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Lovers and Hunter<月刊少女野崎くん・みこかし・R-18>

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みこかし←堀という関係の話になりますので、横槍が苦手な方はご注意下さい。

エロは比較的ぬるめ。

初出:2014/12/23 

文字数:6734文字 裏話知りたい場合はこちら

 

[御子柴Side]

 

何気なさを装う裏で、どれほど俺が嫉妬してるかなんて、おまえは分かっていねぇだろう?

 

***

 

「ん……あっ、ちょっ、落ち、着いてってば、みこ、し、ば……っ!!」

 

一度イッても腰の動きをやめない俺に、鹿島が休憩を訴えてくるがそれには応じず、逆に鹿島の膝裏を抱えて、もっと深く身体を繋げるために体重をかける。

その拍子に、耳に届いた悲鳴は苦痛ではなく、快感を表わしているのが分かるから嬉しい。

顔の近くにあった鹿島の膨ら脛にキスすると、鹿島の中がより濡れて、さっきよりも滑りがよくなったのが分かった。

そういや、抜かないままヤッてるけど、ゴムって二回分の精液入っても大丈夫なもんなんかな。

破れたりしないんだろうか、いや、いっそ破れちまってもいいんじゃねぇのとか、そんな考えが頭ん中をぐるぐる回る。

万が一、子どもとか出来ちまったら、困るのは俺よりも鹿島なのに。

だけど、そうなったら鹿島を完全に俺のものに出来るよなっていう下卑た思考がこびりついて離れない。

 

……分かっている。

こいつが堀先輩のことを口にするのなんて、それこそ俺たちが出逢った当初からだ。

部活だって一緒なんだし、共通の知り合いでもあるんだから、話題に上がることが多いのだって無理はない。

時々、複雑な感情は沸き上がるけど、先輩の事は嫌いじゃないし、今、鹿島と付き合っているのは俺だ。

鹿島にとっては、堀先輩のことはあくまでも尊敬する先輩として好きなんだと分かっている。

異性としての『好き』っていう感覚じゃない。

分かってはいるが、こいつは先輩も一人の男だって部分については全然分かっちゃいない。

 

――油断してたら、かっ攫うぞ。

 

部活が終わった頃、演劇部の部室に鹿島を迎えに行ってみたら、部室に残っていたのは鹿島と堀先輩の二人だけ。

一瞬、そのことに動揺したが、二人は演技の練習をしていただけだった。

鹿島の方は王子衣装なのに対し、先輩の方は普段通りの制服のままだったが、交わす台詞で即座に演技だと理解出来た。

 

――殿下。いや、もう臣下じゃなく、友人として言うぞ。おまえはあの姫が欲しいんだろう? なら、力尽くでも奪いに行けよ。

――手遅れではないだろうか。私は……一度、あの手を離してしまった。姫は勇気を振り絞って、私に手を伸ばしたのだろうに。

――物事に手遅れなんてことは、意外にねぇよ。本気で動けばどうにかなることは沢山ある。今回のはそうだと思うがな。婚儀だってまだなんだぜ?

――……ありがとう。腹は決まった。私は姫を迎えに行く! 廃嫡されようと構わない!!

――それでこそ、だ。ならば直ぐにでも行け。王宮内の混乱は俺がどうにかしてやる。

――感謝する!

 

そこで、場面転換したらしい。

二人の間の空気感が変わった。

 

――姫。

――殿下!? どうしてこちらに……!?

 

どうやら、堀先輩が今度は姫役になったようだが、先輩の演技が上手いからか不思議と違和感は感じなかった。

 

――遅くなって申し訳ない。貴女を迎えに参りました。

――今更……今更そんなことをおっしゃいますの。覚悟も決めましたのに、どうして……。

――自信がなかったのです。全てを投げ出して貴女と添い遂げる覚悟が。ですが、ようやく腹を決めました。もしもまだ間に合うようであれば。

 

王子役の鹿島が膝をついて、姫役を演じている堀先輩の手を恭しく取る。

 

――私と共に生きてはくれませんか。身分は失いますが、私は貴女以外の誰とも生涯を共にしたくはない。

――殿下……! 

 

堀先輩も身をかがめて王子の側に寄りそう。

 

――そう、おっしゃって下さるのをお待ちしておりました。私も身分など失っても構いません。ですが、貴方を失うのは……。

――姫……!

