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紅敬♀による生理ネタ<あんさんぶるスターズ!・紅敬♀>

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紅敬♀はシリーズとして形に纏め始めたら、適度なタイミングでJunkに置いているものは消します。

それまでは書きたいとこが書けたらJunkに置いておくことにします。

今回のは蓮巳♀に初めて生理が来たときのネタ。

中途半端な流れでも構わないという広い心で読んで下さる方どうぞ。

 

「……くそ。特に変なものを食べた覚えはないんだがな」

 

どうも、ホームルームの辺りから腹の調子がおかしい。

下腹部全体に響くような痛みが続いている。

朝食にしろ昼食にしろ、特に腹を壊すようなものは食べていないはずだが、気に掛かるのは、腹の痛みがこれまでに経験したものと、何となく種類が違うような気がすることだ。

痛みに加えて、内臓を直接鷲づかみされているような感覚もしんどい。

放課後は紅月のユニット練習の為に練習室を確保してある。

生徒会にも少し昼休みに処理しきれなかった仕事を残してきていた。

あまりぐずぐずしている時間はない。

しかし、この状態なら練習の前に保健室に寄って、痛み止めでも貰ってきた方が良さそうだ。

痛みを抱えたままでは、練習を始めても集中しきれないのが目に見えていた。

どうせ、借りてある練習室は目の前だし、鬼龍や神崎のどちらかはもう練習室にいるだろうから、少し遅くなる旨だけ告げていくかと練習室へと足を進める。

 

「っと。おう、旦那。今、借りた練習室の鍵開けとい……ん? どうした? 何か顔色悪ぃぞ」

「鬼龍」

 

ちょうど、廊下の角を曲がったところで練習室から出て来たところらしい鬼龍と鉢合わせた。

 

「少し腹が痛むだけだ。大したことはない。ちょうどいい。保健室に寄って薬を貰った後、生徒会で少し仕事を済ませてから練習に合流するから遅くなる」

 

用件は伝えられたから、そのまま保健室に向かおうと再び来た道へと進路を変える。

 

「腹? 胃じゃなくてか。大丈夫かよ。珍しいな、旦那が腹壊すなん……」

 

言いかけた鬼龍が俺の背後に回って、肩に腕を回してきた。

肩を抱くような仕草と思いの外近くにきた顔に、つい眉を顰めてしまう。

 

「……何だ、校内だぞ」

「あー……その、な。旦那。ケツ、血ついて汚れてる」

「ん? 血だと? 怪我をしたような覚えは…………っ!?」

 

俺と視線を合わせないままに耳元で囁いてきた鬼龍の言葉で、ようやく腹の痛みの理由と現状を把握した。

そういう、ことか。

身体が女に変化してから、二ヶ月余り。

今までそれが来たことはなかったが、女の身体であることを考えれば、いずれ訪れる可能性があることは考慮すべきだった。

いつ制服を汚したのかと思うと、羞恥で顔が熱くなって行くのを自覚する。

 

「目立つ、か?」

「ちょっとな。とりあえず、トイレ寄ってから保健室行こうぜ。自分の目で確認しとけ」

「……すまん」

 

鬼龍が背後に回ってくれたのは、汚れを隠す為だったようだ。

こいつも言いにくかったのだろう。

ここから一番近いトイレまでそう離れてないのは幸いだった。

 

***

 

「まだ使ってねぇハンカチだ。宛がうのに使っとけ」

 

トイレの前で刺繍入りの白いハンカチを差し出され、一瞬だけ躊躇いはしたものの結局は受け取った。

確かに制服を汚すような状態なら、トイレットペーパーで凌ぐのは限界があるだろう。

真新しい上に、鬼龍が施しただろう綺麗な刺繍つきのハンカチを汚すのは忍びなかったが、他に流用出来そうなものも今はない。

 

「……すまない。後日買って返す」

「気にしなくていいから、とっとと行ってこい。待っててやるから」

「ああ」

 

幸い、トイレには誰もいなかったことにほっとしながら、個室に入ってスラックスを下ろしたところでつい手の動きが止まってしまった。

 

「……っ」

 

