2020/12/05に開催されたキスブラ版ワンドロ・ワンライ第5回でのお題『眉』、『笑顔』、『名前』を使って書いた話です。
事後&二回戦前なので、当初、R-15くらいにしてましたが、R-18に引き上げました。
(性描写は薄めではあります)
初出:2020/12/05 ※ブラッド視点は2020/12/14
文字数:2754文字
[Keith's Side]
多分、仕事が忙しくてブラッドが普段よりも疲れ気味だったんだろうとは思った。
あまり顔に出ない方で、長い付き合いでも未だに表情を掴みきれねぇ時があるブラッドが、珍しくそんなオレにもわかるくらいには表情に疲労の色を滲ませていたからだ。
だから、今日はこのままセックスはせずに大人しく寝るだけにしておくかと問いかけたら、疲れマラってヤツだったのか、せっかくオフが重なったタイミングを、無駄にしてたまるかと突っぱねられた。
本人が積極的ならいいかとオレも応じた結果、ブラッドはコトが済んだあと、シャワーも浴びずに撃沈した。
正直かなり珍しい。
少し休んだ後に続けて二回戦するってならともかく、一回終わってそのままシャワーも浴びずに寝落ちるなんてのは滅多にあることじゃない。
眠りも深いのか、普段は睡眠の効率が悪くなると嫌がる腕枕をしても、それに気付かず眠り続けている。
ただ、することして、スッキリはしたのか、寝顔は随分と穏やかなもんだ。
眉も下がって、少し笑っているようにさえ見える。
「…………気分転換になってんだったら、いいけどさ」
オレとしてもこんなブラッドは早々見られねぇから、汗を含んだ髪のにおいや、服に隠れて見えなくなるはずの範囲に着けたキスマークを、ちょっとだけ追加して楽しんでいたら、不意にブラッドが目を覚ました。
「……っと、悪ぃ。起こしちまったか」
「キー……ス。今……何時、だ」
掠れた声でオレを呼ぶ声は、さっきまでの行為の最中に呼んでいた声に近くて、少しだけ鼓動が跳ねる。
「あー……日付変わってちょっとってとこか。お前が寝てからまだそんなに経ってねぇよ。もうちょっとそのまま寝とけ」
「…………ん」
ブラッドの髪を撫でながらそう言うと、ブラッドは柔らかく笑いながらオレの体にすり寄ってきて、腕を絡めた。
ほんのり汗ばんでいる肌が触れ合う感触は心地良い一方で、一度は収まったはずの欲が再び頭をもたげ始めてしまう。
疲れてるブラッドをこのまま寝かせといてやりたいってのは紛れもない本心だが、疲れているからこそ積極的だったさっきのセックスを思い出すと、もう一度したくなるってのも本心だから困る。
とはいえ、さすがに今日はもうダメだろと、なるべく意識を他の事に逸らそうと思ったところで、背に回っていたはずのブラッドの手が前に移動しようとしたから、慌てて手を掴んで止めた。
こんなタイミングでブラッドに触られたら、落ち着くモンも落ち着きやしねぇ。
「いやいやいや、疲れてんだろ、大人しく寝とけ!?」
「疲れているのは否定しない。少し眠くもあるが……それ以上にしたい」
「うわ、待てって、おい、ブラッド!」
ブラッドが体をずらして、腰をすりつけてくる。
臨戦態勢になりつつあるお互いのモノが擦れ合って――余計そこが熱くなったのを自覚した。
なけなしの自制心はあっさりと音を立てて崩れていく。
「キース。……ダメか?」
ダメ押しのように首を傾げながら、上目遣いで名前を呼ばれ、熱っぽい視線と声でねだられて。
なお、断れる男がいるのなら教えて欲しい。
しかも、こんなことを普段してこない相手にされた日には尚更だ。
白旗を挙げる以外に何が出来るっていうのか。
抑えていたブラッドの手を離し、ヤツの腰を撫でるとブラッドの吐息が微かに乱れた。
「…………この状態でお前にそう言われて、オレが断れると思ってんのかよ……」
「すまんな」
「いいけどさ。明日まともに動けなくてもしらねぇからな」