 

堀先輩の頬に鹿島が手を添えて、顔を近づける。

本当にキス出来そうなくらいに顔が近づいても、二人とも全く躊躇う様子がない。

二人が作り出す世界に圧倒されてしまって、その中に踏み込むことは出来なかった。

その癖、汗が背を伝っていく感覚だけは妙にリアルで、息を飲みそうになった瞬間――二人の世界が開放された。

 

「よし、上出来だ。流石だな」

「やったー! 先輩にそう言って貰えるのが一番嬉しいです!!」

 

近づいていた顔が離れて、いつも通りの二人になる。

ぴんと張り詰めていた空気は、いとも簡単に霧散した。

 

「ん?」

「あ、御子柴! いつからいたの?」

 

そして、二人揃ってこっちを向いて、俺の存在に気付き、俺もそこで我に返った。

 

「あ、ああ。少し前から。……凄ぇ、めちゃくちゃ圧倒された。今度の劇のか?」

「そ! 先輩、演技上手いから圧倒されるよね!」

「ああ? おまえがバッチリハマってたからだろう、王子様」

「いや、二人とも凄かったっす。流石ですね」

 

お互いがお互いを忌憚なく賞賛する。

そのやりとりに微かな胸の痛みを覚えながらも、何気ないように振る舞う。

 

「あ、ごめんね、待たせて。直ぐ着替えてくるから!」

「おう、慌てなくてもいいぜ」

 

衣装を着たままだった鹿島は、そのまま部室の奥にある更衣室に行った。

 

「じゃ、おまえたちに部室の鍵預けちまっていいか?

もう、片付けは済んでるし、特に用事もないし、俺、先に帰らせて貰うわ」

「あ、いいっすよ」

 

先輩から鍵を受け取ると、先輩は床に置いていたカバンを肩にかけるように持った。

 

「じゃ、お先」

「お疲れ様っす」

「お疲れ様でーす!」

 

更衣室の方から、鹿島の声も届く。

先輩が部室を出て行こうとしたその時。

俺とすれ違いざまに小さな呟きが聞こえた。

 

「油断してたら、かっ攫うぞ」

「!?」

 

その言葉に振り向いたときには、もう先輩は廊下に出ていた。

誰をとも、何をとも言ったわけじゃない。

だが、まるで挑発するかのように聞こえた言葉の意味は、瞬時に理解出来てしまった。

かっ攫うと言うのが、どういうことを示しているのかを。

 

***

 

「渡す、かよっ……!」

「んっ!!」

 

熱い吐息を零している鹿島の唇を貪るように吸った。

こうして吸えば即座に応じるようになった柔らかい唇も、時に甘えてねだる仕草も、極まった時に聞ける子猫の様な嬌声も、俺の形をすっかり覚えて、優しく包んでくれる身体も俺が手に入れたんだ。

唇を離すと、唾液が軽く糸を引く。

半開きの濡れた唇が、酷く扇情的に見えて止まれない。

時々角度を変えて、ごつごつと鹿島の奥を突いた。

隅々まで擦って、俺のが触れてない部分がなくなるように。

 

「あっ、ん、みこ、し……ばっ、気持ち、良い……っ!」

 

心なしか、さっきよりも鹿島の中が熱を持ったように思えた。

時々、収縮する膣内が求めてくれているのは、こうして今繋がっている俺だ。

堀先輩じゃない。

粘着質な水音と乱れた呼吸。

自ずと腰の動きが速くなっていく。

再度、悦楽の頂点を目指して。

 

「あ、あ、み、こし……ああ、あーっ!!」

「かし、ま……っ!!」

 

俺の肩に回された手に力が入って、俺も一番奥に先っぽを押しつけるようにしながらイッた。

……絶対に、かっ攫わせたりなんかするもんか。

汗を含んだ鹿島の髪を梳きながら、もう一度鹿島にキスをした。

 

[鹿島Side]

 

「ん……あっ、ちょっ、落ち、着いてってば、みこ、し、ば……っ!!」

 

つい今し方イッたはずなのに、御子柴は動きを止めない。

どこか苦しそうにも見える表情で、私の膝裏を抱えて、もっと深い部分まで入り込んで来た。

お腹の奥から突き抜けていく快感に、つい声を上げてしまうと、御子柴の口元が笑みを浮かべて、膨ら脛にキスされた。

まだ、さっきの快感も残っている身体は、そんな御子柴の仕草でつい反応してしまう。

繋がった場所の水音が今まで以上に大きく響いた。

こうやって、御子柴とセックスするようになってしばらく経つけど、時々、何か余計なことを考えながらしてるんじゃないかって、思うことがある。

ふとした瞬間に、不安そうな表情が過ぎっているんだよね。

理由までは分からないけど、こうして付き合う前から私達は親友だったんだし、ちょっと様子がおかしいの位は分かる。

御子柴は私の中に何を見ているんだろう。

……そういえば、今日は帰る時から微かに違和感があった。

 

――お待たせ。帰ろう! ……御子柴? どうしたの?