鬼龍がちょっとと言ったのは、気遣っての発言だったようだ。

鬼龍と会うまでは人とすれ違った覚えがないのが幸いだったと言うべきだろう。

予想以上にスラックスには汚れがついていたし、下着はさらに酷かった。

股の部分がどす黒い血で汚れているのは中々衝撃的な図だ。

よく、女の方が血は見慣れているから、出血シーンに耐性があることが多いなんて言われているのを聞くが、これを日常で目にするとなれば、それも頷ける。が。

 

「……これが今後毎月……だと?」

 

それも一日二日ではなく、数日続くはずだったと考えるだけでも目眩がする。

女の身体に変化してからも鬼龍と肌を重ねたことで、自分の身体の状況を認識出来たつもりでいたが、生理が訪れることについては正直あまり考えてなかった。

もしかしたら自分でも無意識のうちに思考から追いやっていたのかもしれない。

替えの下着が保健室にあればいいが。

いや、それ以前に生理用品の備えなんてあるのか?

転校生が来る前までは、夢ノ咲学院のアイドル科には男しかいなかったから、保健室を利用するのも男ばかりだった。

普通科の保健室ならまだしも、こっちの保健室に用意があるだろうか。

しかし、ダメ元で聞いてみる他ないだろうな。

つい、口を吐いて出た溜め息に、余計気が滅入る。

とりあえず、貰ったハンカチを細長く折りたたんで下着の股の部分に置き、再び下着とスラックスを上げる。

着替えたいが、流石に制服の替えは学院に置いてないから、後で練習着にでも着替えよう。

トイレから出ると、入り口近くにいた鬼龍がすぐ俺に気付いた。

 

「おう。大丈夫か」

「ああ。すまん。人払いもしてくれていたんだな」

 

個室に入っていたとはいえ、色々不審だっただろうから、正直人が来なくてほっとした。

 

(中略)

 

「失礼します」

「おう。蓮巳か。珍しいのが来たな。顔色悪いけど、どっか怪我でもしたか?」

「……と、その」

 

どう切り出したものかと言い淀んでいると、それを遮るように鬼龍が言葉を発した。

 

「蓮巳。今日はもう帰った方がいいだろ。とりあえず、カバン持ってきてやるよ。教室だよな? あと神崎にも伝えてくる」

「あ、ああ……頼む。それと生徒会にも今日は行けないと言付けを頼んで良いか」

「生徒会な。生徒会のやつなら、誰でもいいな?」

「ああ」

「わかった。じゃ、ちょっと行ってくる」

 

自分がいると話しにくいだろうと配慮してくれたのだと察しがつく。

それが有り難く、同時に申し訳なかった。

 

***

 

「なるほどな。身体が変わってから、初めて生理が来たってことか」

「はい、そうなります」

「おまえ、頭良いから保健体育の授業でやったくらいの知識はあるよな?」

「はい。それなりに理解はしていると思います。その、二十八日毎に来ると考えていいんですよね?」

「基本はな。ただ周期については個人差が大きいし、おまえは女になったのもいきなりだから、もしかしたら周期が安定しない可能性もある。しばらくはいつ来ても対応出来るように準備しておくこった。一応、ここにも多少用意はあるけどな。期待されるほどはない」

 

佐賀美先生が棚からナプキンを取り出して、俺に三枚ほど手渡してきた。

 

「あと、血液の染みの落とし方分かりますか」

「あー、それならオキシドール使っとけ。綺麗に元通り……とは言い難いが、血はあらかた落ちる。その後洗濯しときゃ、制服は多分大丈夫だろ。染み抜きにはそこにあるタオル使っていい」

「すみません」

 

なるほど、化学反応を利用するというわけか。

しかし、制服の汚れを落とすにも一度脱がなければならないわけで、流石に汚れた下着一枚になるのは躊躇われた。

男だった時には下着一枚の姿なんてどうということはなかったが、今は状況が違う。

いくら、カーテンでベッドを覆い隠していてもだ。

先生の方は仕事だし、わざわざ見もしないだろうが、俺の方で抵抗がある。

どうしたものかと考えあぐねていると、保健室の戸がノックされた。

 

「失礼。今、入ってもいいっすか」

 

外から聞こえてきたのは鬼龍の声だ。

つい、カーテンを開けて顔を出したところで、佐賀美先生がどうする?と言う意味で保健室の扉を示したから、頷く。

 

「おう」

「ども」

 