ま、強制的にブラッドを休ませられると思えばいいかと諦めて、勝ち誇ったような笑みを浮かべているブラッドの顔を引き寄せ、キスをした。
[Brad's Side]
肩に何かが触れた感覚に目を開けると、ごく近くにキースの顔があった。
「……っと、悪ぃ。起こしちまったか」
「キー……ス。今……何時、だ」
久し振りにキースとオフが重なったから、仕事が終わり次第、キースの家に訪れていたことを思い出す。
眠る前にセックスして――快感に何もかも手放してしまったことも。
疲れていたせいなのか、お互いに達したところで記憶がプツリと途切れている。
恐らく、そのまま眠りに落ちてしまっていたのだろう。
何時間も経ってはいないはずだが、最中に声を上げていたのと寝起きのせいか、どうしても声が掠れてしまう。
「あー……日付変わってちょっとってとこか。お前が寝てからまだそんなに経ってねぇよ。もうちょっとそのまま寝とけ」
「…………ん」
やはり、そう時間が過ぎてはいなかったようだ。
だが、それならまだ夜は長い。
キースに近寄り、その背に腕を回して絡める。
指先に感じた微かな違和感は、きっと先程の行為で俺がつけてしまった爪痕だろう。
疲れていたからなのか、キースにとにかく触れたくて、熱を求めて抱き合った。
俺の体を案じて、ただ寝るだけにするかと提案したキースを突っぱねて、理性をかなぐり捨てて求めた。だというのに、まだ熱は収まりきらずに燻っている。
恐らくは性的な意図を持たず、髪をただ優しく撫でてくれる手にさえ欲情してしまうくらいに。
肌を触れ合わせてると体温も上がるし、先程の行為の後、キースは軽く後始末してくれたのだろうが、まだ繋がっていた場所にもキースのペニスが収められていた感覚の名残がある。
俺の中を埋めていたそれに触りたいと、背に置いていた手を前に回そうとしたところで、キースが俺の手を掴んだ。
「いやいやいや、疲れてんだろ、大人しく寝とけ!?」
「疲れているのは否定しない。少し眠くもあるが……それ以上にしたい」
次にお互いのオフが重なるのは当分先だ。
それを思えば、触れられる時には触れておきたい。
「うわ、待てって、おい、ブラッド!」
腰を寄せ、固くなりかけていたペニスをすりつけると、キースの方も反応していたのが伝わる。
幾度か腰を擦り合わせれば、容易く挿入可能な状態にまでなった。
「キース。……ダメか?」
気が乗らないのであれば無理にさせたくはないが、出来れば気が乗って欲しいし、きっとこれでその気になってくれるだろうという確証もあったから、畳みかけてみると溜め息交じりにキースが掴んでいた俺の手を離し、その手で俺の腰を撫でてくる。
髪を撫でていた時とは違い、明らかに情欲を伴った触り方に、期待が体の芯を一層熱くしていく。
「…………この状態でお前にそう言われて、オレが断れると思ってんのかよ……」
「すまんな」
「いいけどさ。明日まともに動けなくてもしらねぇからな」
どのみち、明日も泊まって、明後日ここからそのまま出勤するつもりだった。
ならば、明日は動けなくなったとしてもキースが面倒をみてくれるだろう。
大体、普段は俺がコイツの面倒を見ていることを考えれば、その位、帳消しにもならんはずだ。
重なってきたキースの唇がここだけでなく、俺の体中に触れていく様を想像しながら力を抜いた。
お題が『眉』『笑顔』『名前』だったので、全部盛りで書いてみました。
が、全部使ったがために、結果それぞれの要素が薄くなったような気もしないでもない……。
別にエロ纏め用にと思ってたわけじゃないですが、ブラッド視点入れたらR-15よりはR-18にしちゃった方が無難な感じになったので引き上げました。
……何か前もこんなんやったなw
多分、私がブラッドはあまり婉曲的な表現せず、ダイレクトに性器の単語を口にしたりするって思ってるからかな……w
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