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カレーとキス<あんさんぶるスターズ!・紅敬>

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既に付き合っていて、同棲している前提の紅敬。

カレーを作る蓮巳が書きたかったはずなのに、書いている最中にTwitterのトレンドからキスの日だと気付いたせいでただちゅーしてるだけな感じにw

初出:2016/05/23 

文字数:2047文字 裏話知りたい場合はこちら

 

「何か、材料切ったりするのだけでも手伝うか?」
「いらん。問題ない。貴様はそのままテレビでも見て待っていろ」 

カレールーの箱に書いてあるレシピは、メーカーが研究した結果によるものだから、それに沿って忠実に作るのが一番美味しいはずだという蓮巳の主張のもと、今日は蓮巳が夕食にカレーを作ってくれている。
蓮巳は料理自体は手慣れてねぇが、元来、几帳面なところはあるから、レシピに沿って料理を作る分には大した問題はねぇ。
不慣れな分、材料を切ったり細々とした準備なんかは、多少手間取る面はあるものの、レシピに忠実であろうとする結果、変な事をやらかしたりもしねぇから、美味いものを作ってくれる。
まぁ、そんでもこいつはそうやってレシピ通りに料理しても、どこか適当にやっているように見える俺の料理の方が美味いと、イマイチ納得してねぇところなんかあるみてぇだが。
自室のドアは開け放しておき、蓮巳に言われたようにテレビを見つつ、旦那には悟られねぇように時々蓮巳の様子を窺ってると、程なくカレーの良い香りが俺のとこまで漂ってきた。
キッチンに立ってる蓮巳が微かに笑みを浮かべながら、お玉で鍋を掻き回している。
ちょうど飯も炊けたところで、旦那が慣れた手つきで食器棚からカレー皿を出し、盛り付けを始めた。
ここに引っ越した当初は俺の方が飯を作ることが多かったから、食器とかは俺が使いやすいように配置しちまったが、今は蓮巳もちゃんとどこに何があるかってのを把握している。
何となくこういうのって良いよなぁ、一緒に住んでいるって実感が湧くのはこんな瞬間だ。 

「鬼龍」
「おう」 

旦那が呼んだ声に応えて、ダイニングへと移動した。
テーブルについて、二人揃ったタイミングで頂きますと声を掛けてから、スプーンでカレーを口に運ぶ。
旦那は結構辛党だが、俺が実家で妹のことを考慮してルーは中辛を使っていたと言ったら、以来カレーは中辛のルーを使って作ることになっている。
カレーは程良い辛さと野菜と肉の旨味がしっかり出ていて、かなり美味かった。

「お、美味い! 火加減もちょうど良かったみてぇだな。おかわりあるか?」
「ああ。まだ余裕はある。しかし」
「しかし?」
「……納得いかん。やはり、貴様が作るカレーの方がずっと美味い」 

蓮巳が眉間にしわ寄せて、そんなことを呟いた。
せっかく美味い飯食ってんのに、渋い顔することもねぇだろうに。
向かい側に座っている旦那に手を伸ばして、眉間のしわを指先で伸ばすように突く。 

「あのよぅ、蓮巳。一応、数年に渡って実家で毎日のように料理してきた俺が、まともに料理し始めて数ヶ月のおまえに変わらないもんを作られたら、それはそれで俺の立場もねぇだろうがよ」
「だが……」 

結構、蓮巳は負けず嫌いの面があるし、加えて子どもっぽい部分もあるから、一度疑問に思ったことは自分の中で筋が通ってちゃんと納得するまでは、意見を中々譲らねぇとこがある。
一度納得しちまえばそうでもねぇんだけど、根が頑固なんだよなぁ。
だから、今回もそんなとこだろうと思ったが。 

「経験値が違うのは最初から分かっている。貴様に料理の腕が簡単に追いつくとも思っていない。が、俺はいつも鬼龍に美味いものを食わせて貰っているから、その分、貴様にも美味いものを食わせたい」

どうやら、それだけでもなかったらしい。
そういや拗ねてるっていうより、がっくり来てる時の顔だな、これ。
飯の最中じゃなきゃ、すぐにでも抱き締めたいくらいだ。 

「可愛いこと言ってくれるなぁ、旦那。俺としちゃ十分美味いって思ってるし、こうして旦那が作る飯を食えるってことが凄ぇ嬉しいのに」
「鬼龍」
「だから、変なこと気にすんじゃねぇよ。あ、おかわり貰うな」

もう少しカレーを食おうと席を立ちかけたら、蓮巳が俺の皿を持っていった。

「よそう」
「おう、サンキュ」 

旦那の方が鍋や炊飯器に近い場所に座っていたから、素直に旦那に任せる。
すぐにちょうどいい量の入ったカレー皿が目の前に置かれた。
そのまま、旦那が自分の席に戻るかと思いきや、俺の頬にキスを落とす。
食事の最中には行儀が悪いと、この手のことをするのはいい顔をしなさそうだと予想していただけに少し驚いた。 

「あ、しまった。頬にカレーがつい……んっ」

すかさず、旦那の腕を引っ張って、頭の位置を下げると今度はこっちから蓮巳の唇にキスをする。
同じカレーの味がしたのに興奮して、そのまま軽く舌も絡ませた。
唇を離すと、最初にキスを仕掛けた方の蓮巳が狼狽えて二の句が告げられないでいる。
そんな様子にこっちの口元が緩んでいくのを自覚した。 

「キスするなら最初から唇にしとけよ。どうせ、お互いカレーで口の周り汚れてんだし、気にするこたねぇだろ」
「……貴様」
「食った後、ちょっと休憩したら腹ごなしに運動しようぜ。いいよな?」 

勿論、ベッドでとまでは口にしなかったが、蓮巳なら今ので察しただろう。
目元を染めながら自分の席に戻って、後で覚えてろと呟いた旦那にお互い様だと返して、冷めねぇうちにと再びカレーを食い始めた。

 

 

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