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好きだからどうしても欲しかった<月刊少女野崎くん・みこまゆ♀>

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元は2015/08/09のワンライで『いつまでも、』と『切実』から書いた話です。

が、手を入れてpixivに上げる際にタイトルを変更しました。

付き合っているのに手を出してこない御子柴に兄の協力つきで自分から攻めの姿勢を見せる真由ちゃんの図。

そんなわけでみこまゆ♀初めて話でもあると同時に、のざまゆ♀みこ要素も含まれてますのでご注意を。

初出:2015/08/09

文字数:6377文字 裏話知りたい場合はこちら

 

「兄さん。付き合っている男女が、いつまでも健全なままでいるのってどうだと思いますか」

 

俺の家に母さんからの差し入れつきで遊びに来ていた真由が、ふと、本棚を眺めながらそんなことをぼやいた。

真由の視線の先にある数々の本や、フィギュアの所有者は御子柴。

俺の友人でもあり、一年近く前からは妹の真由と付き合っている相手でもある。

 

――兄さん、実琴さんと付き合うことになりました。

 

基本、面倒くさがりで用事がなければうちには来ないはずの真由が、一時期から大した用事がなくてもうちに度々来るようになった時には、何の気紛れなのかと思っていたが、御子柴と付き合うことになったと聞いて納得した。

驚きもしたが、御子柴が相手なら安心する部分もあったし、真由も浪漫学園に入学してきたことで、時々校内で二人一緒にいる姿を見かける機会もあったが、仲睦まじそうで安心している。

だから、真由が今言いだしたことは、少しばかり俺には意外だった。

 

「いや……別に問題ないだろう。それに、おまえ、数ヶ月前まで中学生だったんだし、それで手を出す方がちょっとどうかと思うが」

 

漫画にはティーンズラブなんてジャンルもあるが、俺個人としては学生時代から過激な経験をするよりも、甘くほのぼのとした――まさしく王道の少女漫画的な関係を、まず築き上げる方がいいと思っているし、自分でもそういう方向で話を描いているつもりだ。

だから、どちらかと言えば、若さ故の欲望に走らずにいる御子柴に感心していたし、流石はマミコと好ましく思ってもいた。

 

「けど、キスは勿論、手を繋ぐことさえしてないんですよ? 付き合っているはずなのに」

「いや、その……それは、ううむ」

 

軽度のスキンシップはあってもいい、とは正直思う。

セクハラになるところまでいくのはともかく、ちょっと頭を撫でたり、抱え上げたりするくらいなら問題はないだろう。

が、確かに御子柴の行動を思い返してみると、俺がいる前だからというわけでもなく、真由に触れようとしている記憶がなかった。

寧ろ、親友の鹿島を相手にしている時の方が、肩を組んだり、腕を組んだりしている。

……なるほど、そういうのを考えると、少し問題はあるかもしれん。

 

「放っておくと、実琴さん、あと数年は何もしてこないままだと思いませんか?」

「………………有り得るな」

 

何しろ、マミコのモデルにしただけあって、御子柴はかなりの照れ屋だ。

恐らく、鹿島相手には親友ということで、気軽に出来ているやりとりも、相手が付き合っている真由となると、逆に尻込みしている部分があるのだろう。

友人としてもそこそこの付き合いになるから、真由でなくともその辺りは想像がつく。

 

「だから、協力してくれませんか、兄さん。メモ取って、漫画のネタにしてくれて構いませんから」

「わかった。いざという時に御子柴が下手に逃げたりしないように、押さえておけばいいんだな?」

「お願いします」

 

すまん、御子柴。

俺も妹が可愛い。

おまえにはネタの為にも、一つ犠牲になって貰おう。

 

***

 

「だからって、二人がかりで押さえつけて、強引にヤろうとか、おまえら兄妹、ちょっと頭おかしいだろ!?」

 

いつものように、野崎の家にアシスタントしに来て、貰ったお茶を飲んだら急激に眠くなったから、野崎がペン入れしている間に、軽く一眠りだけさせて貰うと言って、眠りについたのが、この状況に至る前の話だ。

目を覚ましてみたら、手首はネクタイで縛られているわ、服は全部脱がされて素っ裸だわ、やっぱり素っ裸になっている真由が目の前にいるわ、素っ裸二人を余所にいつもの制服姿のまま、メモ帳片手に傍でスタンバっている野崎はいるわで、訳が分からなかった。

