『創作者さんに50未満のお題』で配布されている「甘々10のお題」からNo10。
一日一黒玄(※当時やってたメールマガジン企画で連日500文字前後の黒玄小説を書くというもの)で書いていたものの一つ。
初出:2005/04/27
文字数:551文字
「ん? どうしたんだい、玄冬」
夜中に一人で寝台に横になったままで本を読んでいると、玄冬が泣きそうな目をして、私のところに来た。
いつもなら、ぐっすり眠っているはずの時間なのに。
「……嫌な夢、みた」
嘘だ、と直ぐにわかった。
夢ではなく、嫌な想像を何かしてしまって眠れずにいたんだろう。
でも、それはあえて言わずに本を置いて玄冬の頭をぽんと叩く。
「わかった。じゃあ、嫌な夢を見ないように何か話をしてあげよう。……こっちにおいで」
上掛けを捲って、玄冬を呼ぶとこくんと小さく頷いて、玄冬が私の横に入ってきた。
寄り添ってきた、小さなぬくもりがただ愛しかった。
***
しばらく昔話や童話などを言ってきかせていると、やがて玄冬の目がとろんとしてくる。
そろそろ、眠りそうかな。
少しだけ声のトーンを落として話をすると、ふいに玄冬が遮った。
「いっしょ、だよな」
「うん?」
「……黒鷹とはずっといっしょにいられるよな」
「……ああ、ずっといっしょだよ」
だって約束したじゃないか。
――俺が生まれてくる限り、殺し続けてくれ。
君がこうして生まれてくる限り、私は傍にいる。
ずっと、ずっといっしょだよ、愛しい子。
髪をそっと撫でて、笑った顔で眠りについた玄冬の額にキスを落とし、呟いた。
「ずっといっしょだよ」
誓いのように。
アホほど書いた春告げの鳥ネタの一つ。
カプ前提ではあるけど、この話単独ではあくまでも親子ということでこちらに。
(相手がまだ幼い玄冬なので)
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