短いやりとりに続いて、鬼龍が保健室に入ってきた。

そのまま俺の方へと向かってきて、カーテンの中へと入り込む。

 

「よう。とりあえず、カバンな。あと、てめぇの練習着持ってきた。そのままじゃ帰りにくいだろ。それと、これ」

「ん?」

 

手のひらを上に向けられ、押し付けるような形で乗せられた小さく折り畳まれた布に疑問の目を向けると、潜めた声が返ってきた。

 

「急場しのぎだが作ってみた。無いよりゃましだろ」

「……こういうものまで作れたのか、貴様」

 

布を開いてみると、花柄の布で作られた女性用の下着。

鬼龍が一通りの裁縫が得意なのは十分知っていたつもりだが、下着を作るという発想はなかった。

 

「スマホで作り方見かけたから、試しに一枚な。多分サイズは大丈夫だと思う」

「…………すまん、本当に助かった」

 

これで着替えについては問題がなくなった。

カーテンで遮られているから、佐賀美先生からは見えないだろうと鬼龍の肩に頭を乗せる。

どうにも、一人だと動揺するだけだっただろうから、こいつが傍にいてくれたことが本当に心強い。

ぽん、と頭に手を置かれ、軽く撫でてくれてから鬼龍の手が離れた。

 

「気にすんな。着替えたら家まで送ってやるよ」

「ん……」

 

(中略)

 

「…………旦那。腹、痛むのか?」

 

つい、腹を庇うように歩いてしまっていたのを悟られたらしい。

隣を歩いていた鬼龍が足を止めて尋ねて来たから、正直に告げた。

 

「佐賀美先生と話をしていて、結局痛み止めを貰い忘れたからな。話の最中はそう気にならなかったんだが」

「ここからならドラストやおまえの家行くよりは、俺の家の方が近いな。うち寄って少し休んでいくか? 痛み止めもあったはずだ」

「頼む」

 

(中略)

 

***

 

「ほら。薬。あと、水も」

「ありがとう」

「それとこれもやる。少しの間もつだろ」

 

渡されたのは未開封のナプキン。

薬はともかく、さすがにこっちまで差し出されたのには驚いた。

 

「何で――」

 

言いかけて気付いた。そうだ、こいつは妹がいたんだった。

 

「あー……まぁ、男所帯なんでこの手の話は確かにしにくいが、母ちゃんいねぇからってのを理由にしたくねぇし、いつなっても問題ねぇように用意はしてあったんだよ。早いやつだとそろそろくるらしいからな」

「そういう、ものなのか」

 

鬼龍の妹はまだ幼く見えるのにと少し驚いた。

俺の母親は健在だが、元々は男兄弟だったからかそういう情報にはどうも疎い。

 

(中略)

 

「少し横になるか? しんどいんだろ?」

「……すまん。ベッド借りていいか?」

「ああ」

 

鬼龍のベッドに潜り込んだところで、鬼龍も俺の横に入ってきた。

そのまま腕の中に抱きすくめられて、鬼龍の体温が服越しに伝わってくる。

優しい温かさに何となく痛みが軽減した気がした。

多分、薬が効いてきたせいだけでもないんだろう。

気分が楽になったのは、こいつがいてくれるからだ。

鬼龍の背に腕を回しシャツを掴むと、鬼龍の手が俺の背を宥めるようにぽんぽんと叩いた。

 

「しんどい時に、自分一人で抱えようとすんなよ、旦那。てめぇはどうも自分に対して厳しいとこあるからな。……特に身体変わっちまってから、張り詰めた糸みてぇで時々心配になる」

「鬼龍」

「俺に甘えて頼れ。せめて他に誰もいないところでくらいそうしたって、バチは当たらねぇよ」

「……そうだな」

 

足も絡めて、鬼龍の体温を感じていると眠気が襲ってきた。

元々、紅月で練習するつもりだった時間を考慮すれば、家に帰るつもりだった時刻まではまだしばらく余裕がある。

少しウトウトさせて貰うくらいはいいだろう。

 

「……二時間ほど寝てもいいか」

「ああ。何ならこのまま泊まって行ってもいいぜ」

「泊まるとなると、余計に……貴様に世話を……かけて、しま……」

 

眠気から意識が大分朧気になってきた。

いいから世話やかせろ、と鬼龍が言ったような気もするが、それに応じる余裕はもうなかった。

 