 

私が声を掛けても、御子柴は廊下の方を凝視していて、肩を叩いてようやく私に気付いたみたいだった。

その後、一緒に御子柴の家に行ったら、御子柴の部屋に入るや否や、強く抱き締められた。

今日はまず一緒に宿題をやるつもりだったのにだ。

けど、どこか思い詰めたような表情に、文句を言う気は失せて、今、こうして繋がっているわけだけど。

先輩に何か言われたりでもしたのかな。

でも、御子柴と私が付き合うことになったって先輩に言った時には、恋愛は役者としての幅を広げる経験になるし、部活さえサボる口実にしなきゃいいことだって、賛成してくれたくらいだから、あまりその線もないような気がする。

でも、それなら。

御子柴をこんな風に駆り立てている正体は何だろう。

 

「渡す、かよっ……!」

「んっ!!」

 

御子柴の唇が強めに私の唇に吸い付いてくる。

もう、何度もキスしてすっかり覚えた感触は気持ち良い熱を孕んでいる。

渡すかよ、って聞こえた言葉は、誰に、何に向けているんだろう。

私はちゃんと御子柴の目の前にいるのに。

唇が離れると、動きがさっきよりも激しくなる。

御子柴が擦ってくれる場所から、強い快感が伝わった。

 

「あっ、ん、みこ、し……ばっ、気持ち、良い……っ!」

 

セックスし始めた最初の頃は経験もなかったし、痛かったけど、最近は気持ち良さの方がずっと勝っている。

思わず、御子柴の肩に回した腕に力が入ってしまったけど、その瞬間、御子柴が凄く優しい目をして私を見た。

 

「あ、あ、み、こし……ああ、あーっ!!」

「かし、ま……っ!!」

 

ずん、と一番深い場所に来た衝撃に、再び全身を快感が駆け巡る。

力が入らずに緩めてしまった腕で、御子柴の肩や腕を触る。

よく、体格が近いとは人にも言われたりするけど、こうやって直接触ってみると、御子柴の身体はちゃんと男の人のもので、自分の身体とは全然違う。

きっと、御子柴も私に対してそう思ってるんじゃないかな。

 

――凄ぇ、柔らかい。やっぱり女なんだな、おまえ。

 

初めて抱き締められた時に、そんなことを言われた。

そういう感覚はきっと近いものを抱いていると思うのに、まだどこかが遠く感じる。

それが私は少し切ない。

何か、引っかかるものがあるのなら、教えて欲しいのに。

髪を撫でられて、キスをされながら、いつか遠く感じる部分が全部消えてなくなりますように、なんてことをひっそり願った。

 

[堀Side]

 

気付いたのが遅かったのは、俺の不覚だった。

が、まだチャンスはあるものだと正直思っている。

 

***

 

次の演目の姫役が、今日は体調を崩して休んでいた。

一人でも練習できるけど、距離感を確認したいと鹿島が俺に演技指導をして欲しいと依頼されたので、そんな頼みに応じた。

他の部員が一通り引き上げた部室で、演技を開始し、それに没頭するのは珍しくない。

が、今日に限っては、俺は少々他の事を考えていた。

 

――殿下。いや、もう臣下じゃなく、友人として言うぞ。おまえはあの姫が欲しいんだろう? なら、力尽くでも奪いに行けよ。

 

今度の演目は、例によって野崎に頼んだ台本だった。

特に詳しい指定はしなかったが、どうにも自分の痛い部分をついたように思えてならなかった。

 

――手遅れではないだろうか。私は……一度、あの手を離してしまった。姫は勇気を振り絞って、私に手を伸ばしたのだろうに。

 

鹿島から向けられた好意は、あくまでも『演劇の目標とする先輩』としてだって思ったし、俺もそれに応じようとして、いつしか好意は持ったが、あくまでも男女としてのものではなかった。

使い古された言い回しをするなら、ラブではなくライク。

鹿島が御子柴と付き合うようになったって聞いた時も、恋愛ごとは鹿島の演技の幅を広げることになるだろうと、歓迎さえしていた。

だが、二人が付き合い始めてしばらくした頃。

ほんの数日だったが、二人の表情にそれまでにはなかった変化が現れる。

部活が終わった後に迎えに来た御子柴に、鹿島が一瞬だけ頬を染めて目を逸らし、御子柴もそれに気恥ずかしそうに応じていた。

それまでは、付き合うと言っても、特に変わった様子もなく、今までと何が違うんだかとさえ思っていたから、ようやく付き合った自覚でもしたのかと捉えていた。

が、それが数日続いたところで、それまでと違った変化の正体をようやく理解した。

二人が一緒に帰る際に、そっと繋いだ手の指が、お互いの感触を確かめるように絡み合ったのが見えた時の衝撃は忘れない。

身体の関係を持ったのかと、直感で認識した瞬間に覚えた、胸を焦がすような痛み。

部活の終わりなんて、来なければ良い。

鹿島を渡したくないと思ってしまった。

それが、ただの独占欲でなく、恋情故だったと自分で認めるのにも時間がかかった。

だけど。

 