 

「だって、実琴さん、いつまで経っても手の一つさえ握ってこないじゃないですか。もう、実力行使した方がいいかなって」

「だからって、手を握る段階を軽くすっ飛ばして、せ、せ、セックスするとか、それこそねぇだろ!? 何考えてるんだよ!! 野崎も止めろよ!! 妹が全裸で男に迫っていていいのかよ!」

「知らない男相手にするなら問題だが、付き合っているおまえが相手なんだし、構わないだろう。ああ、実の妹の裸に欲情しないし、俺はただ手助けして、見てるだけだから安心しろ」

「そういう意味じゃねぇよ!! というか、そのまま見てる気かよ!」

「心配するな」

「何が」

 

ぽんと俺の肩に手を置いてきた野崎が、爽やかな笑みを浮かべているのに何か嫌な予感がする。

 

「日本人男性は、被ってる方が多いらしいから気にすることはない」

「俺が言いたいのは、そこじゃねぇよ! つか、被ってて悪かったな!!」

「被ってる……」 

「……っ!」

 

真由の視線をそこに感じるのが、どうにも居たたまれない。

目を逸らそうとしても、そのたびに真由が俺の視界に入るように移動してくる。

どうにかして、真由の肩より下は見ないようにしてるけど、白くてなだらかな線を描いている肩だけでも、理性を抑え込むのに必死だ。

何せ、今は何も着てないから、反応したが最後、ダイレクトにわかってしまう。

俺だって、健康な高校生男子だから、そりゃ本音を言えば、真由に触りたいし、ヤッてもみたい。

けど、それで何かの間違いがあって、こいつが傷つくようなことになるのだけは絶対にごめんだ。

だから、せめて大学生になるまではって、ずっと我慢してたっていうのに。

 

「考えているのは実琴さんのことです。……女だって、好きな人に触りたいって思うんですよ」

「だからって、一回きりの初めてがこんなんでいいのかよ! もっとこう、海の見える綺麗なホテルに泊まって、とか、誕生日の記念に初めてを合わせてとか、そういうのねぇのかよ!」

「ふむ、海の見える綺麗なホテル……と。記念日合わせも中々いいな。ロマンがある」

「だから、野崎はメモ取るのやめろって!!」

 

カリカリとペンの走る音が、妙に耳に残る。

大体、実の妹がこんな状態で平気……だから、こうしてるんだよな、こいつ。

考えるまでもなかった。

 

「待てません。私は今実琴さんが欲しいです」

「っ!」

 

左耳のピアスを外されて、ピアスをしていた部分に真由の唇が触れた。

音を立ててキスされた後は、温かい舌が耳を這い回る。

初めて知る感覚に、背筋にぞくぞくしたものが走って行く。

 

「ちょ……っ、やめ、ろって」

「好きなんです、実琴さん」

「んっ!」

 

重ねられた唇は予想していた以上に柔らかい。

抑え込んでいた理性の箍が外れたのが、自分でも分かった。

当然、俺の上に乗っかって肌を重ねている真由にもだ。

唇を離した真由の目元が、ほんの少し綻ぶ。

 

「……私で興奮してくれたんですね。嬉しいです」

「…………好きな女にキスされて、何も感じねぇとか有り得ねぇだろ」

「ここ触ってみていいですか」

「ダメっつったって、どうせ触るんだ……ろっ」

 

案の定、俺が言い終わらないうちに、真由の手が俺のちんちんに触れてきた。

人に触られるのなんか初めてだし、ましてそれが真由だって思うと、軽く擦られるだけでも固さを増していく。

細い指が慣れない手つきで動かしていくのに、かえって煽られる。

見ないようにしていた真由の胸、腹、大事な場所と見ていたら、俺の視線に気付いた真由が、俺の太股の上に跨がる様にして、足の間を触れさせてきた。

温かく濡れた場所が、これまた予想以上に柔らかくて気持ち良い。

触られていても感じていたけど、女の身体ってあちこち柔らかく出来てるもんなんだな。

……中も柔らかいんだろうか、なんて思ったら一層興奮が増して、真由の中に挿れたくて堪らなくなった。

 

「この状態なら、挿れても大丈夫そうですね。続けますよ」

「待てって! ゴムなしは……!」

「ほら、使え。毛を巻き込まないよう気をつけろよ。付け根の毛、押さえていてやろうか?」

「ありがとう、兄さん。お願いします」

「おまえら……」

 

