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理性が飛んだ瞬間<月刊少女野崎くん・堀みこ・R-18>

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若い時に付き合っていて、堀先輩の結婚を機に別れたけど、十数年ぶりに久々に再会したという流れの堀みこ。

本編終了後、堀息子が成人する際の話。酔っ払った御子柴。

結構堀息子が出て来ます。

初出:2015/07/13 

文字数:6412文字 裏話知りたい場合はこちら

 

「おまえ、後ちょっとで成人だな。何か欲しいものとかあるか?」

 

あと数日で、政弥が二十歳の誕生日を迎える。

せっかく成人になるのだからと、今までより誕生日プレゼントを豪勢にしてやろうかと思って、本人の希望を聞いてみたところ。

 

「良い酒飲みたい! ドンペリとかそういうの!!」

 

……遠慮も何もあったもんじゃない返事だった。

流石に酒をろくに飲んだことのない段階で、ドンペリみたいな良い酒を飲ませるのはどうにも引っかかる。

 

「いきなりかよ。そういう酒は自分で金稼げるようになってからにしろ。自分で稼いだ金で買って飲め。その方が絶対美味い」

「ちぇ。じゃ、ただ飲むだけでもいい。俺、二十歳過ぎたら、親父と実琴さんと飲んでみたいってずっと思ってたんだよな」

 

何とも可愛いことを言ってくれる。

酒を嗜む息子持ちの父親なら、成人した息子と一度飲んでみたいってのは、よくある夢の一つだろう。

俺も政弥が生まれた時に、いずれ一緒に飲めるようになるんだなって考えたりしていた。

あれから二十年近く経ったのかと思うと、感慨深い。

 

「それならいい。他、何か希望あるか? ああ、高い酒以外でな」

「俺の誕生日の夜に飲みたい。で、外よりは家で三人がいい。親父も実琴さんも酒のつまみつくるの上手そうだし、潰れてもどうにかなるだろうし」

「誕生日当日でいいのか? おまえ、友達とかと飲んだりしなくていいのかよ」

 

大学生なんだし、親よりは友人と飲みたい年頃じゃないだろうか。

正直、自分の時がそうだったから、その点が気になって聞いてみたが、政弥が首を振った。

 

「俺、割と誕生日早いほうだろ? あんまり友達に成人なったやついないから、ちょっとな」

「あー……」

 

政弥の誕生日はゴールデンウィークをちょっと過ぎた辺りだ。

確かに同期で成人しているやつはまだ少ないだろう。

俺は十一月末の生まれだから、自分が成人した時は同期の半分以上は既に酒が飲めるようになっていた。

だったら、友人とって線が潰れても仕方ねぇな。

 

「わかった。良い酒ってのはさておき、美味い酒飲ませてやる」

「やったー!」

 

少し、家で飲むことには気掛かりな点はあったが、まぁどうにかなるだろう。

俺としても、一人息子と飲めるようになるのは素直に嬉しい。

喜ぶ政弥に、俺の方も内心楽しみだったりなんかした。

 

***

 

「で、宅飲みしようってことになったわけか」

 

政弥の誕生日当日。

実琴にも都合をつけて貰っておいて、今はディスカウントショップに三人で酒を買いに来ていた。

適当に色々な酒をカゴに入れていくが、ふと実琴の酔った時を思い出し、正に今、アルコール度数の高い酒をカゴに入れようとしていた、実琴の手を掴んで止めた。

 

「実琴。アルコール度数高いのやめとけよ。おまえ、下手にアルコール入るとすぐセッ……」

「ちょっ……それ外で言う話じゃねぇだろ!?」

「てっ!」

 

言いかけた言葉を遮るように、実琴が俺の頭をド突いた。

横目で見た顔は早くも赤い。

実琴は軽く酔うくらいならまだしも、酒がある程度以上に入るとセックスしたがる傾向がある。

外で飲んだり、他人が混じったりする飲みだと、良い格好しいの上に人見知りっていう面も影響して、そんなに酔いが回らないが、俺と一緒だとこいつは限界というのをあまり考慮しない。

それはそれで甘えられている証拠だから可愛いし、二人きりの時になら、そんなんでも何の問題もねぇけど、政弥も一緒に飲むような時には、いくら何でもマズい。

あんなベタベタに甘えて絡んでくるような実琴は、あまり見せたくない。

いや、多少なら牽制にはなるが、多少の域を超える可能性が十分にある。

政弥は実琴の中ではとっくに他人じゃない。

 

