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惰眠<月刊少女野崎くん・まゆみこ>

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Twitterでのタグによるお題募集から。

惰眠で真由と御子柴というお題だったので、コンビ以上カプ未満みたいなまゆみこまゆで。

初出:2015/04/11

文字数:1225文字 裏話知りたい場合はこちら

 

「あ、またこいつ寝てる……って、枕にしてるの俺の本じゃねぇか!」

 

野崎の家にいつものように漫画の手伝いに訪れたら、部屋の主はちょうどコンビニに出掛けようとしていたところで、そのまま俺とすれ違いで部屋を出て行ってた。

戻ってくるまで、適当な飲み物でも飲んで待とうと思ったら、部屋の片隅で真由が俺の本を枕にしつつ、手にも俺の本を持ちながら眠りについていた。

そりゃ、置いてある本はいつでもいくらでも読んで良いとは言っておいたけど、流石に枕にしていいなんて言ってねぇぞ。

涎でもついたらどうしてくれる。

しゃがみこんで、真由の肩をちょっと揺らして起こしてみた。

 

「おい、真由。寝るのはともかく、せめて、その枕にしてる本どけろよ。俺の本だぞ、それ!」

「ん……あ、実琴さん来てたんですか。こんにちは」

「おう、こんにちは……じゃなくて! とりあえず、俺の本を枕にするのはやめろっての」

「あ……ああ、すみません。つい」

 

真由が頭の下から、俺の本を引っ張り出して、手にしていた本と一緒に俺に手渡した。

……ちょっとカバー歪んだんじゃね、これ?

確か、店舗特典欲しさに複数買いして、家にも置いてある本だからまだいいけど。

 

「そんな眠いなら、野崎のベッド借りて寝ればいいんじゃねぇの」

「今、兄さんのベッド、カバー洗濯中で外したままだから、洗濯終わるまでは寝るなって言われました」

「じゃ、客用布団出せよ。ここあるだろ」

「面倒なんで」

「……おまえはそういうやつだよな」

 

仕方ないから、布団敷いてやるかと立ち上がろうとしたら、真由に手首を掴まれた。

 

「? 何だよ?」

「……枕ないと眠れないんです、俺。実琴さん、腕枕してくれませんか?」

「今、客用布団の方の枕持ってきてやるって」

「どうせなら実琴さんの腕が良いです。貸して下さい」

「って、おい! 利き手側はこれから作業するからダメだって! ……ったく、仕方ねぇなぁ。こっちならいいから」

 

結局、俺も真由の隣に横になって、左腕を真由に差し出すと真由が差し出した腕に頭を乗せてきた。

そういや、人に腕枕なんてしたの初めてだ。

こうして乗っかると、人の頭って結構重いんだな。

でも、体温が伝わって来て、何というか悪い気はしない。

 

「温かくて気持ち良いですね」

「そ、そうか?」

 

自分でも考えていた内容を口にされて少し狼狽えたが、真由には全然気にした様子はない。

 

「はい。……おやすみ、なさい」

 

そして、早くも言葉の語尾が小さくなったなと思ったら、もう真由が寝息を立て始めていた。

枕無くても眠れたんじゃねぇの、これ。

そっと腕に乗っかっている頭を撫でてみても、反応はない。

 

「……俺も少し寝るかな」

 

流石に目の前で気持ち良さそうに寝られていると、こっちまで眠気が襲ってきた。

まぁ、多分野崎が帰ってきたら、適当なタイミングで起こしてくれるだろ。

直ぐ傍に置いてあった本を自分たちの身体に当たらないように遠ざけてから、俺もしばし惰眠を貪ることに決めて、目を閉じた。

 

 

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