真由が普通にゴムを野崎から受け取って、包装を破っていることに、もうツッコむ気力もない。

野崎が俺のちんちんの付け根に手を添えて、毛を指で覆うと、真由がゴムを俺のちんちんに被せてきた。

一体、誰が二人がかりで自分のちんちんにゴムを被せられる日が来るなんて、予想出来ただろう。

端から見たら、凄ぇ妙な図になるんじゃねぇの、これ。

真由を抱き締めたいって思ったが、手首は拘束されたままだ。

真由が俺の身体に乗っかろうとする前に、手を離した野崎に話し掛けた。

 

「の……ざき、手首のネクタイ、解けっ……!」

「逃げないか?」

「ここまで来て、逃げようもねぇって……! 俺だって触りてぇし、手使いたいっての」

「わかった」

 

手首を縛っていたネクタイを解かれて、自由になったところで、そのまま真由がいきなり俺のちんちんを掴んで、自分の足の間に宛がった。

 

「おい、待てって! うあ!!」

「……っ」

 

恐らくは痛みで顔を歪めながらも、真由がそのまま腰を下ろしてくる。

先っぽから温かい内部に飲み込まれていく感触は、それだけでもイっちまいそうなくらいだ。

少し挿入したところで、何となく突っかかる感じがしたが、何か切れるような振動に続いて、一気に真由の中に全部飲み込まれた。

先っぽにこつ、とそれまでより固めの肉質が当って、ここが一番奥なんだって把握した。

 

「全……部、入り、ました」

「……っとに、バカ真由」

「あっ」

 

自由になった手を使って身体を起こし、真由の身体を抱き締め、こっちから唇にキスした。

ああ、もう。

どうせ、初めてするんだったら、ちゃんとリードしてやりたかったのに。

目元に微かに浮かんでいた涙の雫を舌で舐め取って、まだ触ってもいなかった、真由の胸に触れる。

一際柔らかい場所は、それでいてちゃんと弾力もあって、手のひらに心地良く吸い付いてきた。

そっと揉んでみると、真由の中が震えて、小さな悲鳴が上がった。

 

「実琴、さん」

「もうちょっと、待てなかったのかよ。野崎にまで、こんなんさせてするとか、バカじゃねぇの」

「俺のことだったら、気にするな。漫画のネタにもなるし」

「ああ、うん。とりあえず、今、おまえは黙っててくれ。俺、真由と話したいから。――どうして、せめて先に言わねぇんだよ」

 

俺たちが繋がっても、部屋を去って行く気は全くないらしい野崎は置いといて、真由に問い質す。

 

「…………だって、実琴さん、モテますし」

「あ?」

 

だから、何だってんだ?

モテるのは否定しねぇが、だからといって、他の相手に手を出すなんてことは一切しちゃいない。

大体、真由を彼女だって公言してからは、言い寄ってくる女もかなり減った。

それは、浪漫学園に入学してきた真由だって、日常的に見て分かっているはずだ。

 

「こんな風に誰かが強引にしてこないとも限らないでしょう? 実琴さん、あまり付き合いのない人相手だと、強く出られませんし。……そんなことになる前に、実琴さんが欲しかったんです」

「真由」

「どうしても、欲しかったんです」

 

真由の目が微かに揺れた気がした。

 

「……ホントにバカじゃねぇの」

「んっ」

 

もう一度、キスを交わしてから、真由の身体を支えて、寝かせる。

敷き布団があったのがまだ幸いだ。

どうにか抜けないように気をつけながら、姿勢を変えると、中が離さないっていってるみたいに締まった。

直ぐにでも動きたくなったのは、どうにか理性を総動員して抑える。

まだ、話は終わっていない。

 

「いくら何でも、抵抗ぐらいするっての。俺、そんな頼りなく見えるかよ」

「…………」

「おい。そこで黙りこまないで、否定の一つもしろよ」

「いえ、その頼りないってわけじゃないんですけど。でも、説明するのが面倒くさいんでいいです」

「おまえなぁ……」

 

つい、呆れた口調になってしまうと、今度は真由の方からキスして来た。

繋がった部分がびくりと震えたのは、俺のせいか、真由のせいか。

 