――あのさ、御子柴。ちょっと人目を考えてくれると、私としては有り難いんだけど。

 

いつだったか、鹿島を交えて三人で家で飲んだ時にも、やはり鹿島相手だと気が抜けていたらしく、結構俺に甘えて来たから鹿島が溜め息を吐きながらぼやいた。

恐らく、政弥の場合でも似たようなことになる。

だから、アルコール度数が高い酒を買うのを止めたが、まぁ確かに理由は外でうっかり言える内容じゃなかったな。

大人しく黙り込んだが、今度は一緒に酒を選んでいた政弥が俺たち二人を見て、何か言いたげな顔をしている。

 

「何だ、政弥」

「……いや、あのさ。俺は、今、親父の言おうとしてたことを問い質すべきなのか。それとも、何も聞こえなかったことにした方がいいのかなって」

 

まぁ、何か事情があるって言ってるようなもんだもんな、これ。

実琴がまだ赤いままの顔で、困ったように政弥から目を逸らした。

 

「政弥……ちょっとでも何か察したなら、黙っててくれよ」

「黙ろうかと思ったけどさ、実琴さんが親父を本気でド突くのなんて初めて見たし、親父もそれに怒るわけでもなしって貴重だなって。正直、何があるんだって思っちまうだろ、これ」

「う……」

 

実琴が言葉を詰まらせる。

これで、実琴が少し気をつけて飲んでくれればまだいいんだがな。

……残念ながら、そうなってくれそうな予感は全くしなかった。

 

***

 

「あー、もう政弥、顔赤くなってる。可愛いなー、おまえ。まだ酒に慣れてないって感じして」

「そりゃ、俺、今日成人したばっかだし! 実琴さん……その撫で方だと、髪のセット崩れる」

「良いじゃねぇか、どうせ今日はこのままうちに泊まるんだろ?」

「そりゃ、そうだけど」

 

実琴が笑いながら、困惑している様子の政弥の肩を抱きつつ、頭をぐりぐりと撫でる。

政弥の顔が赤いのは、酒のせいと照れているのと多分両方だろう。

そういう実琴も大分顔が赤い。

というより、もうかなり酔っている。

政弥の頭を一頻り撫でた後は、政弥から離れて、俺にしなだれかかるように寄りかかってきた。

 

「んー、やっぱり政行さんと政弥って、ぱっと見はよく似てるけど、匂いとか全然違うよな、あー……やっぱりこの匂い落ち着く」

「煙草や香水は一緒だし、最近はボディーソープやシャンプーも同じもの使ってるしな」

「そっか、それもあるな」

 

普段の実琴なら、政弥の前ではあまりベタベタしないようにしているし、俺の方から何か仕掛けるのも嫌がるくらいだってのに、これだ。

実琴と一緒に住み始めて間もなく、政弥が泊まっている時にセックスして、それを政弥に悟られてからはセックスは勿論、必要以上にスキンシップもしないよう務めているのに、こうやって酔い始めるとそんなことは、綺麗さっぱり頭からすっぽ抜けちまっているみたいだ。

政弥の存在がストッパーになるかと思いきや、俺の息子ってことで、かなり気を許しているからか、全くストッパーにはなっていない。

 

「なー、政行さん。政行さんと違って、政弥の酒飲んだ反応って初々しくて可愛いよなー」

「あー、そうだな。可愛いな」

「何だよ、気のない返事だなぁ。別に政行さんが可愛くないって言ってるわけじゃねぇぞ? 政行さんだっていっぱい可愛いとこあるし、拗ねんなって」

「んっ! おい、実琴。おまえ、もう大分酔ってるだろ」

「まだ、そんなでもねぇって。酔ってねぇよ」

 

……ヤべぇ、自覚ねぇな、これ。

政弥の目の前で、俺の耳をかぷっと囓ってくるヤツが酔っていないわけがない。

目がとろんと蕩けてて、赤い舌がちろちろと唇を舐め回している。

実琴の手も俺の身体にしっかり回されてるし、いくら政弥が俺たちの事情を知ってるとは言っても、呆然としてんじゃねぇか。

これ以上はしゃれにならない。

 

「……実琴。おまえ、少し寝室行って酔い覚ましてこい」

「何だよ、俺一人仲間外れかよ!? せっかく三人で飲んでるのに」

「そうじゃねぇって。……言い方変えるぞ、少しだけ親子水入らずで飲ませてくれって。おまえだって、俺が政弥と酒飲めるようになるの、楽しみにしてたのは知ってんだろ?」

 

