眠ることになったけど、体調が悪いと余計に傍に政行さんの体温を感じられなかったのが心細く感じて、中々眠れなかった。

それは離れていた政行さんも同じだったらしく、一人で寝ていたのが落ち着かなかったって言ってて、退院した夜は久々にぐっすり眠れたっていう印象だ。

いつの間にか、政行さんの体温が随分自分に馴染んでいたんだって思い知らされた。

 

「……実琴さん」

「ん?」

「ホントに親父好きなんだなぁ。会ってから五十年以上経ってんだろ?」

「……好きじゃなきゃ、こんな長く一緒になんかいねぇよ」

 

本人に素面で言うのは気恥ずかしいし、その息子に言うのも大概だが、まぁ、本人戻ってきてないしな。

 

「あー、うん。ごちそうさま」

「何だよ、その呆れた口調」

「いや、聞いといてなんだけど、あんまり参考になんねぇなって」

「酷ぇ。こっちだって恥ずかしいの答えたのに、それを言うのかよ!」

 

そりゃ、血が繋がってるよりはましだろうけど、身内に性事情言うとかこの歳になったって恥ずかしい。

真面目な話だって言うから、言ってやったってのに!

 

「恥ずかしいのって何だ?」

 

そう返したら、背後から政行さんの声がして、二人で一緒に振り返る。

 

「お、お帰り、政行さん」

「親父、お帰りー」

「おう、ただいま。色々買ってきたぞ。こんだけあれば足りるだろ」

 

……さっきの聞かれてないよな。

あんまり好きだってダイレクトに口にしない単語だから、気恥ずかしい。

政行さんが買ってきたつまみも皿に置いていって、三人の飲み会を始めた。

 

***

 

「あー、やっぱりなぁ。おい、政弥。寝るなら、ソファをベッドにしたから、そっち移れ。そのまま寝ると身体にくるぞ」

「ん……」

 

ある程度酒が入ったところで、政弥がダイニングテーブルに突っ伏してうとうとし始めた。

こいつ、酒好きなんだけど、強くはない。

だから、外ではあんまり飲まないようにしているらしい。

その所為なのか、三人で飲んでいると安心感からか、大体最後はこんな風に寝落ちるんだよなぁ。

リビングに置いてあるソファは背を倒してベッドに出来るタイプのものにしてあるから、ベッドにして眠れるようにすると、政行さんと一緒に政弥を抱えて運ぶ。

政弥を寝かせて布団を掛けてやると、政行さんが苦笑いしながら、軽く政弥の髪を撫でた。

 

「寝顔変わんねぇなぁ、こいつ。子どもの時からこんなんだ」

「政行さんと良く似てるけど、もうちょっと政弥の方があどけない感じするよな」

「自分の寝顔なんて分かんねぇから、比較出来ねぇよ。俺たちもそろそろ寝るか」

「そうだな。とりあえず、簡単に片付けるか」

 

ダイニングテーブルの上に置いてあったつまみの残りを冷蔵庫にしまっていくと、政行さんは空いた食器をシンクに運んでいく。

食器を洗うのは朝でもいいかなと考えていたら、政行さんもそのつもりだったらしい。

食器を運んだところで、寝室の方に歩き出した政行さんが俺を手招きしたから、俺も寝室の方に足を向ける。

寝室に入ると、政行さんがベッドの上に寝っ転がったから、俺もその隣に横になると、腕が伸ばされて引き寄せられた。

引き寄せられたままに身体を預けると、政行さんの手が俺の背骨に添って、シャツの上から動く。

その動きが性的に感じさせるようなものだったから、慌てて政行さんの手を止める。

 

「ちょっ……、向こうに政弥寝てるから、それ以上は」

「……好きじゃなきゃ、こんな長く一緒になんかいねぇよ、なぁ。お互いに」

「……っ!」

 

政弥に言った台詞を告げられて、思わず顔が強ばったのが自分で分かった。

政行さんがまだ帰ってきてないって思ったから口にしたのに。

 

「どこから聞いてたんだよ、政行さん!」

「聞いたら、多分おまえ居たたまれなくなるけど。聞きたいか?」

「は!? ちょ……んっ、んん」

 

