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ぶかぶかのシャツ<花帰葬・黒親子>

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創作者さんに50未満のお題』で配布されている「甘々10のお題」からNo3。

一日一黒玄(※当時やってたメールマガジン企画で連日500文字前後の黒玄小説を書くというもの)で書いていたものの一つ。

初出:2005/04/22

文字数:514文字

 

「玄冬、今いいか……」
「うわ! 馬鹿、入るな!」

いつものように、返事を待たずに部屋の扉を開けると、そこには私のシャツを着た玄冬。
まだ成長途中にある身体は、シャツには合わずぶかぶかだ。

「……入るなって言ったのに」

赤い顔で拗ねたように言うのが可愛くて、つい笑ったらますます機嫌を損ねたらしく、睨まれた。

「ああ、いやすまない。私の服とどのくらい違うかを試していたのかい?」
「……ん。なぁ、俺もお前くらい大きくなれるか?」

まだ私の肩よりも低い背。
私の腕に収まるくらい小さかった頃を知ってる私としては、十分大きくなったと感慨深いものがあるのだけど。

「そうだな……。きっとなれるさ。君は好き嫌いもしないしね。もしかしたら私よりも大きくなるかも知れないよ?」

あの時は軽い気持ちで、頭を撫でながらそう言った。

***

「……まさか、本当に私の背を追い越してしまうなんてねぇ……」
「何か言ったか?」
「何でもないよ」

大きくなりすぎて、寂しい、なんていうのは贅沢なんだろうね。
育ってくれたのが嬉しいというのは嘘ではないけれども。
もうこの子がぶかぶかのシャツを着ているところなんて見られない。
視線が自分より少し上になった玄冬に苦笑した。

 

親子的に甘々な話。と当時書いてたけど、久々に読み返したら、どう考えても彼シャツの流れじゃん!と思った……w
いや、当時は親子で書いてたってことでここに置きますが。
2022年7月現在、まだ存在している数少ないお題サイトさん。

 

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