これは本当だ。

実琴を交えて飲むのも楽しいが、現状こんなんだし、政弥とサシで飲みたいっていうのもある。

いつもなら、こう言えば親子関係に配慮して大人しく引くはずの実琴は、口を尖らせて拗ねたようにぼやいた。

 

「……政行さんが寝室連れて行ってくれなきゃ、やだ」

 

っとに、幾つだよ、こいつは。

二人きりでならこんな甘え方も可愛いが、ここまで来るとちょっと政弥に対して気が引ける。

けど、今の状態で大人しく実琴が一人で寝室に行くとも思えない。

立ち上がって実琴に手を伸ばすと、実琴が俺の手を掴んで立ち上がり、そのまま俺に抱き付いてきた。

軽く背をぽんぽんと叩いてやると、俺の首筋にキスして来る。

これはもう限界だ。

下手すりゃ、前戯してるのと変わんなくなっちまう。

あからさまに引き気味になっている政弥に向けるように、あえて明るめの声を出す。

 

「…………っとに、しょうがねぇなぁ。悪い、政弥。こいつ寝室に置いてくるから、ちょっとだけ席外すな」

「あ、うん」

「ほれ、実琴。ちゃんと寝室までは歩け」

「ん……」

 

相変わらず、俺にべったりくっついたままだが、どうにか実琴を寝室まで連れて行った。

ベッドの上に半ば投げるようにして、実琴の身体を横にしてやる。

 

「ちょっと横になってろ。今、水持ってく……」

 

実琴から離れようとしたところで、袖を引っ張って止められた。

マズいな。これは完全に欲情してる目だ。

 

「水はいい。……政行さん、ほんのちょっとでいいから、触ってくれよ。前だけでいいから」

「……前だけっておまえなぁ」

 

一応は自制してそんなことを言ってるんだろうが、股間を見ても精々半勃ちって程度だ。

こいつは酒が入ってると勃ちにくくなる癖に、セックスはしたがるから性質が悪い。

実琴は受け入れる側だから、確かに勃ってなくてもセックスはどうにかなるって事情はあるものの、本当は中の方に触れられたいはずだ。

かといって、自分で中に指を挿れて弄るのは、怖さもあってあまりやりたくねぇらしい。

こりゃ、直ぐには政弥のとこに戻れそうにねぇな。

 

「……下脱がすぞ」

「直接触ってくれんのかよ」

「その方がいいんだろ?」

「んっ……」

 

実琴が履いていたルームパンツと下着を、一緒に引き摺り下ろして脱がせると、やっぱり少し勃ったって程度のちんちんが顔を覗かせた。

そこに手を置くと芯もあったが、まだ柔らかさの方が勝る。

それでも軽く手のひらで撫でてやると、色っぽい声を上げ始めた。

 

「ふ、あ、気持ち、いい……っ」

 

言葉ではそう言うが、腰を俺の手のひらに押しつけようと動かしてくる辺り、物足りなさはあるんだろう。

袋に指を滑らせて、さらに後ろへと手を伸ばすとあからさまに実琴の顔が嬉しそうになった。

 

「やっぱり、こっちかよ」

「だ……って、何か酒飲むとそっち疼く……っ、か、ら」

 

すっかり挿入されることに慣れた場所は、乾いた状態でも指一本くらいなら難なく受け入れる。

実琴の中を傷つけないように、指の腹を使って探ってやると、実琴の中がうねって指を締め付けてきた。

 

「ん、あ、中、いい……っ」

「あー、おまえ酒入るとホント柔らかく熱くなるよな、ここ」

「ひ! ああっ!」

 

少し強めに擦ってやると、実琴が背を仰け反らせて掠れた声を上げた。

艶を含んだ視線と声に、こっちまで欲情に引き摺られそうになる。

適度なところで引き上げようかと思ったが、実琴が俺のモノに服の上から手を重ねて来た。

服越しに伝わる、実琴の手のひらの熱さが気持ち良い。

つい、喉が鳴ってしまったのを実琴も確認したんだろう。

実琴の口元に笑みが浮かんだ。

 

「……おい」

「政行さんも少し固くなってんのな」

「誰のせいだと思ってる」

 

一緒に住み始めて数年。

好きな相手の感じてる姿を見て、何の反応もしないなんてとこまではまだ達観してない。

酔っていないと、こんな風にならないのも考えれば、余計に興奮するに決まっている。

 

