過去の鬼龍くんが髪型とピアスの数が違ったことについての勝手な妄想。
前半は紅月結成直後の話し合い。
(紅の憧憬に掲載している部分ですが、とりあえず置いておきます)
後半はつき合っている紅敬のイチャつき。
イベ連続で紅敬ぶっ込まれたのが消化出来なかった結果。
「硬派を売りにだと?」
ユニットの方向性や、今後の予定なんかを放課後の教室で話していると、蓮巳がそんなことを口にした。
「ああ。今、夢ノ咲には硬派を全面に押し出しているようなアイドルはいない。特色を強く出す意味でもその方がいいんじゃないかと思ってな」
「なるほど。まぁ、てめぇにしろ、俺にしろ、集まったファンに向かってニコニコ手を振ったり、投げキッスのサービスするようなガラじゃねぇよな」
他と違った特色、となると衣装も他じゃ見ねぇようなものがいいだろう。
硬派というからには、露出は控えめに、下品な感じにもならないようーーと頭ん中で考えていたら、パズルのピースが綺麗にハマったように、一つの案が浮かんだ。
「こういうのはどうだ? ちょっとコピー用紙の裏借りるぜ」
「ああ」
蓮巳が差し出して来た紙に、たった今思いついたばかりの衣装案を描いていく。
「……なるほど、和装ベースか」
「ああ。とはいえ、下を袴にしちまうと、どうしても機動性では落ちる。だから動きやすいように下に穿くのはタイトなパンツ。ただ、着物である程度まで身体の線は隠れるし、露出の面でも控えめになる。どうだ?」
描いたばかりの図案を指で示していくと、蓮巳の口元が綻んだ。
「悪くないな。だったら、曲の方向性も和風で統一していくか。全面的に和を押し出すことで、日本古来の奥ゆかしさも演出し、人目は引くが不必要な派手さは抑え、それでいて存在はしっかりと主張する。……よし、それでいこう。衣装案はどのくらいで纏められる?」
「てめぇが希望するなら明日にでも」
「仕事が早くて頼もしいな。……しかし、そうなると少し貴様のピアスの量が多いのが気に掛かる」
「ん? ああ、これか? 一応校則にはーー」
「引っかかっていないのは知っている。が、どうにもイメージに合わん。全部無くせとは言わんが、少し減らせないか? あと、その髪もだ。もう少し短くするか、整髪料で纏めるかして貰いたい」
「分かった。少し考えてみる」
***
「おはよう、蓮巳」
「おはよう、きりゅ……」
朝の登校時、校門近くで会った蓮巳に声を掛けたら、俺の方を振り向いた瞬間、足が止まる。
こいつの要望通り、ピアスの数を減らし、整髪料で髪をセットしてみた。
僅かな前髪を残して、手ぐしで後ろに流すだけの簡単な纏め方だが、これだと時間もさほど掛からずにセット出来た。
しばらく、俺をじっと見ていた蓮巳が、笑いながら頷く。
「よく似合っている。今後はそれでいけ」
「おう。あ、衣装案仕上げてきたぜ。今いるか?」
「預かろう。HRが始まるまでに目を通す」
「ほらよ」
***
(以下は既につき合っている状態の紅敬で、事後のピロートーク)
「……もう触らないとよく分からんな」
旦那が俺の耳に手を伸ばしてきて、耳の縁を触っていく。
「ん? 昔使ってたピアス穴か?」
「ああ。見た感じだとすっかり塞がっている。触ると何となく違和感はあるが」
「一年以上経つからなぁ、使わなくなってから。そんなもんだろ」
対する蓮巳は昔も今も、ピアス穴は一切開けていない。
勝手なもんで自分じゃ開けてるのに、こいつの耳には開けたくねぇなって思いがあったりする。
形が綺麗だから、このままの状態にしておきたい。
俺も蓮巳の耳に触ると、何となく脳裏にいつかの映像が浮かんだ。
「ん? そういえば、てめぇがデッドマンズにいた時、何か耳につけてなかったか?」
「ああ。マグネットでつけるタイプのピアスだ。他の二人がピアス穴を開けていたし、あのユニットだとピアスをつけていた方がイメージに沿っていたが、穴を開けるには気が乗らないと言ったら、朔間さんがならばと教えてくれて、ライブの時だけ着けていた。……よく覚えていたな。あの頃、まだほとんど貴様と話したりしたような覚えはなかったように思うが」
「……デッドマンズは人目を引いたからな」
何となく言い訳のようになってしまった言葉は早々と切り上げる。
思えば、あの時。既に蓮巳のやつを目で追っていたかも知れねぇ。
朔間や大神ではなく、俺が覚えているのは、目に挑戦的な意志を秘めた焔をちらつかせながら、ステージで歌い上げていた蓮巳の姿だ。
今、紅月でのパフォーマンスとはまた違った姿を見せていたこいつのーー。
「鬼龍」
「うん?」
「貴様が望むなら、一つくらい開けても構わんぞ。貴様のピアスはよくある形だから、揃えたところで違和感もないだろうしな」
二人で揃えたピアスってのも想像したら悪くねぇが、やっぱり旦那の耳に穴開けるのは、少しもったいねぇ気がした。
「いや。旦那の耳には開けたくねぇな。そうだな……てめぇの耳にはこっちがいい」
「んっ」
顔を寄せて、蓮巳の耳に軽く歯を立てる。
痕が残らない程度に力を加えつつ、舌と吐息を使って、耳を擽ると蓮巳が肩を竦めた。
「ん、あ、ちょ、き、りゅ……っ」
「な? ピアスよりこっちがいいだろ?」
「まだ、する気……っ、なの、か」
「身体キツイか?」
一応、明日が休みなのは踏まえた上だが、身体の負担は蓮巳の方が大きいし、体力差もあるから、無理に進めるつもりはない。
だから、蓮巳の判断に委ねるってことで問いかけてみたが。
「……キツイ。だが」
「だが?」
「その、あと一回……だけしたい」
耳を赤く染めながら、言われた日には抑えなんてきかねぇ。
「一回だけ、な」
「繰り返さなくていい!」
蓮巳の耳から口を離し、首筋に唇を滑らせる。
小さな喘ぎが耳に滑り込んでくるのを心地良く思いながら、もう一度蓮巳を抱くために動き始めた。
- Memo
- 鬼龍くんの髪型やピアスの数が変わったのは、蓮巳の指示が元だと楽しい&デッドマンズ時代の勝手な妄想を絡めてみた。
そして、書いた後に蓮巳に鬼龍くんのピアス痕を舐めさせるネタを突っ込もうと思っていたのを忘れていたので、別の話で使うw