昔、当サイトで配布していた『黒鷹好きさんへの10のお題』からNo10。
珍しくギャグ方向に走った。
初出:2005/06/15
文字数:459文字
「『玄冬』には守護する『黒の鳥』がいるらしいね」
酒場は噂の回りが速い。
そしらぬ振りをして、私はあちこちの地の酒場で『黒の鳥』の噂話を振りまいた。
「飛んでいるところを見ると不幸が舞い込んでくる」
「肉食で子どもを攫っては取って食う」
などなど。
思いつくものを片っ端から上げていって。
そうやって、確かに言いふらしたのは私自身であることに違いはない。
面白がってやっていたことも否定はしない。
だけれども。
「後悔しているだろう」
「……していないよ」
「強がるな。複雑そうな顔をしてるぞ」
噂はひとり立ちする。
尾ひれがつくというやつだ。
気がついたら、威力が増していた。
「目の前を過ぎると三日以内に身内が死ぬ」
「口が三つあり、三人の子どもを同時に食らう」
見事に化け物扱いだ。
玄冬と一緒に買い物の為に里に降りたりすると、最低でも三回はこういう言葉を耳にする。
「今からいい事を言いふらしても……」
「無駄だろうな。いぶかしむか、怪しまれるかのどちらかだ」
「う」
「諦めろ、自業自得だ」
少しは傷心の父を慰めてくれたまえよ、玄冬……。
これも珍しく成人した玄冬との健全親子話。
黒鷹の自業自得なのがわかってる場合の玄冬は容赦がないw
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