大学一年の御子柴&高校二年生の真由が付き合っている前提での初詣話。
初出:2015/01/09
文字数:2746文字 裏話知りたい場合はこちら。
小気味良く柏手を打つ音があたりに鳴り響く。
神社に参拝するなんて、正直初詣以外はほとんど行った試しがないので、頭の中で二拝二拍手一拝、で合ってたよなと毎回反芻するハメになる。
特に今回みたいに同行者が年下だったりすると、下手に間違うのも恥ずかしい。
が、そんな俺の心配を余所に、ちらりと横目で見た真由は、特に迷う様子もなさそうに堂々と振る舞っていた。
拝礼を済ませ、引き上げると真由が俺に話し掛けてきた。
「実琴さんは何をお願いしたんですか」
「んー。月並みだけど、今年も健康でいられますように、だな。おまえは?」
「俺は実琴さんともっと仲良く出来ますようにってお願いしました」
「なっ……」
全く普段と変わらない口調で、平然とそんな事を言うものだから、こっちの方が照れる。
「おまえ、そういうことをストレートに口にするよな」
「回りくどく言う方が面倒くさいんで」
……そうだった。こいつはそういうやつだった。
分かりやすいのは有り難いけど、外でさらっと言われると俺の方が動揺する。
が、俺のそんな心境を理解しているのか、いないのか、真由はそのまま話を続けてきた。
「今日は実家に戻るんですか?」
「あー……まぁ、夜にはな。けど、その前に一度家に戻ろうと思ってる。……来るか?」
一瞬の躊躇いもなく、真由が俺の言葉にこくりと頷く。
俺は大学に進学してから、アパートで一人暮らしをしてる。
実家からでも通えなくはない場所にある大学だったから親は渋ったが、近いとは言える距離でもなかったのと、良い社会勉強になるからと言い含めて、どうにか一人暮らしに持ち込むことに成功した。
一人暮らしをしたかった最大の理由は、真由と心置きなく会うためだったが、それは流石に親には内緒だ。
***
「お。やっぱり、二、三日家空けてると何か冷えるな。ちょっと待ってろ。今、エアコン付けて部屋暖めて――」
エアコンのリモコンを手にした瞬間、真由が俺を後ろから抱き締めてきた。
「おい、真由」
「したいです、実琴さん」
コートごと抱き締められているから、身体の方はあまり体温まで伝わってこないけど、耳元には真由の温かい吐息がかかる。
「いや、俺だってしたいけど。でも、ちょっと部屋暖めてからにしねぇ?」
「肌くっつけて動いてたら、すぐ暖かくなります。暖まるの待ってるの面倒ですし」
「そこ、面倒がるところかよ」
とはいえ、一度言い出すと真由も引かないところがある。
俺にしても、年末はちょっと多めにバイトを入れてしまって忙しかったから、真由に寂しい思いをさせた後ろめたさもあった。
一応、エアコンのスイッチは入れると、ぽんぽんと俺に回されている真由の腕を軽く叩く。
「ベッドで布団に潜りながら、でいいよな?」
「はい」
多分、他人にはあまり分からないだろう範囲だけど、心持ち弾んだような返事が可愛いって感じる時点で、俺も真由には結局弱いんだよな。
一度、俺から腕を解いた真由が、俺の正面に回ってきて、顔を寄せたのに応じて、今年初めてのキスをした。
***
すぐ暖かくなるってのは本当だったなと、ベッドに潜り込んで早々思い知らされることになった。
単純に素肌で触れ合ってるだけでも、身体が熱くなって来た上に、真由は布団の中に潜ってしまって俺からはどう動いてるのかよく見えない。
見えない部分を触られるってのは結構くるものがある。
「ま、ゆ……っ」
「実琴さん、先凄く濡れてる」
「うあ! ちょっ……まだ、口ですん……なって!」
俺のちんちんの先に触れていた指が離れたかと思うと、ざらりと熱いものが触れる。
それが舌だってのはとっくに感覚で覚えてしまっているものだから、興奮していく一方だ。
しかし、この段階で布団を撥ね除けるのも、それはそれで羞恥を煽りそうな気がしてマズい。
新年最初のセックスで、あんまり早くに一人でイッてしまうのも恥ずかしい。
「だ、めだ……一回離れろ……って」
「……イッちゃってもいいのに」
微かに笑ったような声がしたと思ったら、身体を覆うように籠もっていた熱が霧散して、真由の顔が俺の顔の直ぐ近くに来る。
布団が撥ね除けられても、寒さはもう全然感じなかった。
「真由」
「もう、挿れちゃっていいですよね?」
「……ん」
返事をすると、チューブを絞りだすような音がして、後孔に生温いローションが触れたのが分かる。
「温めてたのかよ」
「布団の中に入れてたら、温度上がってました。冷たいままだと実琴さんが辛いでしょうし」
「そりゃ、まぁ、そうだけ…………ん……っ!!」
話している最中に、真由が中に入って来て、言葉が途切れてしまった。
中を埋めていく真由の熱さに、繋がった場所が疼く。
「お……まえ、こっちが話してる、最中……にっ」
「すみません。でも、我慢出来なくて。……寂しかったんです」
「あ?」
いきなり飛んだ話に頭がついていかない。
「バイトするななんて、言えませんし、言う気もありませんけど。ここ何日も実琴さんと会えなくて寂しかったんです」
「真由」
「……寂しかったんです。なのに、実琴さんは特に変わった様子もなく、普段通りだし」
こっちは実琴さん不足だったのに、なんて、拗ねたように呟かれる。
おまえだって、俺がバイト年末に多めに入れるって言った時、特に変わった様子なかっただろって言いそうになったが、やめた。
付き合うようになって、前よりは分かりやすくなっているけど、真由の感情の揺れ幅は基本分かりにくい。
「……俺だって、寂しくなかったわけじゃないんだからな。……ったく」
「あ」
「……っ」
わざと中をぎゅっと締め付けるように力を入れると、真由の表情に動揺が走る。
と、同時に俺の方も中にいる真由の形やら、熱さやらを意識してしまって、快感が沸き上がってきた。
「実琴さ……」
「っ、あ、ま、ゆ……っ!!」
ほとんど、後ろ側を指で慣らされないうちに受け入れられてしまってる程度には、俺も真由を待ち焦がれていたってことにこいつが気付いているのかどうか。
激しくなる真由の動きにこっちも合わせて。
お互いに、何度口にしたか分からない相手の名前を呼びながらイッた。
***
「……おまえさ。明後日とか泊まりでうちに来られたりなんかする?」
「え?」
「その、夜だとバイトも終わってるし、まだ冬休み中だったら、一日くらい泊まりでもいけるか、なんて思っ……」
「来ます」
「即答だな」
「だって、実琴さんに会えるんでしょう?」
だったら来ますよ、そりゃ。なんて、いつもの調子で返されてしまって、これまたいつものように、その反応に照れてしまうのは俺の方だった。
それでも、明後日の夜会えるんだなって思うと、早くも昂揚した気分に、結局俺も真由不足だったんだなって納得して、近づいて来た唇に唇を重ねた。
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