2015年の冬コミペーパー用話。
寝ている蓮巳にいたずらする鬼龍くん。
※既に付き合っている&夢ノ咲卒業後に同棲している前提で書いています。
初出:2015/12/29(遅れてUPしたので実際は数日プラス)
文字数:2218文字 裏話知りたい場合はこちら。
「……眠けりゃ、ちゃんとベッドで寝ろって言ってんのに。ったく」
実家から自宅に戻って、まず目に飛び込んできたのは、リビングのソファで横になり、読みかけだろう本を腹の上に置いた状態で寝ている蓮巳の姿だった。
こいつは元々の生活習慣上、かなり早寝早起きの性質だから、普段は十時を過ぎると大体寝ちまっている。
一応、大学での付き合いや仕事の関係で、高校時代よりは就寝時間が遅くなっているが、それでも今みたいに十一時なんて時間になるとほとんど起きていない。
「今日帰ってくるのは十一時過ぎになるから、先に休んでて良いって言ってあったのにな」
なのに、ソファで横になってるってことは、俺が帰ってくるのをここで待つつもりだったからだろう。
ソファに近付いて、蓮巳の頭近くでしゃがみ込むが、目が覚める様子はない。
旦那がかけっぱなしだった眼鏡を外してみても、身じろぎ一つしなかった。
整った鼻筋の両脇には、ほんのり赤くパッドの痕が残っている。
どうせ、まだ起きやしねぇだろうと、その痕に軽く唇を触れさせるだけのキスを落としてみた。
長めの睫毛が微かに震えたが、まだ目は閉じたままだ。
何となく無防備な姿に悪戯心が湧いて、もう少し強く、今度は舌先で痕を押すように触れてみる。
旦那は眼鏡を外すと、ほとんど見えねぇからって、寝る時以外はほぼ外さない。
セックスの時もだ。
俺には蓮巳の顔が見えていて、自分には俺の顔が見えないっていう状況になるのは、面白くないなんて言いやがる。
そんなんだから、激しい動きに意図せず外れちまうことはあっても、普段眼鏡に覆われている瞼なんかに、キスすることは少ねぇんだよな。
そう考えると、良い機会かも知れねぇ。
邪魔な眼鏡を外してんだから、今のうちに普段キスしない場所にしてみるのも一興だろう。
蓮巳の前髪を軽く指で除けて、まず額にキスしてみる。
次は瞼。音は立てない程度に軽く唇を触れさせる程度にして、さらに頬へと進ませる。
健康的な生活と、こいつ自身が他者から見られるというところに気を配っていることもあって、肌触りはどこもいいが、頬は特に触り心地が良いんだよなぁ。
左右それぞれの頬にキスしたところで、視界の隅で蓮巳の指がぴくりと動いたのが見えたが、それには気付かないふりだ。
耳にも軽く唇を滑らせておいて、輪郭も唇で辿っておくが、唇はわざと避けた。
唇以外の顔のパーツには一通りキスしたなってところで、もう一度額にキスすると、肩を掴まれ、止められた。
「……鬼龍。いい加減にしろ、貴様……っ」
気付けばすっかり顔を赤くした旦那が、目を開けて俺を睨み付けた。
「おはよう、旦那。悪ぃな、起こしちまったか」
「ああ、誰かのせいでばっちり目が覚めた。……貴様、絶対俺が途中で起きたことに気付いていたな?」
「さぁな。目が覚めたならベッド行こうぜ、身体痛めちまう。っとに、遅くなる時は、先にベッドで寝てて良いって言ってんのに」
「うるさい。……ここだと、少しうとうとしてしまったとしても、貴様が帰ってきたら、直ぐ気付けると思ったんだ」
照れ隠しなのか、かけてもいない眼鏡のブリッジを上げようとして、指が途中で止まる。
益々、赤くなった顔につい笑っちまったら、旦那が舌打ちする音が聞こえた。
「おい。眼鏡を寄越せ。貴様が持ったままなんだろう」
「ああ、持ってるぜ。けど、返す前に……っと」
「ん……!」
旦那の顎を捉えて、唇を重ねる。
さっきまで、他のパーツにしていた軽めのキスとは違い、舌で唇を割り、迎え入れてくれたところで蓮巳の舌を軽く吸ってから、歯列、上顎と順に攻めていく。
「ん、ん……」
上顎をじっくりと舌全体を使って弄ったところで、旦那の手が俺の両肩に縋るように掴んで来た。
それを合図にするように、舌と舌を絡め合わせてから、唇を離した。
体勢の所為もあるんだろうが、少し旦那の息が上がっている。
手にしていた眼鏡を渡すと、蓮巳が直ぐにかけて、身体を起こす。
「……何でさっきはわざと避けた」
「ん? ああ、唇へのキスか。そりゃ、唇は普段からしてるし、起きてる時にキスして、反応見るのが一番だからな。寝てる相手にディープキスかますわけにもいかねぇだろ?」
「趣味が悪いぞ、鬼龍。度し難い」
「んなこたねぇだろ。男としてごく健全な趣味だと思うぜ?」
「人が目覚めたのを分かった上で、わざと焦らすように避ける真似のどこが健全といえるのか、聞かせて貰いたいものだな」
こっちの思惑はバレバレだったが、蓮巳も今の言葉の中であることを告白したも同然だ。
「ってことは、旦那はさっきので焦らされたって解釈してもいいんだな?」
「………………鬼龍。貴様」
旦那が俺の胸ぐらを掴んできたが、引き寄せた顔がまだ赤いままだし、大した効果はない。
実際、旦那にしても掴みはしたものの、それ以上何か言ったり、したりする様子もねぇ。
掴んできた手に、自分の手を重ねて蓮巳の耳元で低く囁いた。
「せっかく目が覚めたんだったら、俺としちゃ旦那の顔と言わず全身にキスしたいとこなんだけどよ。どうする?」
「……しばらく眠れそうにない。起こした責任は取れ」
「おう。そうこなくっちゃな」
今度は蓮巳の方から顔を寄せて来たから、目を閉じてキスを受け入れる。
火が着いた旦那がお返しとばかりに、こっちの口の中をこれでもかってくらいに、舌を使って掻き回していった。
こりゃ、全身にキスするまでなんて、理性がもたねぇだろうなと頭の片隅で考えながら、旦那の襟元のボタンを外し始めた。
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