***

 

「旦……」

 

妹と父ちゃんの夕食を用意してきたところで自分の部屋に戻って、蓮巳を起こそうとしたが、あまりにも血の気が引いた白い顔してるもんだから、つい呼びかけたのを抑えちまった。

そっと枕元まで近付いて旦那の様子を窺うと、腹が痛むのか眉間に皺が寄っている。

軽く髪を撫でてやると、険しかった表情がほんの少しだけ緩んだ気がした。

…………こんな様子を見ちまうと、帰したくねぇのが本音だ。

自宅の方が休めるのかも知れねぇけど、蓮巳の家は少し山奥にあって、辿り着くまでに石段を結構のぼる必要がある。

本調子じゃない身体だと多分キツイ。

俺が背負って行ってもいいが、蓮巳が気にするだろうし、蓮巳の家まで送り届けるとなると、時間的に俺が家に帰りにくくもなる。

それにやっぱり心配だから傍で様子を見たいってのが一番大きい。

こいつがどこまで自覚してるか知らねぇが、今日の蓮巳は心細いのか、ずっと不安げにしていたのも気に掛かっている。

身体の変化で初めての経験が続きゃ仕方ねぇだろう。

 

「……悪い」

 

勝手に判断するなと後で怒られそうだが、今日はこのまま家に泊まって貰おう。

そうしたら、寝てる間に制服も洗ってやれるから、明日の着替えに困ることもねぇ。

俺のスマホには蓮巳の自宅の電話番号も入っている。

山奥のせいで、所々電波の通じない場所もあるからと教えて貰っていた。

電話帳から蓮巳の自宅の番号を引っ張り出して、電話を掛ける。

数回のコールで旦那の母親が電話に出た。

 

(中略)

 

「ん……?」

 

ぼんやりとした視界と意識で、一瞬状況が把握出来ずにいたが、そういえば鬼龍の家に寄ったことを思い出す。

 

「よう、目ぇ覚めたか」

「鬼龍……今、何時だ?」

「十一時ちょっと過ぎたとこだな。軽く何か食うか?」

「じゅっ……!? 何で起こさない!」

 

驚いて上体を起こしたが、その途端に目眩がし、ベッドの上に慌てて手をつく。

鬼龍もベッドに腰掛けて、よろめいた俺の身体を支えるように抱いてくれたから、そのまま体重を預けた。

 

「顔色があんま良くなかったから、起こす気になれなくてよ。悪い。おまえの家にはもう連絡してある。ユニットでの打ち合わせをしたいから泊めるって」

 

これまでにもユニットの話を詰める為に鬼龍の家なり、俺の家なりに泊まることはあったし、俺の性別が変わったことを外部に悟られない目的で、基本的な生活は変えていない。

だから、泊まると言ったところで、家族がそれに異を唱えることもまずない。

 

「あと、おまえが寝てる間に制服とかは洗濯しといた。ほとんど染みは残らずに済んだから、明日は制服着ていけるぜ」

「あ……」

 

鬼龍の机の上には洗濯済みの俺の制服一式と、下着にハンカチも纏めて置いてあるのが見えた。

 

「……すまん。色々と世話になってしまったな」

「気にすんな。恋人の特権みてぇなもんだろ」

 

(中略)

 

「風呂借りていいか」

「おう。ほれ、タオル。あと着替えも」

「……また、作ってくれていたのか」

 

今、身に着けている下着とは違うデザインのものが差し出された。

今度はご丁寧にブラの方まで揃えてある。

先程学院で渡された下着よりもレースやらリボンやらの装飾が増えて、如何にも女性の下着というものに仕上がっていた。

 

「あー、てめぇが寝てる間、手持ち無沙汰だったからな。……女物の下着つけるのはやっぱ気になるか?」

「……気にならないと言えば、嘘にはなる、が」

「が?」

「……貴様くらいしか見ないものだ」

 

***

 

とりあえず、ここまで。

下着も作ることで、蓮巳が身につけてるもの全部、自分の手によるものなんだなと鬼龍くんが嬉しがったり、いちゃいちゃするときにもそれを見て興奮するとか、何枚か作っていってるうちに、下着のデザインに凝るのがどんどんエスカレートしていったりとかすると楽しい。(私が)

 

 

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