みこかしが一緒にコンドーム専門店に買い物しにいったり、その買ったゴムを試したりする話。
※二人が大学生で付き合っている前提。
初出:2015/08/06
文字数:3672文字 裏話知りたい場合はこちら。
「……なぁ、ホントに入るのかよ」
「何、ここまで来て。一度に色んな種類のゴム見てみたいって言ったら、御子柴だって同意したじゃん」
「そうだけど! いざ来てみたら、何つーか、こう人目が気になるって言うか」
御子柴が周囲をちらちら見ながら、顔を赤くしている。
今日、二人で訪れているのはコンドーム専門店だ。
普段は、ドラストやコンビニでゴムを買っているけど、雑誌でコンドーム専門店なんていうのがあることを知った。
色んな種類のゴムを一度に見てみたいから、そこに行ってみるって言ったら、俺も行くってついてきたのは御子柴なのに。
数十歩先にあるそのお店は、ディスプレイが派手で明るいからか、特に卑猥なイメージはなく、寧ろ健康的にさえ思える。
「誰も大して見てないってば。気になるなら、どっか近くでお茶でもして待ってる? 私行ってくるから」
「おまえ一人で行かせられるかよ! 俺も行くって! ……でも、ちょっと一回深呼吸させてくれ」
「も-、仕方ないなぁ」
そこまで身構えて入るようなお店でもないと思うんだけど。
御子柴の顔はまだ赤かったけど、結局、数回深呼吸して落ち着きはしたみたいだ。
今の行動の方が、よっぽど人目を集めてしまった気はするけど、それはあえて言わないでおく。
「よし、行くぞ」
「はいはい」
それでも、一人で入ると思われるのは嫌みたいで、腕を組めって意味で肘を突き出してきたから、大人しく御子柴の腕を掴んだ。
そのまま二人で一緒に並んで歩き、お店に入る。
お店の表も派手なディスプレイだったけど、中も負けず劣らず派手だった。
御子柴が隣で軽く息を吐いたのが聞こえる。
気後れしてたんだろうなぁ。
流石に専門店というだけあって、普段、ドラストやコンビニでは見かけないようなゴムも、色々置いてある。
初めて目にしたようなものが、幾つもあった。
「ホントに色んな種類あるんだなー、ゴム。光ったりするのって、ホントに挿れても大丈夫なのかよ」
「大丈夫だから、ゴムとして売ってるんじゃないの? 面白そうだから、これ買ってみよう」
「おう」
先っぽに蓄光剤入りのゼリーが入っていて、光るらしいゴムをまずカゴに入れる。
お店に入るときには渋っていた割に、いざ店内で色々見ていたら面白いらしく、御子柴の表情が楽しそうなものになってきた。
声も心なしか弾んでいる。
本当に私の彼氏は分かりやすい人だなぁ。
「何だ、これ? お守り型?」
「今堂夢……ねぇ。海外の方とかに受けそうだね。あ、でも中身は普通のゴムみたい」
「じゃ、それはいいか。あ、これ何だ、ドット??」
「ん? 千個以上のつぶつぶが表面についてるんだって」
「へー、じゃ、これも買ってみるか」
夢中になって色々買い漁った結果、合計金額に気付いた時には、既にレジを打って貰っている最中。
二人分の資金があるからと気が緩んだのか、つい色々と買ってしまった。
ある程度の量を置いといても傷むものじゃないし、最終的には使うだろうからいいんだけど、当面ゴムを買う必要がなさそうだ。
御子柴が一人暮らししている家に帰ってから、早速、ゴムを使ってみることにした。
ベッドの上で、数個のコンドームの箱を並べて置いてみる。
「で、まずどれ試してみる?」
「何か、光るのが一体どうなるのかって見てみたくねぇ?」
「気になるよね、それからいってみようか」
***
「うわ、ホントに御子柴の御子柴が光ってる」
「その表現やめろよ。……何かシュールだなぁ」
「何か、笑いそうなんだけど、私」
「俺もだ。エロい気分がどっか行きそうだぞ、これ」
使う直前に光に当てて下さい、なんて注意書きがあったから、前戯はずっと明るい状態の部屋でして、ゴムを着け、今ようやく部屋の灯りを消したけど、暗がりで御子柴のモノだけが光って存在を主張しているのが、どうにもおかしい。
一番強く光っているのは先っぽにゼリーが入っている部分だけど、全体的にも淡く蛍光緑に光ってる。
竹取物語でいうところの光る竹ならぬ、光るきの……ああ、いや、やめとこう。
ホントに笑いそうだ。
「……何だよ」
「ごめん。あんまり見てるとホント笑うから、挿れよう? 暗いから、御子柴からは見えにくいでしょ? 私から挿れるね。こっちからは丸見えだから」
「丸見え言うなっての」
光っている御子柴のモノを掴んで、狙いを定め、腰を下ろす。
「…………っ」
「あ……んんっ」
繋がった場所から熱が溶け合っていく。
光っていた部分が、私の中に収まっていき、徐々に見えなくなっていった。
いつも使っているゴムより、何か……温かい?
