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布団のぬくもり<月刊少女野崎くん・堀みこ・R-15>

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若い時に付き合っていて、堀先輩の結婚を機に別れたけど、十数年ぶりに久々に再会したという流れの堀みこ。

堀誕生日祝い話。本編終了後、一緒に暮らすようになって初めて共に過ごす誕生日。

2015/10/18のワンライお題を自主練タグ利用で書いた話です。

最初はもうちょっとほのぼのするはずだった。(過去形)

初出:2015/11/28 

文字数:2236文字 裏話知りたい場合はこちら

 

「ん……今、何時……だ?」

 

寝ぼけた頭で枕元を探っても、いつもだったら置いてあるはずのスマホが見つからない。

ある程度、手を彷徨わせたところで、そういえば今日は枕元には置いてなかったことを思い出した。

 

「あ……そうだ。なかったんだよな」

 

代わりに、スマホのアラームで目が覚めなかった場合の保険用にと置いてある、目覚まし時計を探して今の時間を確認する。

時計が示す時間は、午後二時半を少し回ったところだった。普段だったら、休みの日とはいえ、中々ベッドの中にはいないような時間だ。

隣で寝ている政行さんを見ると、まだぐっすりと寝てる。

えっと、ベッドに入ったの何時だっけか。

確か、少し早めに昼飯食ってからだったから、あれで十二時前後くらいか?

政行さんの前髪をちょっと指で掻き上げてみても、起きる気配はまだなさそうだ。

 

――なぁ、政行さん。誕生日プレゼント何がいい?

 

あれは一週間近く前。

政行さんの誕生日が近くなってきたから、何かプレゼントでリクエストがあればと尋ねたときの事だった。

 

――おまえ。

――……いや、そういうベタなやつじゃなくてさ。何か形に残るものでって話なんだけど。

 

春に政行さんが離婚して、俺たちは一緒に暮らすようになった。

去年はまだ政行さんには家庭があったし、うっかり形で残せるようなものなんて渡せなかったから、少し良いワインとチーズで、当日より少し早い日にちに誕生日祝いはしたものの、今年は久し振りにプレゼントを渡せるなって思ったところでの政行さんの答えがそれだ。

 

――それでもおまえがいい。丸一日、家から一切出ないで、他のやつからの電話も出ない状態で、完全に二人っきりになって過ごしたい。

――いや、それでもいいけどさ。でも電話もって。大体、政弥とか誕生日祝うために電話してくんじゃねぇの? そういうのはいいのかよ?

――少なくとも政弥については心配ねぇな。ほれ。

――ん?

 

政行さんが見せてきたスマホの画面には、政弥からのインスタントメッセージが表示されていた。

 

『十日ほど早いけど、誕生日おめでとう親父。あ、誕生日当日は絶対邪魔しないから、実琴さんと仲良くな!』

 

――な。出来た息子だろ?

――……有り難いけど、凄ぇコメントしにくいな。

 

仲良く、に含まれているだろう意味を考えると、つい顔が熱くなる。

いや、そりゃ政弥だって何も知らない子どもじゃねぇから、俺たちに身体の関係があるのはとっくに知ってるけど。

そんなことを言われたとなったら、ちょっとばかり顔を合わせにくい。

気が回るにも程がある。

 

――他のやつからの連絡は、翌日返せば大丈夫だろ。せっかく、お互い休みの日なんだし、平日じゃ出来ねぇってことで、丸一日、おまえを独占したい。これはこれで、凄い贅沢な誕生日の過ごし方だと思わねぇ?

――いや、いいけど。政行さんがそれでいいっていうなら。

 

そんな感じで話が纏まっての、政行さんの誕生日当日の今日だ。

一応、政行さんに似合いそうなネクタイも、プレゼントとして贈りはしたものの、本当に外部との連絡はシャットアウトってことで、日付が変わる少し前に、俺のスマホも政行さんのスマホも電源が落とされている。

スマホの場所は政行さんしか知らない。

朝も宅配便が来たっぽいけど、居留守を使った。

そして、ずっと政行さんは俺の身体のどこかに触れている。

触れてないのは、食事してる最中とか、トイレとか、そんなくらいの勢いだ。

今だって、俺の腰には政行さんの手が置かれている。

セックスも日付が変わって早々に一回、起きてから一回、昼飯の後にさらに一回と既に三回していた。

多分、今日のうちに、あと一、二回くらいはすることになるだろうと予想している。

 

――離れてた間の時間考えれば、丸一日使ったところで、まだ足んねぇくらいだろ。……嫌か?

――そういう聞き方狡ぃよなぁ。嫌だなんて言わせないようにしてんじゃねぇか。

――そりゃ、言わせるつもりもねぇからな。

 

しれっと言う辺りがもう何とも、だ。

そりゃ、俺だってそんだけ求められてるのかって思うと嬉しいけどさ。

体力温存も兼ねて、もう少し寝るかと俺も政行さんの腰に腕を回したら、それで起こしてしまったらしい。

 

「ん……」

「あ、ごめん、起こしたか?」

「や……平気だ。今、何時なった?」

「二時半過ぎ。昼のな。もう少し寝とくか? ……ん」

 

言いかけたところで、政行さんが唇にキスしてくる。

まだ半分くらい寝ぼけてるだろうに、しっかり俺の口の中に舌を入れて、弱い部分を刺激してきた。

上顎から広がった快感に、まだぼやけていた意識と身体が覚醒を始める。

……こりゃ、四回目開始かな。

 

「……ホント、贅沢な誕生日だなぁ」

「ん?」

 

唇を離した政行さんが、今度は下半身をすり寄せてきた。

案の定、こっちも準備が整いつつある。

 

「だってそうだろ。いくら誕生日っつっても、この歳になって、こんな怠惰な過ごし方して、許されるなんて普通ねぇし」

「あー……それはそうか」

 

確かに、家庭持ってたら、そんなわけいかねぇよな。

 

「実琴」

「ん?」

「いいよな。続けて」

「ダメって言ったって、止める気ねぇくせに」

「まぁな。でもおまえだって、ダメって言う気もねぇだろ」

「ねぇ、けど……っ」

 

熱くなり始めた下半身で答えを返しているようなものだった。

さっきまで、気持ち良いくらいの温度だった布団の中のぬくもりは、あっという間に布団を撥ね除けたいくらいのものになっている。

……結局、この人に敵わねぇんだよなぁ、なんて頭の隅っこで考えながら、政行さんの動きに身を委ねた。

 

 

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