「……なぁ、少しだけ挿れてって言ったら怒るか?」

「…………怒りゃしねぇよ。何となく予想出来たしな。というか、ちょっとだの、少しだの、それでどうにかなるわけねぇだろ」

「う……それは、そうだけ、ど」

 

ここまでくると、一度抜かないことにはお互いに収まらない。

政弥が向こうの部屋で一人待っていることを思うと気は咎めたが、少しだけ迷った末に結局諦めた。

俺も下の方を全部脱ぐと、枕元においてある潤滑剤のボトルを取って、手にある程度垂らし、大分固くなってきた自分のモノに塗りたくった。

塗っているうちに完全に固くなったそれを、実琴の足に擦りつけると小さな悲鳴が上がる。

繋がる場所がひくりと動いたのが見え、声と合わせて俺の方も我慢がきかなくなってきた。

 

「実琴。力抜け。……あと、声はなるべく抑えろ……っ!」

「んっ、あ、ふ、んんんっ!!」

 

実琴が自分の手で口を押さえたのを確認すると、足を抱えて一気に中に突き入れた。

纏わり付いてくる熱に灼かれて、一気に興奮がピーク近くまで駆け上がる。

戻ったら政弥に何て言うか、と意識の片隅で考えながら、動くことに集中し始めた。

 

「あ、ああ、政行、さ……っ、凄ぇいいっ、キス、して……っ!」

「んっ……」

 

キスをねだってきた実琴に唇を重ねると、さっき飲んでいたアルコールの香りや香水の香りがふわりと漂って、悪い気分はしなかった。

実琴の匂いで安らぎを感じるのは、結局俺も同じだ。

震える中を擦りながら、しばしの快楽に身を任せる。

縋り付いてくる実琴の表情が、堪らなく可愛く思えた。

 

***

 

「悪い。遅くなった」

「あー……お帰り」

 

セックスをどうにか心持ち早めに切り上げて、政弥のところに戻ったら、案の定うんざりしたような表情をされた。

そりゃ、そうなるよな。

セックスでの声が聞こえていた可能性もなきにしもあらずだし、もしここまで聞こえていなかったとしても、何があったのかなんてこいつでも想像がつくだろう。

空になっていた自分のグラスに日本酒を注ぐと、政弥が溜め息交じりにぼそりと呟いた。

 

「……実琴さん、酒飲むと相当ヤバいな。あれじゃ心配だろ、親父」

「外とか、他人の目があるところだとまだマシだけどな。ああなっちまうとこまで飲まねぇし、飲まさねぇ。後、正直に言えば、二人きりだともっとマズい」

 

それこそ、二人きりだとベッドまで待てずにソファでそのままヤッちまうパターンも何度かあった。

詳細こそ言ってないものの、俺の言葉に政弥が目を丸くする。

 

「あれで、もっとなのかよ!? どんなんだよ!」

「……実琴には黙っとけ。おまえしかいないから、大分気が緩んだんだろ」

「いや、あれ緩みすぎだろ」

 

政弥のグラスにも日本酒を注ぎながら、どうしても苦笑いになってしまう。

本当にあれは嬉しいような困るような癖だ。

可愛いって思っちまう俺もどうしようもねぇけども。

 

「なぁ、実琴さん、ああいうの覚えてんの?」

「半々ってとこだな。覚えてる部分もあれば、覚えてない部分もある」

「……酒って怖いな」

 

政弥は俺たちが席を外している間は、ほとんど飲んでいなかったらしく、大分酔いが覚めているようだった。

グラスに入った日本酒をじっと見ながら、しみじみと言ってのける。

 

「ま、酒は飲んでも飲まれるなってやつだな。……政弥」

「何」

「そういうことだから、諦めとけ。結局、実琴は俺しか見えてねぇから」

 

政弥は実琴に対して、兄のような感情だけを持っているわけじゃない。

実琴側は気付いていないみたいだが、俺には分かる。

まぁ、親子なんだし、俺たちの好みが似ていても仕方ねぇけど、実琴を渡すわけには行かねぇ。

俺だって、ようやく手に入れた相手だ。

だから、牽制の意味も含めて言うと、政弥の表情が一瞬強張ったが、直ぐに目元を緩ませた。

 

「……知ってる。俺に実琴さんをどうこう出来るなんて、思ってねぇよ」

「だったら、いい」

 

政弥の頭を軽く撫でてやったあと、グラスに残っていた日本酒を一気に呷る。

寂しげにも見えた政弥の表情には気付かないふりで、最後の一缶になったビールに手を伸ばした。

 

 

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