――物事に手遅れなんてことは、意外にねぇよ。本気で動けばどうにかなることは沢山ある。今回のはそうだと思うがな。婚儀だってまだなんだぜ?

 

劇中で王子の友人が言った台詞のように、今二人が付き合っていても、結婚したわけじゃない。

最初がどうであれ、最後の男にさえなればいい話だ。

ならば、俺にだって十分にチャンスはある。

劇中で王子が姫を追って、全てを投げ打つことで、最終的には姫を手中に収めたように。

隙あらば、俺の手に入れられるだろうという確信を持った。

劇の練習を進めながら、目の前で演じる鹿島に近づいた時――御子柴がいつの間にか部室に訪れていたのに気付いた。

完全に劇に入り込んでいる鹿島が、それに気付いていないのをいいことに、あえて進行を止めないでおいた。

この先の展開は御子柴にしてみれば、あまり良い気分がしないだろうなと内心でほくそ笑む。

僅かばかりの罪悪感を消すために、あくまで劇の一幕だと、自分に言い聞かせていると、王子役の鹿島が姫役を演じている俺に、キス出来そうな距離まで近づく。

勿論、劇の練習だっていうのが前提なのはあるだろうが、その行為に全く躊躇いはない。

そうするように演技指導してきたのは、他ならぬ俺だ。

演技とはいえ、他の誰にも入り込めない空気を御子柴はどう受け取るだろう。

ただ、劇には当然終わりがある。

ちゃんと区切りがついたところで、演技は終了した。

 

「よし、上出来だ。流石だな」

「やったー! 先輩にそう言って貰えるのが一番嬉しいです!!」

 

近づいていた顔を離し、如何にも演技指導だったって強調するように告げる。

鹿島はそれに疑う様子もなく、俺が褒める言葉に満面の笑みを浮かべる。

そして、そこで初めて御子柴の存在に気付いた風を装って、御子柴の方に顔を向けた。

 

「ん?」

「あ、御子柴! いつからいたの?」

 

鹿島も御子柴に気付いて、二人で御子柴のところに寄る。

 

「あ、ああ。少し前から。……凄ぇ、めちゃくちゃ圧倒された。今度の劇のか?」

「そ! 先輩、演技上手いから、圧倒されるよね!」

「ああ? おまえがバッチリハマってたからだろう、王子様」

「いや、二人とも凄かったっす。流石ですね」

 

一瞬だけ、御子柴が顰めた眉には気付かないふりだ。

 

「あ、ごめんね、待たせて。直ぐ着替えてくるから!」

「おう、慌てなくてもいいぜ」

 

衣装を着ていた鹿島は、そのまま部室の奥にある更衣室に行った。

向こうに行ってしまえば、こっちでの声は小声で呟くようなトーンなら、あまり良く聞こえない。

 

「じゃ、おまえたちに部室の鍵預けちまっていいか?

もう、片付けは済んでるし、特に用事もないし、俺、先に帰らせて貰うわ」

「あ、いいっすよ」

 

御子柴に鍵を渡すと、俺は床に置いてあったカバンを持って、戸口に向かう。

 

「じゃ、お先」

「お疲れ様っす」

 

ここまでは、鹿島も普通に聞こえているだろう。

事実、お疲れ様でーす!と俺に向けて言った鹿島の声が響いて来た。

そのまま、御子柴の横をすれ違うときに、鹿島には聞こえないように低く呟いた。

 

「油断してたら、かっ攫うぞ」

「!?」

 

ただの忠告とも、宣戦布告とも取れるように。

動揺した空気を感じながらも足は止めずにそのまま部室を出る。

流石にどういう意図で言ったか位は伝わるだろう。

御子柴は鈍い男でもない。

鹿島が幸せならまだいい。

だが、あいつを泣かせるようなことがこの先あれば。

あの輝くような笑顔が曇ってしまうようなことがあれば、遠慮なんかするつもりはない。

思いつく限りの手段で奪い取ってやる。

明日の御子柴の表情を楽しみにするあたり、意地が悪いなと自嘲しつつ帰路についた。

 

 

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