キスされて、背を撫でていた手がさらに下へと辿っていって、腰に触れていく。

腰骨を撫でられて、じわりと甘い刺激が広がった。

 

「あ、はっ……」

「俺も今、一人で眠るって想像出来ねぇな。そりゃ、一緒に寝てるからって絶対セックスするわけでもねぇけど、やっぱりあんな話聞いたら、おまえに触りたくなるし」

「……っとに、どこ、から聞いてたんだ、よ……」

 

リビングに政弥が寝てるのは分かっているのに、触られて身体が反応し始める。

……くそ、俺が酒飲むとセックスしたがるの知ってて、こんな触り方してくるってことは、その先にある意図は聞かずとも分かってしまう。

さっきの話もあって、もし聞かれたら余計に気まずいって思うのに、拒むに拒めない。

 

「さぁな。……政弥なら、酒入ったから一、二時間は熟睡だろ。触りたい」

「あ……もう……っ」

 

俺も政行さんの背に手を回して、触り始めた。

 

***

 

「おはよう、政弥」

「おはよう、親父、実琴さん。ごめん、潰れた」

「いつものことだろ。気にしてねぇよ。昨日の残りにトースト合わせて食おうぜ。今、焼いてくる」

 

政行さんがそういうと、キッチンに行って朝食の準備をし始める。

割りと飯の用意をするのは俺がやることが多いけど、セックスした翌朝は俺が疲れているのが分かるのか、結構やってくれる。

そういうとこで大事にして貰ってるなって思うけど、何となく普段と違う行動に悟られるんじゃないかと、内心気になる。

とはいえ、聞くに聞けないから、大人しくダイニングテーブルについて、トーストが焼けるのを待っていると、政弥が俺の向かいの席に座って溜め息を吐いた。

 

「うわ、頭痛て……」

「二日酔いか? 薬飲むなら持ってくるけど」

「いや、いい。大丈夫。……あのさ、実琴さん」

「ん?」

「……酒入っててもイケるのな、二人とも。俺、ちょっと自信なくす」

「っ!?」

 

朝にそぐわない話題を不意打ちで聞かされて、ぎょっとする。

 

「……聞こえて、たの、か?」

「ごめん、聞く気はなかったんだけど。……二人がいちゃつくのは親父の所為だけでもねぇって認識改めることにする」

「うわ……あああ」

 

内容から言って、結構聞かれたのかも知れない。

……最初、触りあっているだけのつもりが、挿れて欲しいってねだってしまったのは俺だ。

 

――中に……欲しいっ、挿れ、て……っ!

――身体、平気かよ……って、ああ、大丈夫そうだな。これなら。好きって言えよ、実琴。そしたら、挿れてやるから。

――さっき、聞いてたん、だろ……っ!?

――ありゃ、俺に直接言った言葉じゃねぇだろ。……実琴。

 

先っぽで後孔を突かれて、堪えきれずに耳元で小さく好きって言ったら、一気に深く挿れてきた。

そういや、あの時、声なんて抑える余裕無かった気がする。

 

――あ、ああ、政行、さっ……あああ!

――……酒入ると、おまえの中熱いし柔らかく纏わり付いてくるしで、ホント堪んねぇな。

 

俺も好き、ってやっぱり耳元で言われ、それがスイッチになったのか、年甲斐もなく久々に激しく求め合った。

そりゃ、俺たちがセックスしてるってのは知られてるけど、実際に聞かれるかそうでないかは大違いだ。

ああ、もう、アレを聞かれたのかと思うと、ホント居たたまれねぇ。

 

「あれじゃ、親父頑張るのも無理ねぇなぁって、ちょっとだけ思った。可愛いな、実琴さん」

 

しかも、こうやって潜めた声でニヤニヤ笑うと、俺を煽るときの政行さんにそっくりなんだよな、こいつ。

 

「……頼むから、忘れてくれ……」

「安心しろよ、親父には言わないから。あ、でも一つ貸しにしとくな、義兄さん」

「あ、ああ……あああ」

 

パンの焼ける良い匂いを嗅ぎながら、ダイニングテーブルに突っ伏し、頭を抱える他なかった。

 

 

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