「私は実琴さんと一緒がいいし、実琴さんが欲しい。それじゃダメですか?」

「ダメなわけねぇだろ。……わかった、もういい。動いても大丈夫そうか?」

「はい」

 

なるべく、ゆっくりと真由の中を擦り始めると、まだ少し痛いのか、真由の顔が少し強ばってはいたけど、やめろとは言わなかった。

時々、走るペンの音は聞こえないふりでやり過ごす。

友人の目の前で、その妹を相手にヤッてるって状況は、ホント訳分かんねぇけど、今更止まれるわけもない。

知らなかった快感に翻弄されて、迫り上がってくる射精感は正直だ。

衝動のままに腰を突き動かしていくと、真由が切なく喘ぎだす。

……痛いだけじゃねぇといいんだけどな。

そっと、繋がった場所を触ってみると、少し血が出ていた。

確かに真由とセックスしているんだっていう事実が、胸を熱くする。

女の身体で一番敏感だっていう部分を指先で押したら、真由が艶っぽい悲鳴を上げた。

こいつ、こんな声出せたんだな。

そして、出させたのは俺なんだって思うと、堪らなくなった。

 

「ん、あっ、実琴、さ……っ」

「真由……っ!」

「あ、ああっ……!」

 

ゴム越しでもこれだけ温かいなら、直接するって滅茶苦茶気持ちいいんだろうなって、頭の片隅で考えながら一番奥で出した。

二人で呼吸を整えていると、いつの間にかメモ帳とペンを置いていた野崎が、俺たちの傍に近寄ってくる。

 

「御子柴」

「……何、だよ」

 

野崎が笑顔で俺の頭を撫でてきてきたのには、本日二度目の嫌な予感しかしない。

 

「今日から義兄さんって呼んでくれていいぞ。あと、今日の夕食は赤飯にしとくな」

「うるせえええ!!!」

 

後で絶対、あのメモは破ってやろうと、固く誓った。

せっかくの真由との初めてを、ネタになんかされてたまるか。

 

***

 

「……それでもさ。せっかくだったら、やっぱり最初は二人きりが良かったよなぁ」

 

一応は気を利かせてくれているのか、野崎が一人黙々と原稿を描いている一方、俺と真由は時々泊まる時に使わせて貰っている部屋に布団を敷いて、しばし微睡んでいた。

 

「この先、いくらでも二人きりになればいいじゃないですか。寧ろ、これからでしょう?」

「や、そうは言うけど、初めてって一回きりしかねぇのにさぁ……こう、何て言うか、俺にもビジョンってもんがなぁ」

「私は実琴さんと一緒にいられるなら、どんな状況でもいいです」

「……おまえはそういうやつだよな」

 

今だって、せっかくだから腕枕してみようとしたのに、真由には違和感あって眠れないからいらないと却下された。

ついさっき、結ばれたばかりの二人なのにと思うと、ロマンも何もあったもんじゃねぇ。

……いや、まぁ。こうして、布団の中で手を繋いでいるのも悪くはねぇけども。

絡めた指が時々俺の指の形を確かめるように動くのも、可愛いといえば可愛い。

 

「実琴さん」

「うん?」

「好きです。分かりにくいかも知れないけど、私、今結構幸せです」

 

どきっとするほど、綺麗に真由が微笑んだ。

ああ、もう、結局俺はこの笑顔に弱いんだよなって思い知らされる。

 

「……幸せなのは俺もだよ。でも、もうこんな無茶する前に、ちゃんと言ってくれよな」

 

繋いだ手に力を籠めると、真由が頷いて目を閉じる。

間もなく聞こえ始めた寝息に、相変わらずマイペースだなって感心するしかない。

こっちは初めての余韻に浸っていて、まだ目が冴えているってのに。

……俺だって、せっかくの初めてなら、こうしよう、ああしようって色々考えていたのになぁ。

まぁ、真由を選んだのも俺だし仕方ねぇか。

こいつのこんな部分も、結局好きなんだしな。

 

――どうしても、欲しかったんです。

 

あんな風に求めて貰えたってのは、やっぱ嬉しかったし。

 

「……次は絶対、俺の方が言ってやるからな」

 

おまえがどうしても欲しいからしたいって。

でも、今度仕切り直すなら、野崎の家だけはやめておこうと決心して、俺も少しだけ眠ろうと目を閉じた。

 

 

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