腰を全部下ろすと、御子柴の腕が私の身体に回され、支えてくれる。
「……光るっていうから、ゴムとしてどうなのかって思ったけど、これ……っ、意外に」
「ん……感触気持ち良い、かも」
「おまえもかよ」
「あ、んっ!!」
ベッドのスプリングを使って、御子柴が身体を動かし始める。
激しくはないけど、繋がりが深いのもあって、快感は結構強い。
暗闇に水音と身体のぶつかり合う音が妙に響く。
手探りで御子柴の肩を確認して掴まると、御子柴が片方の手で、私の顔を探ってきた。
「……鹿島」
「ん」
唇に指が触れたから、意図を察して目を閉じる。
暗くてほとんど見えてはいないんだけど、条件反射だ。
重なってきた唇が、軽く何度か吸い付いてきた後、舌が唇を開けって言うように突いてきた。
「……っ、ふ」
「は……っ」
御子柴の舌を迎え入れて、こっちからも舌を絡めると、御子柴の手が私の胸元で動き始める。
おまえ、ホント胸ないよなってぶつぶつ言いながらも、私が胸感じるのを知っているから、ちゃんと触ってくれるんだよねぇ。
御子柴のこういうとこ、好き。
私も御子柴の服の上から身体を触り始めると、御子柴の呼吸が荒くなってきた。
それは私もお互い様なんだけど。
目を開けると暗がりながらも、顔が至近距離にあったから、笑ってる御子柴の表情が見えた。
「何? どうしたの」
「や、光ってるってのに気を取られてたし、あんまゴムとしては期待してなかったんだけど、これ感触結構いいなって。おまえも気持ち良さそうだし」
「んっ!」
より、繋がっている場所を密着させるように、御子柴が私の腰を引き寄せた。
強い衝撃がお腹の奥に来て、つい肩を掴んでいる手に力が入ってしまう。
敏感な場所も擦れて、快感を煽られ、もっと強く深く、御子柴が欲しい。
「みこ、しば……っ」
「鹿島、動けるか? もう少し強くしたい」
「ん、このままの……姿勢で動く?」
「おまえが動けるようなら」
「多分、大丈夫」
御子柴の肩を掴んでいた手を離して、ベッドの上に両手をついて、自分の支えるようにしてから、腰を動かす。
二、三度動かしたところで、動くリズムが御子柴とかみ合って、気持ち良さがどんどん増していく。
「う、あ、みこ、し、ば……っ」
「かし、ま……っ!」
私の腰を支える御子柴の手に力が入ったのが伝わる。
御子柴も大分気持ち良くなってきているみたいだ。
「やべ、も、そろそろ……っ、もた、ね」
「いいよっ……私も、もう……うあっ!!」
一際強く中を抉られて、限界が訪れた。
暗闇の世界で、視界に閃光が走ったのに続いて、耳が御子柴の小さな呻きを拾う。
二人分の乱れた呼吸音が部屋に響いた。
***
「で、次、どれ使う?」
「ちょっと待って。今日はもう無理だよ!? 何で、そんなやる気になってんの!!??」
あの後。
香りのついたゴムを試して、もう一回。さらにフェラ用のゴムも試したいなんて言いだしたから、それをつけて口でもしたっていうのに、御子柴は何かスイッチが入ったのか、さらに続けようとしてくる。
珍しいけど、流石に疲れが限界だ。
香り付きのゴムを試した時に、御子柴が結構激しかったせいもあるかも知れない。
でも、私は正直、もう寝たい。
「いや、何かさ。こう、ゲームのスチルを埋めていくっていうか、コンプ欲みたいなのが刺激されるっていうか」
「ごめん、全然意味わかんない。何も一晩で一度に試そうとしなくたっていいじゃん……寝ようよ。私、明日、一限から講義あるんだってば」
既に瞼が落ちかけているのを、押しとどめるのでやっとだ。
御子柴の腕を引っ張って促すと、御子柴がちょっと惜しいみたいな表情をしながらも、ベッドの中に入ってきた。
「悪い。忘れてた」
「もう……そんなことだろうと思ったけどさ。御子柴、明日午後からだっけ?」
「いや、休講になったから一日休み。……って先週言わなかったっけか」
「あー、聞いた、かも知れない」
だから、余計箍外れてたんだろうなぁ。
半分寝ている頭でぼんやり考えてると、御子柴が私の頭を撫でてきた。
「明日、夕方には帰れるよな? 夕食作っとくから、またこっち来いよ」
「ん……そうする。デザートも欲しい……な」
「わかったって。何か美味そうなの探しとく」
「うん……」
多分、素直に私の言うことを聞いてくれるのは、今日のお詫びのつもりなのかも知れない。
御子柴が私の額にキスしてくれたところで、もう眠さに目を開けてられなくなったから、そのまま眠りに落ちた。
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